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第4部『Spinning world(回る世界)』
第32話『Open your(my) hearts(拓け私達の心)』 B Part
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──軍議。
そんな無粋は瞬く間に照らす星空へ失せ、入れ替わる人々のささやかなひと時が歌劇の舞台を奏で始めた。
『ま、おやっとさぁじゃな』
「「──ッ!?」」
大階段を降り切った二人を随分久しい気がしてならぬ聞き取れない訛りが出迎え。
リイナのスマホから響く労い。漁村エドナを守るべく要石貫くガロウ・チュウマの気軽な声、現実に引き戻された二人の思い。
「が、ガロウ。お前アレ見てたのか!?」
『応、あたい前じゃ。軍議に顔ば出さん訳にいかんど。──じゃっどん、まこちびっくいしたが。皆見ちゅう前で婚約ん話ばするち思わんかった』
ローダとルシア、顔をアラルディカの様に染め上げ互いの顔背けずに要られない。
此処に居る連中よりはガロウは幾らか見知った仲。
大して見知らぬ輩に聞かれた処で開き直れば気に病まないと感じていたが、仲の良い少々歳の離れた友達に素で言われ、改めて羞恥が滲み出て来た次第。
タンッ……。
「ピアノの音?」
ローダ、振り返ると金縁眼鏡の学者がPCのキーボード手放し、ピアノ奏者へ転じたのに気付く。『ピアノの嗜み』以前聞かれた事を思い返す。
歌劇を思わせるゆったりとした曲調。ピアノソロから幕開け、やがて管楽器達が豊かな華も添え始めた。
──この曲?
耳澄ませるローダ、聞き覚えのある曲。
目を閉じ暫くの間、曲を熱心に聴き惚れ貴族時代の思い出に浸る。
やがて原曲を残しながら徐々に曲調が移り変わっていくのを感じ取る。
旧日本人、吉野亮一へ転じたピアノ奏者が格調高いクラシックへ21世紀じみた音を織り交ぜる。
亮一は20世紀を歩んでない割、1990年代のテクノが大のお気に入り。
鍵盤の上、両手の指を踊る様に跳ねらせ始めた。
──ふん、中々やるじゃないか。
伝統の中に息づく軽快な韻律。亮一の音楽に対する美意識だけ、ローダは認め独り含み笑い。緩んだ目を開くと愛語りたい女性へ笑顔で手を伸ばすのだ。
「ろ、ローダ?」
「ルシア、俺と踊ってくれ。亮一が俺達を煽っているんだ」
クイッ。
ルシアの返事を待たず手を取り、空いた方は自然に任せ腰へと回す。腰寄せ合い頬触れるまで愛しを自分の元へ抱く。
洗練されたその動き、異性のやらしさ感じさせぬ芸術の域。
「む、無理だよ。私に踊りだなんて……」
「問題ない……俺が導く、君ならやれる」
階段から共連れしただけで夢見心地だったルシアなのだ。周りに踊っている一組が見つからぬ独壇場。
トクントクンッ!
──も、好い。好きにして。
ルシア、全て諦めローダに身体を預ける決心固めた。
普段と真逆なローダに任せられる安堵。彼の思うがまま自分も動けば映える踊りが出来るかも知れない。眠れる森が如きワルツの曲と、彼氏に身を委ね逆らわずリードに任せた。
「おぉ!」
「ルシア御姉様、素敵!」
フォルデノ城下で若き日のミス・フォルデノと踊り明かした夜。ジェリド21歳の思い出に酒と共に酔いしれる。
隣でリイナが蒼い大きな瞳を輝かせ兎の様に跳ねながら喜ぶ。憧れの御姉様が彼氏と踊る様を片時も見逃せない。
──嗚呼……なんで? どうしてこんなにも心地良いの?
