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第5部『Resonant Fate(響命)』
第60話『Lovable world(愛すべき世界)』 A Part
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戦之女神と崇められるエディウス神の聖地を牛耳っていたフィスチノ。
術者の枷を外す『拘束之鎖』
加えて被術者に於ける生前──罪の重さを秤にかけ、応じて魂を縛り上げる狂気の術式『魂之束縛』
何れも生き残りの賢士スオーラ・カルタネラが満身創痍で立て続けにこれらを彼女独りだけで駆使した。
強固な守備誇るフィスチノの躰を細切れに裂いて散らしたのだ。
ふらり……。
僧兵フィエロ・ガエリオの心を取り戻した際と同じく、意識を失い今にも卒倒し掛けたスオーラの危険。
「す、スオーラァァッ!」
両目に涙湛えながら、愛傾けた彼女を支えるべく駆け寄ろうと地面を蹴ったフィエロ。
けれどもローダ・ファルムーンが左手挙げ無言の静止を要求、スオーラは倒れなかった。
賢士ルオラ扮したルシア・ロットレンが風の精霊に働き掛け、目に映らぬベッドを創造。スオーラに与えた。気を逸したまま宙に浮き眠るスオーラの痛々しい姿。
「フィエロ、気持ちは判る……が、今は安静にすべきだ」
緊張感滲んだローダからの忠告。
フィエロの母、エリナ・ガエリオ司祭が大層狼狽え、眠りに誘われたスオーラの顔を心配あり気に覗き込む。
魂之束縛は、賢士の起こす奇跡の中でも殺傷能力に長けた術だ。
なれど通常の賢士がこれを用いる為には、拘束之鎖で己の心を極限まで高めるのが必須条件。
扉の候補者、ローダ・ファルムーンは変身に近しい力を己に課し続け、在り得ぬ成長曲線を描いている最中だ。そんな彼だからこそ拘束之鎖が孕む危険性をおのずと知れた。
「賢士が拘束之鎖を詠唱する時、それは自分の命を魂之束縛のため捧げるのと、ほぼ同義なのです……」
慟哭しながら途轍もなき知識を明かすエリナ司祭。
老いた彼女はこれ迄にも賢士達が同じ死に様を晒した哀しみの記憶を辿り往く。衝撃過ぎて『ほぼ同義』で〆た希望に気が付かない面々。
「なッ、何だとッ!」
「グッ!」
思わず母エリナへ喰って掛かる息子フィエロの絶望。
賢士ルオラの偽物、歯を食い縛り緑の瞳を逸らした。
「皆様も御覧になったことでしょう。スオーラ様の躰から突き出た心の鎖を。あの鎖を対価に相手の鎖を引き出すのです。心の枷を知らないルオラ様だけが、対価不要で魂之束縛を扱えたと聞きます」
エリナ司祭の語りが真実なら実質、魂之束縛は賢士ルオラの専用術式。肩震わせ泣き語るエリナの言葉、例え悪気はなくても偽物の心を深く抉った。
戦之女神、他の兵達も言葉が出ない。『ルオラ様が殺れば良かったんだ』そんな心無きヤジは飛ばなかったのが幸いだと言えた。
「待ってくれ、彼女はまだ死んだ訳じゃない。僅かだが魔力を感じる。此処は俺……そうだ、フィエロ・ガエリオとこのローダに任せてくれ」
ヴァサッ!
