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第4部『Spinning world(回る世界)』
第32話『Open your(my) hearts(拓け私達の心)』 A Part
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驚異の外敵が此方に攻め入る──。
然も嘗てシチリアをアドノスへ押し上げた真実なる女神の末裔。
動揺激しい双方の兵士達──。
我等が大地の創造神が鉄槌を下すべく眷属を寄越す絶望。
何とも身勝手な話だが此処迄追い詰められた人間達は縋れる新たな神を欲する。
それは金縁眼鏡を掛けた黒服で在る訳がない。彼は若き神々の宣教師に過ぎないのだから。
我がアドノスを守り抜くが為の白。
独りの妖しい男へ過剰な力が集まり往く黒。
白黒つけ切れない悩ましき皆の空気をヒシヒシと肌に感じた若輩過ぎる英雄が一歩前へ歩み出た。
「お、俺は貴方達の言う暗黒神とやらを初めて倒した……。そんな話の流れに成っているが俺独りで成し得た訳じゃない。俺は所詮ただの騎士見習い、この島には生き別れの兄を探しに来た」
必死に声を励まし期待を一心に自分に注ぐ連中へ訴え始める道化、ローダ・ファルムーン。
「俺を救世主みたく思ってる人には申し訳ないがこれが事実だ」
震えた声音感じる若造の語りに耳傾ける群衆がどよめき始める。
何しろ暗黒神を退けた男だ、彼を置いて他に救済願える者なぞ想像出来やしないのだ。
グィッ。
「──ッ!? ちょ、ちょっとッ!?」
「だ、だけど俺……。ローダ・ファルムーンは、ルシア・ロットレンと彼女の故郷を全力で生涯賭けて護り抜きたいッ! 今、俺に言えるのはこれだけだッ!」
あからさまに緊張帯びてる青年の声色。
近頃自分の姓を蔑ろにし続けた男が独りの人間として敢えて姓名を明かす。
加えて美麗な女傑の肩を無造作に皆の目前で抱き寄せ、恥ずかしくも秘めたる愛を上擦んだ声で大いに暴露したのだ。
敵味方双方を先導し得る軍神?
独りの女性を漸く愛し始めた極ありふれた成人男子に求めるなど可笑しな話だ。
『俺は此奴を愛してる! 彼女を守る為なら何だってやってやる! 同じ志がある者は着いてこい!』
珍妙な御託を並べるより余程、覚悟の在処が群衆へ染み渡る。心拓いた男子の誠実。
パチッ……。パチパチッ、パチパチパチパチパチパチパチパチッ!!
巻き起こる喝采の渦──。
拍手の平手打ちを最初に発したのは、小賢しい学者を未だ否定し続けるジェリドであった。
この流れ、壇上にて笑みを絶やさぬ学者の思う壺だと知り尽くした上で敢えて若さを肯定したのだ。
その偉丈夫な騎士から若者二人を賛美する気分が波紋の如き輪と成りて拡がりみせ往く。
「そうだッ! 俺だって家族を守りたいんだッ!」
「当然だッ! でなきゃ生命張ったりするものかッ!」
ローダの勇気を見せ付けられ各々守りたい者が在る戦いの本質を叫び始めた。中には「見せ付けやがる」「もぅそのまま結婚しちまえ」ヤジなのか祝福なのか判別出来ぬ言葉も飛び交う。
拍子抜けした顔で皆を眺めるローダとルシア、驚きの顔見合わす。首元迄朱に染まる必然。
豪快に嗤い飛ばしたジェリドが厚い胸板を張り「彼も 良い男だ」と隣に居合わす愛娘の背中を無遠慮に叩くのだ。
鎧を羽織った重い手で背中を叩かれリイナは思わず膨れた顔を父へ浴びせた。『良い男』一体誰と比較してるのか無駄な邪推が頭を過ぎる。
リイナ先生がルシア先生を子供等と共に揶揄った結婚詐欺。退路見失い現実に格上げされたと言っても過言ではない。
兎も角こんな人前で壮大な恥を晒したローダの的外れな宣言が皆の団結を生んだ。
そしてただの開けた大広間が英傑の男女称える式場へと姿を変え始める。
ドゥーウェンの狡猾甚だしき掌返し。結果を決めつけた上で、本物の舞踏会開催を裏で取り仕切っていたのだ。
冷たき会議室のテーブルへ続々運び込まれる豪勢な料理と色とりどりの酒瓶。
美しいドレスに身を包んだフォルテザ市の知名度高い女性達すら雪崩れ込む。
管楽器煌びやかな吹奏楽さえも準備を始めた。さらに二階から吊るされ降り往くグランドピアノが放つ荘厳。
まるで盛大なMagicShowの幕開け。
兵士達、可憐な女達、色彩鮮やか過ぎる極彩色の宴。
「え、ええと……」
その様子に惚けて言葉が出ないルシア。
黒い手袋がそんな彼女の空虚埋めるべくドレスから溢れた清楚を握り、絢爛へと誘うのだ。
「──ッ!?」
温和だが少々荒れた男子の唇がルシアの手甲へ穏やかに触れる。
恭順の形で座り込み、勝手に引き出した彼女の手へ初めてのKissを優雅に与えたローダの愉悦。
「今夜の君は最高に綺麗だ。そして……」
「……?」
ローダ、『綺麗だ』と告げた後、僅かに顔背け言い淀む。
──そして……何?