ルシア、周囲の視線を洗い浚い集めた自分に全く以って気付けない夢中。
そんな色とりどりが彼女の視線に止まらぬ奇跡。永久不変に回り続けるオルゴールの飾り人形に転生したい現実逃避を思わず望む。
ローダだけを見つめ火照る躰で彼と共に夢の中。緊張の糸解れ、微笑み流しながら彼との同調具合に酔いしれ続けた。正に心躍る想い。
気が付けば格調高い楽曲が洗練されたMUSICへ移り変わり、社交ダンスが熱狂的DANCEへ転生果たす。
ローダは独り、彼女を導ける喜びとこれからドゥーウェンに限らず、世間に踊らさせるであろう自分達の運命に一喜一憂。
さりとてこの男は愛するLADYへ満面の笑みを注ぎ込む。『この瞬間だけで構わない。君に俺の総てを捧げたい』
──御姉様、心の底から楽しそう……。
リイナ、他人の幸せ妬む思いが首擡げ自分を嫌悪したくなる気分が大きく膨れ上がるのを感じた。
──ほおづき……。良か、良かなぁ。おいもおまんさぁと酒ば呑んで歌いたか。
スマホ越しに若い友達の良き様を見ながら、国へ残した愛妻へらしくない想いをガロウが寄せた。
初恋同士が見せる穢れ知らずな触れ合いに、皆の鬱屈さえも拓かれて往くのだ。
「──ローダ」
「ン?」
頬寄せ合う最中、ルシアの悪戯心芽生え、ローダの耳元で囁く。
「ソレ、私に頂戴」
ローダの胸に刺された青い薔薇。ルシアはそれを自分に渡せと語り掛ける。
驚き隠せぬローダ、ルシアとてこの薔薇が花言葉通りの希望でないのを知り尽くしている。
「良い…のか?」
「好いの、私が欲しいの」
言い淀むローダを他所にルシアが勝手に薔薇を取り上げ、自らの胸元に刺し変えた強欲。
これから訪れるであろうローダに対する様々な不可能。
共に背負い、希望へ転嫁したいと強く哀願……願いを掛けた。
曲が終わる──。
歓声と鳴り止まぬ拍手、共に幾度も恭しく頭を下げ感謝の意を皆へ伝えた男女。
この場に居合わした群衆の心を曲り形にもひとつに固める役目は果たした。
──二人だけ、真実なる恋の歌劇の夜が漸く開幕──
ひとしきり踊り終え、友人達待ち侘びるテーブル席へ戻るかに思えた二人。
藍染のドレスを纏う金髪を抱え、白いタキシードの男が突如駆け出す。
気になる異性と抜け掛けするには強引な駆引きも時には寛容。
外野も『居なくなった?』を流せるおおらかな心が不可欠、次は自分達の晩が訪れるやも知れぬのだ。
星空の元、琥珀色したフォルテザの夜景広がる高台に聳え立つ建築物の外は別世界。
イタリア本土よりさらに南の夜空に浮かぶ星々は北と南を独り占め。南十字が愛し合う二人を祝福する自然のチャペル思わせる。
「わぁッ! き、綺麗……」
不意に自分を外へ連れ出したローダに対し羞恥を怒りへ変え、胸板叩こうと思ったルシア。天へ堕ちる。
ギュッ……。
再び躰を預け寄り添って来た愛しの姫君、優しみで抱く清廉潔白なる騎士。
「わ、私……貴方のこ…!」
ローダに抱かれたまま星流れる目で上を向き、愛を誓おうと開く口をそっと人差し指で閉じる気取り屋な騎士。
『ずっとお前の御陰で此処迄来られた。この場くらい男を魅せたい』
またしても溢れ出る心の声。思わず「ふふっ」と喜悦の笑み零すルシア。
「ルシア、愛してる。これからも俺の扉を開いてくれるか?」
高鳴り合う互いの心鐘、吐息さえ風の精霊絡み合うのを感ずる。
「うんっ!」
ルシア、これ迄の人生注いだ満面の笑み。
自然に委ね両目を閉じ、緑を塗った唇で待ち焦がれる幸せ。
