🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第4部『Spinning world(回る世界)』

第42話『Resistance(叛逆の風)』 B part

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 流された英雄ヒーローローダ・ファルムーン──。
 兄ルイスマーダ突如とつじょ向けた殺意の形。

 2人の男共が命のやり取り始めたのをこれ見よがしに、『これぞ幸いなる切欠きっかけ』と乗じて鍵の女性へ親父面した気分を送り込んだ白髪の老人。だがルシアは決してくじけたりしなかった。

 寧ろむしろ叛逆はんぎゃくの言葉を老人へ吐き付けたルシアの強烈な意識の渦。渇いた老人の脳裏のうり取り巻いたのは、嘗てかつて自ら築き上げた器からの拒絶きょぜつだった。

『し、然し……!』

「彼こそ貴方が望んだ到達点! 判り合おうと努力するからこそ人はきらめくッ! だから私は審判見定めを捨て彼を選んだッ!」

 ルシア発する声の断罪──。
 自ら創造し、役目を与えた老人が次第に裁き受ける。皆の知らぬ間に娘が淀みよどみへ沈めた澱伐天罰、地上を濡らす泥沼どろぬまに等しき男の堕落だらく

「私──ルシア・ロットレンは、彼の鍵であるのを諦めないッ! が負わせた役目じゃないの……彼に降り掛かる災厄さいやくを共に切り拓くでありたいッ!!」

 ブツンッ!

 ルシア、恐らく最初で最後なる断絶の刻反抗期──。
 自らのこめかみ辺りを指でつぶしたの証。彼女は争いの後、ローダがザラレノ・ウィニゲスタから刺された傀儡かいらいの針──これも抜き取る決別みせるに違いなかろう。

 ──き、切りおった!?

 白髪の老人──鍵が語った通り、ルイスマーダ側に与したサイガンおきな

 未だフォルデノ城、王の間から高見の見物洒落込しゃれこみながら娘を造った親の威厳いげんを振り翳しかざし、候補者ローダを想う憐れを紐解ひもとけば、娘が此方へ帰ると思い込んだ。身勝手なる父、造り手ビルダー驕り押し付け
 結果、最悪の形で事切られた。この必然を想像出来なかった愚者ぐしゃ、初老でなく歳老いた老人素のままたたえた姿形。娘の意志を許容出来ずに狼狽えうろたえ床へ独りくずれた。

 少し闘争から脇道へ逸れた──。
 弟ローダVs兄ルイス、血の通った真剣勝負の行方ゆくえに語り部を還すかえす。未だ降り止まぬ豪雨が兄弟の悲愴ひそうな争いの舞台へ泥を敢えて飾り付ける。

 両腕、両脚──すべからず滾るたぎる赤へ転じて嵐の如くに非ずな、命削る炎の舞繰り出すローダ相手に怯むひるむ暗黒神。どちらが神か英雄なのか、論ずるのも馬鹿げたローダの凄烈せいれつ

 ──ローダ、お前それを続けてからだがもつのか?

 生命の危機、ひんしたルイスマーダが弟の身を案じる程の焦燥しょうそうにじんだ。

 もぅ、何度語ったか思い出せぬ漁村エドナでの初なる争い、弟が狂戦士あのおり、人の枠組みくだいた所作しょさ。次こそ戻れぬ絶望の断崖だんがい、踏み込む危うさ感じた。

 ──がっ、僕は兄。弟がたがえた道を戻すのは僕以外在り得ない!

 すき見せるルイスマーダ覚悟の変遷へんせん。己が脚の動きを緩慢かんまんに落とす巧みたくみ

 弟が人類忘れた奇態きたい続ければ肉体の限界を越え、魂さえ砕けるふちへと滑り落ちる危うさ。エドナ村での初戦に於いては寧ろむしろそれを狙った。

 されど現状ルイスマーダとて鍵の可能性秘めた黒き女を得たのだ。

 更なる躍進やくしん至るには同じ境遇きょうぐう只中ただなか漂うただようローダを失う訳には往かぬ。神の座、放棄ほうきしたルイス。弟の不測止める抵抗器Resistance演ずる決意固めた。

 英雄落とす供物くもつして惜しげもなく投げ売ったルイスの左足首。
 見逃す道理なき情け落とした破棄したローダの滾るたぎる右脚の錬成れんせい対価たいかだ、持って行かねば世の理よのことわり均衡きんこうを歪める。

「グッ!」
「……」

 弟蹴り出す紅色の右脚に斬られたルイスの穢れた不浄の左、宙を舞い回りくねりて血飛沫ちしぶき散らす。遂に神童とたたえられた兄、超越果たしたかにみえた絵面。

 だが蹴り斬ったローダの右脚が斬り結ぶ相手失い輪廻りんねとき、忘却した最中、好機転じた教期教え──教鞭きょうべん受ける羽目に否応なく陥ったおちいった

 斬り結びの永久不変から漸くようやくのがれたルイスマーダ紅色の蜃気楼レッド・ミラージュ名称の具現化。赤い霧ミラージュへ自らをすべからず沈めた逃亡果たす。

 独りよがりな陣地への帰還きかん果たしたルイスマーダ、蜃気楼を実体化させ英雄へ反撃の突き立てる機会窺ううかがう。教鞭──弟へ教える大剣震える振るえる光明差した瞬間。

 ズダダッ! ズダダッ!

