🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

文字の大きさ
71 / 171
第4部『Spinning world(回る世界)』

第32話『Open your(my) hearts(拓け私達の心)』 B Part

しおりを挟む
 ──軍議。

 そんな無粋ぶすい瞬くまたたく間に照らす星空へ失せ、入れ替わる人々のささやかなひと時が歌劇オペラの舞台を奏でかなで始めた。

『ま、おやっとさぁお疲れ様じゃなだな

「「──ッ!?」」

 大階段を降り切った二人を随分ずいぶん久しい気がしてならぬ聞き取れない訛りなまりが出迎え。
 リイナのスマホから響くひびく労いねぎらい。漁村エドナを守るべく要石かなめいし貫くつらぬくガロウ・チュウマの気軽な声、現実に引き戻された二人の思い愕然

「が、ガロウ。お前見てたのか!?」

『応、あたい当たり前じゃ。軍議に顔出さん訳にいかんどいかない。──じゃっどんけれどもまこち本当にびっくいびっくりしたが。皆見ちゅう見てる前で婚約する思わんかった』

 ローダとルシア、顔をアラルディカイタリアのワインの様に染め上げ互いの顔そむけずに要られない。

 此処に居る連中よりはガロウはいくらか見知った仲。
 大して見知らぬやからに聞かれた処で開き直れば気に病まないと感じていたが、仲の良い少々歳の離れた友達にで言われ、改めて羞恥しゅうち滲みにじみ出て来た次第。

 タンッ……。

「ピアノの音?」

 ローダ、振り返ると金縁眼鏡の学者ドゥーウェンがPCのキーボード手放し、ピアノ奏者そうしゃへ転じたのに気付く。『ピアノの嗜みたしなみ』以前聞かれた事を思い返す。

 歌劇オペラを思わせるゆったりとした曲調。ピアノソロから幕開け、やがて管楽器達が豊かな華も添え始めた。

 ──この曲?

 耳澄みみすませるローダ、聞き覚えのある曲。
 目を閉じ暫くしばらくの間、曲を熱心に聴き惚れほれ貴族時代の思い出に浸るひたる

 やがて原曲オリジナルを残しながら徐々に曲調が移り変わってアレンジされていくのを感じ取る。

 旧日本人、吉野亮一よしのりょういちへ転じたピアノ奏者そうしゃが格調高いクラシックへ21音を織り交ぜる。
 亮一は20世紀を歩んでない割生きてない癖、1990年代のテクノSOUNDが大のお気に入り。
 鍵盤けんばんの上、両手の指を踊る様に跳ねらせ始めた。

 ──ふん、中々やるじゃないか。

 伝統の中に息づく軽快な韻律RHYTHM。亮一の音楽に対する美意識センスだけ、ローダは認め独り含み笑い。緩んだ目を開くと愛語りたい女性ルシアへ笑顔で手を伸ばすのだ。

「ろ、ローダ?」
「ルシア、俺と踊ってくれ。亮一が

 クイッ。

 ルシアの返事を待たず手を取り、空いた方は自然に任せ腰へと回す。腰寄せ合いほお触れるまで愛しを自分の元へ抱くいだく
 洗練せんれんされたその動き、異性のやらしさ感じさせぬ芸術の域。

「む、無理だよ。私に踊りだなんて……」
「問題ない……俺が、君なら

 階段から共連れしただけで夢見心地だったルシアなのだ。周りに踊っている一組男女が見つからぬ独壇場晒し者

 トクントクンッ!
 ──も、い。好きにして。

 ルシア、全て諦めローダに身体をあずける決心固めた。
 普段と真逆なローダに任せられる安堵あんど。彼の思うがまま自分も動けば踊りが出来るかも知れない。眠れる森が如きワルツの曲と、彼氏に身を委ねゆだね逆らわずリードに任せた。

「おぉ!」
「ルシア御姉様、素敵すてき!」

 フォルデノ城下で若き日のミス・フォルデノホーリィーンと踊り明かした夜。ジェリド21歳の思い出に酒と共に酔いしれる。
 隣でリイナが蒼い大きな瞳を輝かせうさぎの様に跳ねながら喜ぶ。憧れあこがれの御姉様が彼氏ローダと踊る様を片時も見逃せない。

 ──嗚呼……なんで? どうしてこんなにも心地良いの?