「ンッ……」
重なり合う唇と心。初めての純潔なる接吻……と思われた矢先。
「ンッ? ンンッ……」
ルシアに潜む淫魔が舌出す、触合う唇から接吻へ誘う。
不覚にもキスの途中で目を見開くローダであった。
『アナタは一生私が導くのよ、忘れないでね』
終わり無き夜、心の声すら刻み合うのを感じた。
そんな無粋は瞬く間に照らす星空へ失せ、入れ替わる人々のささやかなひと時が歌劇の舞台を奏で始めた。
『ま、おやっとさぁじゃな』
「「──ッ!?」」
大階段を降り切った二人を随分久しい気がしてならぬ聞き取れない訛りが出迎え。
リイナのスマホから響く労い。漁村エドナを守るべく要石貫くガロウ・チュウマの気軽な声、現実に引き戻された二人の思い。
「が、ガロウ。お前アレ見てたのか!?」
『応、あたい前じゃ。軍議に顔ば出さん訳にいかんど。──じゃっどん、まこちびっくいしたが。皆見ちゅう前で婚約ん話ばするち思わんかった』
ローダとルシア、顔をアラルディカの様に染め上げ互いの顔背けずに要られない。
此処に居る連中よりはガロウは幾らか見知った仲。
大して見知らぬ輩に聞かれた処で開き直れば気に病まないと感じていたが、仲の良い少々歳の離れた友達に素で言われ、改めて羞恥が滲み出て来た次第。
タンッ……。
「ピアノの音?」
ローダ、振り返ると金縁眼鏡の学者がPCのキーボード手放し、ピアノ奏者へ転じたのに気付く。『ピアノの嗜み』以前聞かれた事を思い返す。
歌劇を思わせるゆったりとした曲調。ピアノソロから幕開け、やがて管楽器達が豊かな華も添え始めた。
──この曲?
耳澄ませるローダ、聞き覚えのある曲。
目を閉じ暫くの間、曲を熱心に聴き惚れ貴族時代の思い出に浸る。
やがて原曲を残しながら徐々に曲調が移り変わっていくのを感じ取る。
旧日本人、吉野亮一へ転じたピアノ奏者が格調高いクラシックへ21世紀じみた音を織り交ぜる。
亮一は20世紀を歩んでない割、1990年代のテクノが大のお気に入り。
鍵盤の上、両手の指を踊る様に跳ねらせ始めた。
──ふん、中々やるじゃないか。
伝統の中に息づく軽快な韻律。亮一の音楽に対する美意識だけ、ローダは認め独り含み笑い。緩んだ目を開くと愛語りたい女性へ笑顔で手を伸ばすのだ。
「ろ、ローダ?」
「ルシア、俺と踊ってくれ。亮一が俺達を煽っているんだ」
クイッ。
ルシアの返事を待たず手を取り、空いた方は自然に任せ腰へと回す。腰寄せ合い頬触れるまで愛しを自分の元へ抱く。
洗練されたその動き、異性のやらしさ感じさせぬ芸術の域。
「む、無理だよ。私に踊りだなんて……」
「問題ない……俺が導く、君ならやれる」
階段から共連れしただけで夢見心地だったルシアなのだ。周りに踊っている一組が見つからぬ独壇場。
トクントクンッ!
──も、好い。好きにして。
ルシア、全て諦めローダに身体を預ける決心固めた。
普段と真逆なローダに任せられる安堵。彼の思うがまま自分も動けば映える踊りが出来るかも知れない。眠れる森が如きワルツの曲と、彼氏に身を委ね逆らわずリードに任せた。
「おぉ!」
「ルシア御姉様、素敵!」
フォルデノ城下で若き日のミス・フォルデノと踊り明かした夜。ジェリド21歳の思い出に酒と共に酔いしれる。
隣でリイナが蒼い大きな瞳を輝かせ兎の様に跳ねながら喜ぶ。憧れの御姉様が彼氏と踊る様を片時も見逃せない。
──嗚呼……なんで? どうしてこんなにも心地良いの?