 絶望の鐘声銃声鳴り響く救済届かぬ教会、救い拒むこばむ螺旋Möbius再び訪れた。

「ぐぅッ!? な! ば、馬鹿な! 何故Leythemendレイジメンドが僕の霧中に!」

「ふぅ……」

 だいぶ忘れ去られた存在、銀髪のレイが空間転移で跳躍ちょうやくさせた二丁拳銃レイジメンド。正に刹那に違わぬ霹靂へいれき。次の瞬間、持ち主の両手に帰還果たした相棒愛人達は、レイがともした煙草が如き官能の余韻吐息、兵器共震わす。

 撃ち抜かれた不憫ふびんなるルイスマーダ──。
 新たな傷、よもやな追従ついじゅう受け、痛々しき流血以って直属の配下ヴァロウズ次点底辺、レイを糾弾きゅうだんした。

「ア"ッ!? 手前テメェの赤い霧は異空間へ通じてんだろ? 同じなんだよ、ヴァロウズ10番手、レイ様の空間転移ん中、うろつかれたら乱れ撃つしかねぇんだよ」

 レイの煽りに暗黒神であったルイスマーダ愕然がくぜんの解式。方程式の解法──X主人Y次点虚無ゼロ導き出す巫山戯ふざけに色失った。

「レイッ! 貴女裏切る気ィッ!」
「ハンッ! 俺様がLey! 面白そうな方に付く! 最初始めからそういう契約なんだよ!」

 撃たれたルイスマーダの肩代わり──。
 完全に暗黒神と肩並べた仕草でレイを叩く4番目超越したフォウの苦言。

 踏ん反りふんぞり返ったレイ、悪びれた様子皆無で寄越よこした女の視線、女らしき束縛の象徴。レイは一笑に付し、暴言で断ち消えにした。

 4番目フォウ10番目レイ睨みにらみ合う女同士。暗黒神のを継いだフォウの魔導は無双。
 されど所詮しょせん詠唱在りきの術だ。空間転移で襲来するレイ呼び込む眷属小銃達は相性劣悪れつあく。援護する者なくしては抗えぬ悔みくやみ愛傾あいかたむけた男護れなき苛立ちいらだち

 ルイスマーダ、手出し出来ぬフォウと裏切りのレイ。何れも頼れぬ崖っ淵がけっぷち

 そこへ無言の赤纏いあかまといし男が追従ついじゅうの刃で迫る──。

 落ちた兄へ最早語る口持たぬ形相、ローダが兄弟の断絶思わす紅の四刃かざした構え。
 ルシアが授けた風の翼で羽ばたき強襲。兄ルイスに対する裏切られた想いの怒号と愛するルシアを死守する誓い。それは判る──が、本気で兄を黄泉よみ送りする罪人へ自分を堕とす不可思議。

 ルイス・ファルムーン、嘗てかつて無き最大の危機、然も弟が運ぶ死神の鎌呼び込む戦慄せんりつちまた

 ヴァンッ!

「──フンッ!」
「なッ! そ、その!」

 再逆転──螺旋の嵐、創造した風神が逆さ回し。じた風がルイスへ与えた好機。
 ローダ、手刀から滾る拳へ瞬時転じた。闇堕ちした兄の目覚め促す赤の鉄拳を振るう。

 だがローダの滾る拳のは何と大剣に非ずあらず、等しく燃え盛る炎の精霊火の民がルイスの左腕に乗り移ったが如き赤色せきしょくかいなで受け止めた。

 ローダから蹴り対価で斬られ、Leythemend法の先導者が散らし尽くした裁きの銃痕じゅうこん

 血塗れ、満身創痍まんしんそういルイスマーダが降らせた血の雨浴びるローダ。まみれた泥がドス黒いへ転化した凄惨せいさんなる兄弟喧嘩、血の繋がり──同じ血で血を洗う哀れ。

「フフッ……これが候補者のさかしいな」

 ローダが見様見真似で成し得たガロウ・チュウマの必殺剣『示現我狼じげんがろう
 命霞むかすむ最中、ルイスがみせた

 漸くようやく冷笑へ返れたルイス、喜悦きえつ浮かべた血塗れ。
 フォウ・クワットロをルイス自ら『君を鍵へ昇華させる』と誓った言葉の具現、血の鏡像へ刻み返した。

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