🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第4部『Spinning world(回る世界)』

第32話『Open your(my) hearts(拓け私達の心)』 A Part

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 驚異の外敵が此方に攻め入る──。
 然も嘗てかつてシチリア小さな島アドノス世界の中枢へ押し上げた真実レヴァーラなる女神・ガン・イルッゾ末裔末裔

 動揺どうよう激しい双方の兵士達──。
 我等が大地の創造神が鉄槌てっっいを下すべく眷属血縁寄越すよこす絶望。

 何とも身勝手な話だが此処迄追い詰められた人間達はすがれる新たな神を欲する。
 それは金縁眼鏡きんぶちめがねを掛けた黒服学者で在る訳がない。彼は若き神々英傑達宣教師せんきょうしに過ぎないのだから。

 我がアドノスを守り抜くが為の正義
 独りのあやしい男へ過剰かじょうな力が集まり往く悪事

 白黒つけ切れない悩ましき皆の空気をヒシヒシと肌に感じた若輩じゃくはい過ぎる英雄ヒーローが一歩前へ歩み出た。

「お、俺は貴方達の言う暗黒神マーダとやらを初めて倒した……。そんな話の流れに成っているが俺独りで成し得た訳じゃない。俺は所詮しょせんただの騎士見習い、この島アドノスには生き別れの兄を探しに来た」

 必死にはげまし期待を一心いっしんに自分に注ぐ連中へ訴え始める道化どうけ、ローダ・ファルムーン。

「俺を救世主みたく思ってる人には申し訳ないがこれが事実だ」

 震えた声音こわね感じる若造の語りに耳かたむける群衆がどよめき始める。
 何しろ暗黒神を退しりぞけた男だ、彼を置いて他に願える者なぞ想像出来やしないのだ。

 グィッ。

「──ッ!? ちょ、ちょっとッ!?」
「だ、だけど俺……。ローダ・は、ルシア・ロットレンと彼女の故郷ふるさとを全力で護り抜きたいッ! 今、俺に言えるのはこれだけだッ!」

 あからさまに緊張帯びてる青年の声色。
 近頃ちかごろ自分の蔑ろないがしろにし続けた男が独りの人間として敢えてを明かす。
 加えて美麗びれい女傑ヒロインの肩を無造作むぞうさに皆の目前で抱き寄せ、恥ずかしくも秘めたる愛を上擦んだうわずんだ声で大いに暴露ばくろしたのだ。

 敵味方双方を先導し得る軍神?
 独りの女性を漸くようやく愛し始めたごくありふれた成人男子に求めるなど可笑しなイカれた話だ。

『俺は此奴ルシアを愛してる! 彼女を守る為なら何だってやってやる! 同じこころざしがある者は着いてこい!』

 珍妙ちんみょう御託ごたくを並べるより余程、覚悟の在処ありかが群衆へ染み渡る。心ひらいた男子の誠実せいじつ

 パチッ……。パチパチッ、パチパチパチパチパチパチパチパチッ!!

 巻き起こる喝采かっさいうず──。

 拍手はくしゅの平手打ちを最初に発したのは、小賢しいこざかしい学者を未だ否定し続けるジェリドであった。
 この流れ、壇上だんじょうにて笑みをやさぬ学者の思うつぼだと知り尽くした上で敢えて若さを肯定こうていしたのだ。

 その偉丈夫いじょうぶな騎士から若者二人を賛美さんびする気分が波紋はもんの如き輪と成りて拡がりみせ往く。

「そうだッ! 俺だって家族を守りたいんだッ!」
「当然だッ! でなきゃ生命張ったりするものかッ!」

 ローダの勇気を見せ付けられ各々おのおの守りたい者が在る戦いの本質命の尊厳を叫び始めた。中には「見せ付けやがる」「もぅそのまま結婚GOALしちまえ」ヤジなのか祝福なのか判別出来ぬ言葉も飛び交う。

 拍子ひょうし抜けした顔で皆をながめるローダとルシア、驚きの顔見合わす。首元迄しゅに染まる必然。
 豪快ごうかい嗤いわらい飛ばしたジェリドが厚い胸板を張り「彼 だ」と隣に居合わす愛娘リイナの背中を無遠慮ぶえんりょに叩くのだ。