黒マントの男、語りながら少し思考へ耽った後、マントを剥ぎ捨て堂々と、その姿を世間に晒す。そして自分の左隣で気の早い哀悼の涙流すフィエロの肩を小突いた。
右隣には戦之女神軍の連中。これ迄、見覚えない格好の少女が佇む。不思議を絵に描いた男の存在感。
そう云えば先程からずっとルオラ様に馴れ馴れしく近寄るこの男は何者なのか? 周囲がおのずとざわつき始めた。
「お、俺……ッスかぁ!?」
途端に涙枯れたフィエロ、自分の眉間を指差し驚きの表情をローダに手向けた。
「そうだお前だ、お前じゃなきゃ駄目なんだ」
珍しく勝手に話を進める勢い余分なローダの行為。普段在り得ぬ目の輝きがフィエロの心に突き刺さる。
共に白地の布で包んだ金色の塊を皆に見せた。それはローダが倒して封じた魔神ラウムの変わり果てた姿であった。
「それからフィスチノ──残念だが奴は、まだ生きている。この金色が残留しているのが証だ。ルシア・ロットレン、そして大変優秀な修道騎士副長ルッソ・グエディエル殿にお任せしたい!」
これまた途方なき事柄言い出した黒髪の一件地味な男。
これ迄散々『目立つな』とルシアを言いくるめ続けた彼氏が彼女の品格、身勝手にも公表したのだ。
「は、はぁッ!? あッ! 手前あの時のッ!」
何だかとても良い感じに煽動されたルッソ、数日前にフィエロと密談交した男だと思い出す。偃月刀で指差した。
「ろ、ローダ? 貴方一体何を考えて?」
最早頭を抱える気さえ失せたルシア。
例の初夜、あの刻の行動力を彷彿させるローダから男を魅せられ語彙力喪失。
魔神ラウムは、これ迄ずっとローダとヒビキだけで相手していた。故に周囲の者共は、悪魔の存在自体よく知らぬのだ。ルシアだけが反応、然も口を余分に滑らせた。
けれどルシア、直ぐにいい加減、嫌気の差す気配を感じ取った。
飛び散ったフィスチノの破片、各個が息づく気色の悪さを捜し当てた。
ヴァサッ!
「もぅ──こうなったらやるしかないよね。鍵の魔女、本物の実力を存分に見せつけてあ・げ・るッ!」
賢士ルオラも一肌脱いだ。藍染の六芒星を脱ぎ捨て、普段通りな白地に赤い刺繍が入るヒラッヒラした妖しき天女姿を此方も存分晒した。
加えて生まれ変わり後の第一声『あ・げ・る』と共に臓物が如く蠢いたフィスチノの一部を無遠慮にも踏み潰した。そして『宜しくね』とルッソを向き、片目瞑って愛想を寄越した。
「良いかフィエロ、お前はスオーラが持つ無限の可能性に依って救われた。今度はお前が彼女に──いや、ちょっと違うな。彼女とお前だけの夢を見せてやる番だ」
ローダ、変身処か中身が入れ替わったが如き目の覚めた顔つき。
驚き慄くフィエロの両手を真心込めて掴み、その心意気を躊躇いなく伝えたのだ。
◇◇
此処はヴァロウズのNo2、学者を気取ったドゥーウェンが仕切る街Forteza市。今時分、世界で最も美しい世界である。
一足先に任務を終えたハイエルフのベランドナ、戦之女神の天才司祭リイナ・アルベェラータが無事帰還を果たした。
リイナは、エドル神殿跡から不死鳥の能力を持ち帰った。
さらに旧不死鳥の申し子、ジオーネ・エドル・カスードを仮死状態ながら救出。
ジオーネ少年は、冷凍睡眠装置にて静かな眠りに付いていた。
「嗚呼ッ! 堂々と生きてるってバラしてどうするんですかァッ!?」
英雄ローダが生きていた真実──。
堂々名乗り出た映像を覗き見たドゥーウェンが、金髪を搔きむしり、大いに荒れた。
ローダ・ファルムーンは、兄ルイスとの対決に於いて死したと世界へ報じた。