未だ自分の足元に座り込んだ彼を鼓動で見つめるルシア。何だかとても欲しいものが貰えそうな待ち望む想い。
「そして……とても可愛い」
トクンッ!
「アッ……」
ルシア、掛けられた声に思わず喘ぐ。気を抜いたら最後、その場に砕け落ちそうな気分。
初めて男性から言われた『可愛い』ローダは私の欲しかった一番を余す処なく授けてくれると改めて思い知るのだ。
「行こう、皆待ってる」
立ち上がりルシアの手を引くローダ。凛々し過ぎる、鮮やか過ぎる……。そして今夜は何より巧者過ぎる愛しき男性。
決して焦らず、慣れぬヒールを持て余す自分を気遣い、穏やかに優しさだけで導く燦然と輝いたローダと大階段を緩やかに降りる幸せ。
「あ、あ、わ、私……」
別人が如き煌めきの笑み寄越すローダを心が直視出来ないルシアの夢心地。
履き慣れない高過ぎるヒール、裾引き摺るドレスのスカート。これ迄夢でさえ見た覚えがない大広間に拡がり往く彩色豊かな宴の絵柄。
そんな驚きを全て吹き飛ばす気品滲み出るローダの白い背中。
こんな気持ち、一体如何言い表すのが正解?
気を抜いたら最後、ローダの胸に寄り添ったまま気を失う絶頂迎えそうな快楽。堕ちぬよう懸命に握る手へ真心込めた。
田舎貴族出身のローダに誘われし姫君か、はたまた幸福の絶頂溢れる花嫁が如き気分で、大階段を幸せ踏みしめながら1階の広間迄如何にか降りた。
ルシア・ロットレン絶好の刻、訪れる妖しき夜の楽園。
然も嘗てシチリアをアドノスへ押し上げた真実なる女神の末裔。
動揺激しい双方の兵士達──。
我等が大地の創造神が鉄槌を下すべく眷属を寄越す絶望。
何とも身勝手な話だが此処迄追い詰められた人間達は縋れる新たな神を欲する。
それは金縁眼鏡を掛けた黒服で在る訳がない。彼は若き神々の宣教師に過ぎないのだから。
我がアドノスを守り抜くが為の白。
独りの妖しい男へ過剰な力が集まり往く黒。
白黒つけ切れない悩ましき皆の空気をヒシヒシと肌に感じた若輩過ぎる英雄が一歩前へ歩み出た。
「お、俺は貴方達の言う暗黒神とやらを初めて倒した……。そんな話の流れに成っているが俺独りで成し得た訳じゃない。俺は所詮ただの騎士見習い、この島には生き別れの兄を探しに来た」
必死に声を励まし期待を一心に自分に注ぐ連中へ訴え始める道化、ローダ・ファルムーン。
「俺を救世主みたく思ってる人には申し訳ないがこれが事実だ」
震えた声音感じる若造の語りに耳傾ける群衆がどよめき始める。
何しろ暗黒神を退けた男だ、彼を置いて他に救済願える者なぞ想像出来やしないのだ。
グィッ。
「──ッ!? ちょ、ちょっとッ!?」
「だ、だけど俺……。ローダ・ファルムーンは、ルシア・ロットレンと彼女の故郷を全力で生涯賭けて護り抜きたいッ! 今、俺に言えるのはこれだけだッ!」
あからさまに緊張帯びてる青年の声色。
近頃自分の姓を蔑ろにし続けた男が独りの人間として敢えて姓名を明かす。
加えて美麗な女傑の肩を無造作に皆の目前で抱き寄せ、恥ずかしくも秘めたる愛を上擦んだ声で大いに暴露したのだ。
敵味方双方を先導し得る軍神?
独りの女性を漸く愛し始めた極ありふれた成人男子に求めるなど可笑しな話だ。
『俺は此奴を愛してる! 彼女を守る為なら何だってやってやる! 同じ志がある者は着いてこい!』
珍妙な御託を並べるより余程、覚悟の在処が群衆へ染み渡る。心拓いた男子の誠実。
パチッ……。パチパチッ、パチパチパチパチパチパチパチパチッ!!