 鎧を羽織はおった重い手で背中を叩かれリイナは思わずむくれた顔を父へ浴びせた。『良い男』一体誰と比較してるのか無駄な邪推弱気な地元の彼氏が頭を過ぎる。

 リイナ先生せんせぇがルシア先生せんせぇを子供等と共に揶揄からかった結婚詐欺おくたん。退路見失い現実にされたと言っても過言かごんではない。

 兎も角ともかくこんな人前で壮大そうだい恥を晒した愛を語り抜いたローダの的外れな宣言プロポーズが皆の団結を生んだ。
 そしてただのひらけた大広間が英傑の男女たたえるへと姿を変え始める。

 ドゥーウェンの狡猾こうかつはなはだしき掌返してのひらがえし。結果を決めつけた上で、本物の舞踏会開催を裏で取り仕切っていたのだ。

 冷たき会議室のテーブルへ続々運び込まれる豪勢ごうせいな料理と色とりどりの酒瓶さかびん
 美しいドレスに身を包んだフォルテザ市の知名度高い女性達すら雪崩れなだれ込む。
 管楽器かんがっききらびやかな吹奏楽すいそうがくさえも準備アップを始めた。さらに二階から吊るされ降り往くグランドピアノが放つ荘厳そうごん

 まるで盛大なMagicShowお色直し幕開け様相
 兵士達、可憐かれんな女達、色彩しきさいあざやか過ぎる極彩色ごくさいしょくうたげ

「え、ええと……」

 その様子にほうけて言葉が出ないルシア。
 黒い手袋がそんな彼女の空虚くうきょめるべくドレスからあふれた清楚右手を握り、絢爛けんらんへと誘ういざなうのだ。

「──ッ!?」

 温和おんわだが少々荒れた男子の唇がルシアの手甲清楚おだやかに触れる。
 恭順の形で片膝立てて座り込み、勝手に引き出した彼女の手へ初めてのKiss口付け優雅ゆうがに与えたローダの愉悦ゆえつ

「今夜の君は最高に綺麗だ。そして……」
「……?」

 ローダ、『綺麗だ』と告げた後、僅かに顔背けそむ言い淀むよどむ

 ──そして……何?

 未だ自分の足元に座り込んだ彼をルシア。何だかとても欲しいもの言葉が貰えそうな待ち望む想い。

「そして……とても

 トクンッ!
「アッ……」

 ルシア、掛けられた声に思わず喘ぐあえぐ。気を抜いたら最後、その場に砕けくだけ落ちそうな気分。
 初めて男性から言われた『可愛い』ローダは私の欲しかった一番を余す処なくさずけてくれると改めて思い知るのだ。

「行こう、皆待ってる」

 立ち上がりルシアの手を引くローダ。凛々りりし過ぎる、あざやか過ぎる……。そして今夜は何より巧者リードが過ぎる愛しき男性。

 決してあせらず、れぬヒールを持て余す自分を気遣いきづかい、穏やかに優しさだけで導く燦然さんぜんと輝いたローダと大階段を緩やかに降りる幸せ。

「あ、あ、わ、私……」

 別人が如き煌めきの笑み寄越すよこすローダをが直視出来ないルシアの夢心地ゆめごこち
 履きはき慣れない高過ぎるヒール、すそ引き摺るずるドレスのスカート。これ迄夢でさえ見た覚えがない大広間に拡がり往く彩色さいしょく豊かな宴の絵柄えがら

 そんな驚き初めてを全て吹き飛ばす気品滲みにじみ出るローダの白い背中。
 こんな気持ちドキドキ、一体如何どう言い表すのが正解? 

 気を抜いたら最後、ローダの胸に寄り添ったまま気を失う絶頂Ecstasy迎えそうな快楽かいらくちぬよう懸命けんめいに握る手へ真心込めた。

 田舎貴族出身のローダにいざなわれし姫君か、はたまた幸福の絶頂ぜっちょうあふれる花嫁が如き気分で、大階段を幸せ踏みしめながら1階の広間迄如何どうにか降りた。
 ルシア・ロットレン絶好のとき、訪れる妖しき夜の楽園。
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