 ルシア、周囲の視線を洗い浚いざらい集めた自分に全く以って気付けない夢中。

 そんな色とりどりが彼女の視線に止まらぬ奇跡。永久不変に回り続けるオルゴールの飾り人形に転生したい現実逃避げんじつとうひを思わず望む。

 ローダだけを見つめ火照るほてるカラダで彼と共に緊張の糸解れ運命の糸絡み、微笑み流しながら彼との同調シンクロ具合に酔いしれ続けた。正に心想い。

 気が付けば格調高い楽曲クラシックが洗練されたMUSICへ移り変わり、社交ダンスが熱狂的DANCEへ果たす。

 ローダは独り、彼女を導ける喜びとこれからドゥーウェンに限らず、世間にであろう自分達の運命さだめ一喜一憂いっきいちゆう

 さりとてこの男は愛するLADYへ満面の笑みを注ぎ込む。『この瞬間だけで構わない。君に俺の総てをささげたい』

 ──御姉様、心の底から楽しそう……。

 リイナ、他人ヒトの幸せ妬むねたむ思いが首擡げもたげ自分を嫌悪けんおしたくなる気分が大きくふくれ上がるのを感じた。

 ──ほおづき……。良か、良かなぁ。おいおまんさぁお前と酒んで歌いたか。

 スマホ越しに若い友達の良き様を見ながら、国へ残した愛妻へらしくない想いをガロウが寄せた。

 初恋同士が見せる穢れけがれ知らずな触れ合いに、世界鬱屈うっくつさえも往くのだ。

「──ローダ」
「ン?」

 チーク寄せ合う最中、ルシアの悪戯心いたずらごころ芽生えめばえ、ローダの耳元で囁くささやく

ソレ薔薇、私に頂戴ちょうだい

 ローダの胸に青い薔薇。ルシアはそれを自分に渡せと語り掛ける。
 驚き隠せぬローダ、ルシアとてこの薔薇が花言葉通りののを知り尽くしている。

「良い…のか?」
「好いの、私が欲しいの背負いたい

 言い淀むよどむローダを他所にルシアが勝手に薔薇を取り上げ、自らの胸元に刺し変えた
 これから訪れるであろうローダに対する様々な
 共に背負い、希望へ転したいと強く哀願あいがん……願いを掛けた。

 曲が終わる──。
 歓声と鳴り止まぬ拍手、共に幾度いくどうやうやしく頭を下げ感謝の意を皆へ伝えた男女ペア

 この場に居合わした群衆の心を曲り形まがりなりにもひとつに固める役目は果たした。

 ──二人だけ、真実なる恋の歌劇OPERAの夜・NIGHT漸くようやく開幕──

 ひとしきり踊り終え、友人達待ちびるテーブル席へ戻るかに思えた二人。
 藍染花色のドレスを纏うまとう金髪女性を抱え、白いタキシードの男が突如とつじょ駆け出す。

 気になる異性相手するには強引な駆引きも時には寛容かんよう
 も『居なくなった?』を流せるおおらかな心が不可欠不可侵、次は自分達のが訪れるやも知れぬのだ。

 星空の元、琥珀色こはくいろしたフォルテザの夜景広がる高台に聳えそびえ立つ建築物の外は別世界。
 イタリア本土よりさらに南の夜空に浮かぶ星々は北と南を独り占め。南十字が愛し合う二人を祝福する自然のチャペル思わせる。

「わぁッ! き、綺麗……」

 不意に自分を外へ連れ出したローダに対し羞恥しゅうちを怒りへ変え、胸板叩こうと思ったルシア。

 ギュッ……。
 再びカラダ預けあずけ寄り添って来た愛しの姫君、優しみで抱く清廉潔白せいれんけっぱくなる騎士knight

「わ、私……貴方のこ…!」

 ローダに抱かれたまま星流れる目で上を向き、愛を誓おうと開く口をそっと人差し指で閉じる気取りきどり屋な騎士。

『ずっとお前ルシア御陰リードで此処迄来られた。この場くらい告白なんだ男をせたい』

 またしても溢れあふれ出る心の声。思わず「ふふっ」と喜悦きえつの笑み零すこぼすルシア。

「ルシア、愛してる。これからも開いて拓いてくれるか?」

 高鳴り合う互いの心鐘心音吐息といきさえ風の精霊絡み合うのを感ずる。

「うんっ!」

 ルシア、これ迄の人生注いだ満面の笑み。
 自然に委ね両目を閉じ、緑を塗った唇瞳色のルージュで待ちがれる幸せ。

「ンッ……」

 重なり合う唇と心。初めての純潔なる触合うだけの接吻キッス……と思われた矢先。

「ンッ? ンンッ……」

 ルシアに潜む淫魔悪戯、触合う唇から接吻深みへ誘う。
 不覚にもキスの途中で目を見開くローダであった。

『アナタは一生私が導くリードするのよ、忘れないでね』

 終わり無き、心の声すら刻みきざみ合うのを感じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...