巻き起こる喝采の渦──。
拍手の平手打ちを最初に発したのは、小賢しい学者を未だ否定し続けるジェリドであった。
この流れ、壇上にて笑みを絶やさぬ学者の思う壺だと知り尽くした上で敢えて若さを肯定したのだ。
その偉丈夫な騎士から若者二人を賛美する気分が波紋の如き輪と成りて拡がりみせ往く。
「そうだッ! 俺だって家族を守りたいんだッ!」
「当然だッ! でなきゃ生命張ったりするものかッ!」
ローダの勇気を見せ付けられ各々守りたい者が在る戦いの本質を叫び始めた。中には「見せ付けやがる」「もぅそのまま結婚しちまえ」ヤジなのか祝福なのか判別出来ぬ言葉も飛び交う。
拍子抜けした顔で皆を眺めるローダとルシア、驚きの顔見合わす。首元迄朱に染まる必然。
豪快に嗤い飛ばしたジェリドが厚い胸板を張り「彼も 良い男だ」と隣に居合わす愛娘の背中を無遠慮に叩くのだ。
鎧を羽織った重い手で背中を叩かれリイナは思わず膨れた顔を父へ浴びせた。『良い男』一体誰と比較してるのか無駄な邪推が頭を過ぎる。
リイナ先生がルシア先生を子供等と共に揶揄った結婚詐欺。退路見失い現実に格上げされたと言っても過言ではない。
兎も角こんな人前で壮大な恥を晒したローダの的外れな宣言が皆の団結を生んだ。
そしてただの開けた大広間が英傑の男女称える式場へと姿を変え始める。
ドゥーウェンの狡猾甚だしき掌返し。結果を決めつけた上で、本物の舞踏会開催を裏で取り仕切っていたのだ。
冷たき会議室のテーブルへ続々運び込まれる豪勢な料理と色とりどりの酒瓶。
美しいドレスに身を包んだフォルテザ市の知名度高い女性達すら雪崩れ込む。
管楽器煌びやかな吹奏楽さえも準備を始めた。さらに二階から吊るされ降り往くグランドピアノが放つ荘厳。
まるで盛大なMagicShowの幕開け。
兵士達、可憐な女達、色彩鮮やか過ぎる極彩色の宴。
「え、ええと……」
その様子に惚けて言葉が出ないルシア。
黒い手袋がそんな彼女の空虚埋めるべくドレスから溢れた清楚を握り、絢爛へと誘うのだ。
「──ッ!?」
温和だが少々荒れた男子の唇がルシアの手甲へ穏やかに触れる。
恭順の形で座り込み、勝手に引き出した彼女の手へ初めてのKissを優雅に与えたローダの愉悦。
「今夜の君は最高に綺麗だ。そして……」
「……?」
ローダ、『綺麗だ』と告げた後、僅かに顔背け言い淀む。
──そして……何?
未だ自分の足元に座り込んだ彼を鼓動で見つめるルシア。何だかとても欲しいものが貰えそうな待ち望む想い。
「そして……とても可愛い」
トクンッ!
「アッ……」
ルシア、掛けられた声に思わず喘ぐ。気を抜いたら最後、その場に砕け落ちそうな気分。
初めて男性から言われた『可愛い』ローダは私の欲しかった一番を余す処なく授けてくれると改めて思い知るのだ。
「行こう、皆待ってる」
立ち上がりルシアの手を引くローダ。凛々し過ぎる、鮮やか過ぎる……。そして今夜は何より巧者過ぎる愛しき男性。
決して焦らず、慣れぬヒールを持て余す自分を気遣い、穏やかに優しさだけで導く燦然と輝いたローダと大階段を緩やかに降りる幸せ。
「あ、あ、わ、私……」
別人が如き煌めきの笑み寄越すローダを心が直視出来ないルシアの夢心地。
履き慣れない高過ぎるヒール、裾引き摺るドレスのスカート。これ迄夢でさえ見た覚えがない大広間に拡がり往く彩色豊かな宴の絵柄。
そんな驚きを全て吹き飛ばす気品滲み出るローダの白い背中。
こんな気持ち、一体如何言い表すのが正解?
気を抜いたら最後、ローダの胸に寄り添ったまま気を失う絶頂迎えそうな快楽。堕ちぬよう懸命に握る手へ真心込めた。
田舎貴族出身のローダに誘われし姫君か、はたまた幸福の絶頂溢れる花嫁が如き気分で、大階段を幸せ踏みしめながら1階の広間迄如何にか降りた。
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