ルシア、周囲の視線を洗い浚い集めた自分に全く以って気付けない夢中。
そんな色とりどりが彼女の視線に止まらぬ奇跡。永久不変に回り続けるオルゴールの飾り人形に転生したい現実逃避を思わず望む。
ローダだけを見つめ火照る躰で彼と共に夢の中。緊張の糸解れ、微笑み流しながら彼との同調具合に酔いしれ続けた。正に心躍る想い。
気が付けば格調高い楽曲が洗練されたMUSICへ移り変わり、社交ダンスが熱狂的DANCEへ転生果たす。
ローダは独り、彼女を導ける喜びとこれからドゥーウェンに限らず、世間に踊らさせるであろう自分達の運命に一喜一憂。
さりとてこの男は愛するLADYへ満面の笑みを注ぎ込む。『この瞬間だけで構わない。君に俺の総てを捧げたい』
──御姉様、心の底から楽しそう……。
リイナ、他人の幸せ妬む思いが首擡げ自分を嫌悪したくなる気分が大きく膨れ上がるのを感じた。
──ほおづき……。良か、良かなぁ。おいもおまんさぁと酒ば呑んで歌いたか。
スマホ越しに若い友達の良き様を見ながら、国へ残した愛妻へらしくない想いをガロウが寄せた。
初恋同士が見せる穢れ知らずな触れ合いに、皆の鬱屈さえも拓かれて往くのだ。
「──ローダ」
「ン?」
頬寄せ合う最中、ルシアの悪戯心芽生え、ローダの耳元で囁く。
「ソレ、私に頂戴」
ローダの胸に刺された青い薔薇。ルシアはそれを自分に渡せと語り掛ける。
驚き隠せぬローダ、ルシアとてこの薔薇が花言葉通りの希望でないのを知り尽くしている。
「良い…のか?」
「好いの、私が欲しいの」
言い淀むローダを他所にルシアが勝手に薔薇を取り上げ、自らの胸元に刺し変えた強欲。
これから訪れるであろうローダに対する様々な不可能。
共に背負い、希望へ転嫁したいと強く哀願……願いを掛けた。
曲が終わる──。
歓声と鳴り止まぬ拍手、共に幾度も恭しく頭を下げ感謝の意を皆へ伝えた男女。
この場に居合わした群衆の心を曲り形にもひとつに固める役目は果たした。
──二人だけ、真実なる恋の歌劇の夜が漸く開幕──
ひとしきり踊り終え、友人達待ち侘びるテーブル席へ戻るかに思えた二人。
藍染のドレスを纏う金髪を抱え、白いタキシードの男が突如駆け出す。
気になる異性と抜け掛けするには強引な駆引きも時には寛容。
外野も『居なくなった?』を流せるおおらかな心が不可欠、次は自分達の晩が訪れるやも知れぬのだ。
星空の元、琥珀色したフォルテザの夜景広がる高台に聳え立つ建築物の外は別世界。
イタリア本土よりさらに南の夜空に浮かぶ星々は北と南を独り占め。南十字が愛し合う二人を祝福する自然のチャペル思わせる。
「わぁッ! き、綺麗……」
不意に自分を外へ連れ出したローダに対し羞恥を怒りへ変え、胸板叩こうと思ったルシア。天へ堕ちる。
ギュッ……。
再び躰を預け寄り添って来た愛しの姫君、優しみで抱く清廉潔白なる騎士。
「わ、私……貴方のこ…!」
ローダに抱かれたまま星流れる目で上を向き、愛を誓おうと開く口をそっと人差し指で閉じる気取り屋な騎士。
『ずっとお前の御陰で此処迄来られた。この場くらい男を魅せたい』
またしても溢れ出る心の声。思わず「ふふっ」と喜悦の笑み零すルシア。
「ルシア、愛してる。これからも俺の扉を開いてくれるか?」
高鳴り合う互いの心鐘、吐息さえ風の精霊絡み合うのを感ずる。
「うんっ!」
ルシア、これ迄の人生注いだ満面の笑み。
自然に委ね両目を閉じ、緑を塗った唇で待ち焦がれる幸せ。
「ンッ……」
重なり合う唇と心。初めての純潔なる接吻……と思われた矢先。
「ンッ? ンンッ……」
ルシアに潜む淫魔が舌出す、触合う唇から接吻へ誘う。
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