ロッギオネ奪還の争いは、世界に中継している訳ではない。
されど人前に戸を建てる無意味を知り尽くした情報屋の彼である。直に世界が知る未来なぞ想像するのも馬鹿げていた。
死んだ筈の英雄が実の処生きていた。
これを知った世界は確かに黙認する訳がない。然も敢えて隠した理由も問われるに決まっているのだ。
大層荒ぶるドゥーウェンの後ろ側、苦笑を突き合わせるベランドナとリイナが居た。
「まあ、ローダさんとルシア御姉様らしいんじゃないですか?」
やれやれと云った態度で肩竦めるリイナである。
隣のベランドナ、無言だが緩んだ顔で共に頷く。命削る戦いを共に過ごした両者、すっかり気心知れた間柄に進展していた。
──あの派手な二人が隠密行動……。
──無茶ぶりが過ぎたのですよMaster。
言葉を交わす迄もない結実を見た気分のリイナとベランドナであった。
術者の枷を外す『拘束之鎖』
加えて被術者に於ける生前──罪の重さを秤にかけ、応じて魂を縛り上げる狂気の術式『魂之束縛』
何れも生き残りの賢士スオーラ・カルタネラが満身創痍で立て続けにこれらを彼女独りだけで駆使した。
強固な守備誇るフィスチノの躰を細切れに裂いて散らしたのだ。
ふらり……。
僧兵フィエロ・ガエリオの心を取り戻した際と同じく、意識を失い今にも卒倒し掛けたスオーラの危険。
「す、スオーラァァッ!」
両目に涙湛えながら、愛傾けた彼女を支えるべく駆け寄ろうと地面を蹴ったフィエロ。
けれどもローダ・ファルムーンが左手挙げ無言の静止を要求、スオーラは倒れなかった。
賢士ルオラ扮したルシア・ロットレンが風の精霊に働き掛け、目に映らぬベッドを創造。スオーラに与えた。気を逸したまま宙に浮き眠るスオーラの痛々しい姿。
「フィエロ、気持ちは判る……が、今は安静にすべきだ」
緊張感滲んだローダからの忠告。
フィエロの母、エリナ・ガエリオ司祭が大層狼狽え、眠りに誘われたスオーラの顔を心配あり気に覗き込む。
魂之束縛は、賢士の起こす奇跡の中でも殺傷能力に長けた術だ。
なれど通常の賢士がこれを用いる為には、拘束之鎖で己の心を極限まで高めるのが必須条件。
扉の候補者、ローダ・ファルムーンは変身に近しい力を己に課し続け、在り得ぬ成長曲線を描いている最中だ。そんな彼だからこそ拘束之鎖が孕む危険性をおのずと知れた。
「賢士が拘束之鎖を詠唱する時、それは自分の命を魂之束縛のため捧げるのと、ほぼ同義なのです……」
慟哭しながら途轍もなき知識を明かすエリナ司祭。
老いた彼女はこれ迄にも賢士達が同じ死に様を晒した哀しみの記憶を辿り往く。衝撃過ぎて『ほぼ同義』で〆た希望に気が付かない面々。
「なッ、何だとッ!」
「グッ!」
思わず母エリナへ喰って掛かる息子フィエロの絶望。
賢士ルオラの偽物、歯を食い縛り緑の瞳を逸らした。
「皆様も御覧になったことでしょう。スオーラ様の躰から突き出た心の鎖を。あの鎖を対価に相手の鎖を引き出すのです。心の枷を知らないルオラ様だけが、対価不要で魂之束縛を扱えたと聞きます」
エリナ司祭の語りが真実なら実質、魂之束縛は賢士ルオラの専用術式。肩震わせ泣き語るエリナの言葉、例え悪気はなくても偽物の心を深く抉った。
戦之女神、他の兵達も言葉が出ない。『ルオラ様が殺れば良かったんだ』そんな心無きヤジは飛ばなかったのが幸いだと言えた。
「待ってくれ、彼女はまだ死んだ訳じゃない。僅かだが魔力を感じる。此処は俺……そうだ、フィエロ・ガエリオとこのローダに任せてくれ」
ヴァサッ!
