🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第4部『Spinning world(回る世界)』

第43話『Cradle of fading soul(命の在処)』 A Part

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 互いの全身全霊──。
 扉の候補者としての矜持きょうじぶつけ合った兄弟の苛烈かれつ極まった対峙たいじ

 弟・ローダ・ファルムーンは、ガロウ・チュウマの必殺剣を模倣もほう、己の手足でそれらを具現化成し得た。

 一方、ルイス・ファルムーン。
 300年もの時をかてに能力者たちの意識毎を能力を奪い尽くし、その力を纏め上げた。
 そしてヴァロウズ4番目、フォウ・クワットロが惜しみなく彼を受け容れ器へ転じた愛。

 ルイス自身も惜し気なく続けた愛の証──。

 偽りなき意志認め重ねり交わり、鍵は。ルイスの扉拓かれた証、それは弟の赤き必殺手刀を拾い上げた体現。赤と紅交えた情熱衝突した炎、兄弟を候補者と認めた刻印に命をたきぎへ変え大いに燃え盛った。

「グッ!」
「う、うぅ……」

 両者一歩も退かぬ血みの争い──。
 片足無くしたルイス、悔やみにじんだ顔隠さず、その場に立てない己の弱さを呪う。
 ルシアから風の精霊集めた翼受領したローダさえも遂に羽根ついえた。

 ルイスはレイの放った銃弾の雨を全身に受け、然も弟へ差し出し左足首失った満身創痍そうい

 ローダの方は一見無傷、されどRaviNeroラヴィネロから続いた連戦がたくわえた疲労。
 そして何より己の体力を越えてなお成長し続けるが彼の全身をむしばんでいた。

 互いの意地、されど無謀むぼうと云う言葉だけで語り尽くせぬ続けた二人。とうに越えていた限界の枠。揺るぎない力と意志、叩き付けた成れ果ての図式。

 ──ひ、光が…散って?

 陽光照らす昼間の最中、あわれな両者から焚火たきびの残り火的なものが散り往く様に気付いたフォウ。
 琥珀色こはくいろの瞳が追い縋るすがる。燃えた崩れた欠片にしては、僅かに煌びやか過ぎる金色こんじき、フォウの視線捉えて離さぬ300年前のこよみ匂わせた。

「も、もぅ無理よッ! 二人共止めてぇッ!」

 悲痛なるルシアの叫び──。
 英傑えいけつ? 世界? そんなごみは要らぬ愛込めた女性の優しみ。『男同士だ、割って入るな』云われた言葉、人間として約束破りたい衝動駆られた。

 無理もなき話、初代現人神あらひとがみレヴァーラ・ガン・イルッゾのまるで生まれ変わり。そんな外敵ルヴァエルと全力出し切り戦い抜いた時点でこの兄弟、既にのだ。

 だが『それでも』と未だ闘争の火種、残響オーラを形と成した影だけ飛ばし絡み合う二人の候補者。未だ命最後まで削り合う哀情あわれ欲する漢の残火サガか。

 パンッ! パンッ!

 此処で不意に水差す単発の銃声鳴り響いた。
 ローダとルイスの耳元抜いた銃弾、降って湧いた異なる戦慄せんりつ鼓膜鼓動震わす。

「あの嬢ちゃんがもう止めろって言ってんだろ馬鹿か手前テメェ等!」

 口調こそがれたナイフが如きレイの罵声ばせい。けれども彼女とて所詮しょせん、命育むはぐくむ資格持ち得た女性なのだ。
 無駄に消え失せそうな命と愛の湧き水、『嬢ちゃん』に乗じ止めに入った女の本質サガだ。

 ボッ!

「それとも俺様の可愛いLeythemendレイジメンド、最初の餌食。蜂の巣にしてやろうか? 俺はどちらでも構わないぜふふ……」

 煙草を吹かし、冷徹な目線を利かん坊な兄弟二人を詰りなじり送り付けたレイ愉悦の。語る迄なくこれは両者を現実へ引き戻す煽りに過ぎない。

 レイは嘗てかつて同僚刑事との間に身籠みごもった命を死産した哀しき過去を引きっている。似た顛末てんまつなど御免ごめん被りたい本音を煙草の煙へ乗せた。

 彼女がえた『俺がレイ』Leyは後付けの名。
 己が法を語る事で過去の償い果たすべく生きるのがレイの真情。自分の意志で法を問えば過ち犯しても背負うのも我独りな唯我独尊ゆいがどくそん、それを形にしたのがLey-the-mendの先導者なのだ。

「フフッ……悔しいが君の云う通りだよレイ。役者が上手うわてだね、僕も此処で失せる訳には往かない」

ルイスマーダ様?」

 女の肩へ縋りすがり如何どうにか片足で地面に立つルイスの苦笑。
 暗黒神の負け惜しみと判るフォウの驚き。同時に此れでこの争いから恋慕れんぼ寄せる男をかつぎ出せる心の弾みはずみを感じた。これを恥だと覚え、己を心音心の声罵倒ばとうした。

 ドサッ!

「──ッ!?」

 ルシア、蒼い瞳に飛び込んだローダ無言の事切れ。此方も声失う驚異の仕草。
 前のめりに倒れ、土煙舞う視界。『嘘よ』と喉張らしたき全身の震え。目泳がせ、足虚ろうつろい彼氏の元へ近寄る情。勝手に哀惜あいせきの涙湛えたたえ始める自分を必死に否定したい気持ちすさんだ。

 初めてローダが狂戦士化して物言わぬからだに為った折、愚かにも抱きかかえ天才司祭リイナの元へ無理矢理連れた強引の記憶浮かぶ。『触れたい』『抱き締めたい』胸つかえた辛み。

 動かぬ恋人の上、触れたい衝動を如何どうにかえ、両肘両膝を曲げ、重さ被せぬよう慎重に身をかたむける。
 息遣いを感じるほどの距離へ五感を寄せたルシア──胸つかえた辛みが絶望成して押し寄せた。感じたかったもの、感じられなかった

 ポタッ……ポタッ、ポタッ、ポタポタポタポタポタッ。

 命漏らした涙雨、感ずるか不明なローダの顔へ『生きろ』心張り裂けんばかりに染み渡る。
 涙溢れてローダの姿が虚像きょぞうに感ずるルシアの失望、永遠の愛誓い合った彼が徐々に遠ざかる嫌な感覚膨らむのを収め切れない。

「い、嫌……嫌よ。絶対に嫌。はどうするのよ……」
「なっ?」

 ルシア、命の辺りをさすりて首振り涙散らし尽くす必死の訴え。泣きじゃくり、子供の様にごねる悲しみ。
 耳に届いたルイスマーダ、細い目見張り往く様。鍵の女性、気に掛かる含み台詞。魂揺さ振れらた痛み感じた。

「いやぁぁぁぁぁッ!! アァァァァァッ!!」

 最早辛抱諦めたルシアの泣き叫ぶ絶叫、世界中の最先端技術集め尽くしたFortezaフォルテザへ虚しく響く。
 冷たくなり掛けた彼氏のカラダ──全身全霊、己の命注ぎ込みたい号泣。魂込め、全力で抱き締めた。
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