黒マントの男、語りながら少し思考へ耽った後、マントを剥ぎ捨て堂々と、その姿を世間に晒す。そして自分の左隣で気の早い哀悼の涙流すフィエロの肩を小突いた。
右隣には戦之女神軍の連中。これ迄、見覚えない格好の少女が佇む。不思議を絵に描いた男の存在感。
そう云えば先程からずっとルオラ様に馴れ馴れしく近寄るこの男は何者なのか? 周囲がおのずとざわつき始めた。
「お、俺……ッスかぁ!?」
途端に涙枯れたフィエロ、自分の眉間を指差し驚きの表情をローダに手向けた。
「そうだお前だ、お前じゃなきゃ駄目なんだ」
珍しく勝手に話を進める勢い余分なローダの行為。普段在り得ぬ目の輝きがフィエロの心に突き刺さる。
共に白地の布で包んだ金色の塊を皆に見せた。それはローダが倒して封じた魔神ラウムの変わり果てた姿であった。
「それからフィスチノ──残念だが奴は、まだ生きている。この金色が残留しているのが証だ。ルシア・ロットレン、そして大変優秀な修道騎士副長ルッソ・グエディエル殿にお任せしたい!」
これまた途方なき事柄言い出した黒髪の一件地味な男。
これ迄散々『目立つな』とルシアを言いくるめ続けた彼氏が彼女の品格、身勝手にも公表したのだ。
「は、はぁッ!? あッ! 手前あの時のッ!」
何だかとても良い感じに煽動されたルッソ、数日前にフィエロと密談交した男だと思い出す。偃月刀で指差した。
「ろ、ローダ? 貴方一体何を考えて?」
最早頭を抱える気さえ失せたルシア。
例の初夜、あの刻の行動力を彷彿させるローダから男を魅せられ語彙力喪失。
魔神ラウムは、これ迄ずっとローダとヒビキだけで相手していた。故に周囲の者共は、悪魔の存在自体よく知らぬのだ。ルシアだけが反応、然も口を余分に滑らせた。
けれどルシア、直ぐにいい加減、嫌気の差す気配を感じ取った。
飛び散ったフィスチノの破片、各個が息づく気色の悪さを捜し当てた。
ヴァサッ!
「もぅ──こうなったらやるしかないよね。鍵の魔女、本物の実力を存分に見せつけてあ・げ・るッ!」
賢士ルオラも一肌脱いだ。藍染の六芒星を脱ぎ捨て、普段通りな白地に赤い刺繍が入るヒラッヒラした妖しき天女姿を此方も存分晒した。
加えて生まれ変わり後の第一声『あ・げ・る』と共に臓物が如く蠢いたフィスチノの一部を無遠慮にも踏み潰した。そして『宜しくね』とルッソを向き、片目瞑って愛想を寄越した。
「良いかフィエロ、お前はスオーラが持つ無限の可能性に依って救われた。今度はお前が彼女に──いや、ちょっと違うな。彼女とお前だけの夢を見せてやる番だ」
ローダ、変身処か中身が入れ替わったが如き目の覚めた顔つき。
驚き慄くフィエロの両手を真心込めて掴み、その心意気を躊躇いなく伝えたのだ。
◇◇
此処はヴァロウズのNo2、学者を気取ったドゥーウェンが仕切る街Forteza市。今時分、世界で最も美しい世界である。
一足先に任務を終えたハイエルフのベランドナ、戦之女神の天才司祭リイナ・アルベェラータが無事帰還を果たした。
リイナは、エドル神殿跡から不死鳥の能力を持ち帰った。
さらに旧不死鳥の申し子、ジオーネ・エドル・カスードを仮死状態ながら救出。
ジオーネ少年は、冷凍睡眠装置にて静かな眠りに付いていた。
「嗚呼ッ! 堂々と生きてるってバラしてどうするんですかァッ!?」
英雄ローダが生きていた真実──。
堂々名乗り出た映像を覗き見たドゥーウェンが、金髪を搔きむしり、大いに荒れた。
ローダ・ファルムーンは、兄ルイスとの対決に於いて死したと世界へ報じた。
ロッギオネ奪還の争いは、世界に中継している訳ではない。
されど人前に戸を建てる無意味を知り尽くした情報屋の彼である。直に世界が知る未来なぞ想像するのも馬鹿げていた。
死んだ筈の英雄が実の処生きていた。
これを知った世界は確かに黙認する訳がない。然も敢えて隠した理由も問われるに決まっているのだ。
大層荒ぶるドゥーウェンの後ろ側、苦笑を突き合わせるベランドナとリイナが居た。
「まあ、ローダさんとルシア御姉様らしいんじゃないですか?」
やれやれと云った態度で肩竦めるリイナである。
隣のベランドナ、無言だが緩んだ顔で共に頷く。命削る戦いを共に過ごした両者、すっかり気心知れた間柄に進展していた。
──あの派手な二人が隠密行動……。
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