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第5部『Resonant Fate(響命)』
第59話『Infinity(無限の火種)』 B Part
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扉の候補者ローダ・ファルムーンが、意識の壁を一切持たぬヒビキと結託。
魔神ラウムを遂に封じた成功劇。
一方ラウムの力を借り受け石の傀儡を大量に生成、戦之女神軍を相手取る未だ謎めいた敵フィスチノ。
戦之女神の一番弟子賢士ルオラを偽ったルシア・ロットレンを相手取り辟易していた。
「クッソ、ラウムめ。一体何してやがんだ」
フィスチノ、使役した悪魔へ歯軋りし続けたまま文句を垂れる。目前に立ちはだかった化物より怪物なる女を魔神に任せたいと強く望んだ。
ジャリッ……。
「ラウムなら此処だ」
黒マントを羽織った何やら地味な男が見せ付けた白い布地。驚愕に目をひん剥くフィスチノ。探索者風の男が連れて来た白地の布、内側から確かに悪魔の残り香滲み出るのを感じ取った。
「き、貴様ッ! 例の男かァッ!」
「──?」
フィスチノが涎垂らし待ち焦がれた最上級の香り漂わせた好い男。此奴を喰らいたくこの刻を切望した。されど共連れの女の力が怪物だった。
驚倒しそうなほど揺らいだ直後、自分を見つけ狂喜乱舞しそうな敵の変遷ぶりに首を捻るローダ。よもや自身が最高級ランクの肉に分類されていたとは思いも寄らなかった。
前髪だけ緑のフィスチノが赤い後ろ髪を惹かれた様に、ローダへ飛ばす。捕縛の為に用いる真っ赤なロープを思わせた。
ブチィッ!
驚喜に己の力加減がまるで足らぬ事実を置き去りにしたフィスチノの髪を叩き千切ったのは、ローダはおろかルシアですらなかった。
新月の夜、朱色の棒が大いに輝き映えた怒りの僧兵フィエロ・ガエリオ。
想定外の横槍、やられたフィスチノは当然。助けられたローダや、出番を横取りされたルシアも瞠目し尽くした。
「手前だけは絶対この俺が赦さねぇッ!」
棒を突き出し、怒りぶちまけたフィエロ。危うく自分が愛するスオーラを殺す重罪を犯す一歩手前であったのだ。必然の訴えである。
「はぁ"ッ!? ハンッ、雑魚がッ! お前なんかに何が出来んだッ!」
またしても甘い息を吐いたフィスチノの二番煎じ。無力に思えた僧兵の餓鬼を再び傀儡に引き摺り堕とすつもりだ。
──何だ? 如何して彼奴の棒術が此処まで届いた?
再び危機に瀕したフィエロなのだが、独り違う疑問がローダの脳裏を過ぎる。フィエロが見せた能力だけでは説明付かない事象に気付いた。
然し今はそんな疑問よりフィエロを飲み込む甘い息の対策を最速で為せなばならぬ。周囲がそんな考え巡らす束の間。フィエロは、己だけで答えを導き出すのだ。
実に単純明快──棒を両手で回転、巻き起こした風で甘い息を全て弾き飛ばした。
「グゥッ!」
「来ると判ってりゃ効かねえんだよッ!」
一兵卒なる若い僧兵相手に狼狽え冷汗噴き出すフィスチノ。
その場から一歩たりとも動かず、フィエロは朱色の棒を悪意の根源目掛け振り下ろした。
「馬鹿めッ! 間合いがまるで判っちゃいねえッ!」
思わず心の声が漏れたフィスチノ淵際の虚勢。
フィエロの行動も不自然、彼ほどの使い手が自身の間合いを誤る道理がないのだ。
ジャランッ!
「なッ! ウグヮァッ!!」
再び明快過ぎる正答を寄越したフィエロの棒術。フィスチノの脳天を直撃、両目が飛び出た錯覚。それほどの激痛がフィスチノの全身を走り抜けた。
フィエロの得物、朱色の棒が伸びた。
随分間抜けな語りに思えるだろう。彼の棒は三節混、内に鎖を潜ませていた。三節混の鎖分が伸び切り、フィスチノの脳天を捉えたのだ。
フィエロは、第一のチャクラ混じる渾身を叩き付けた。
本来ならどんな化物でも頭蓋を割られた衝撃を受ける会心の一撃へ跳ねるべき処。
なんとフィスチノ、痛がるだけで終わる巫山戯た結果を見せ付けたのだ。仕掛けたフィエロに驚き、やられたフィスチノに舌巻く思いの一同。
フィスチノ脅威の防御力──この布陣で打撃力最強を自称するルシアですら未だ洗髪出来ぬ金髪をかきむしりたい衝動駆られた。
「──デエオ・ラーマ、戦之女神よッ!」
如何にしてこの頑強過ぎるフィスチノを叩き潰すか?
そんな悩みに心囚われ掛けた連中、違う向きから異質な激震駆け抜けた。
声張り上げた賢士、これぞまさしく奇跡の詠唱。戦場全体を覆い尽くす。
血に濡れた六芒星、既に己の全力を使い果たした筈のスオーラ。
最早詠唱の枠組み超越した絶叫、彼女にこれ以上はないと思い込んだ仲間。スオーラ・カルタネラは、真の無限を手中に収めたと皆に思わす。
戦之女神の司祭級エリナがスオーラの脚にしがみ付いていた。
回復の奇跡をスオーラへ施したに相違あるまい。
さりとて魔力は戻っていないのだ──。
この世界軸、魔力の完全枯渇は脳死に直結する。故にエリナは、全力以ってスオーラを引き留めているのだ。
「──我を拘束する心之鎖を解き放つ! その鎖をかの者へ捧ぐ! さあッ、縛りあげよ! ──『拘束之鎖』!」
如何やら賢士の御業が完結をみたらしい。詠唱通り、スオーラの胸内から無数の鎖が現れフィスチノに届き拘束すべくツタの様に絡みゆく。
「……心之鎖を解く?」
詠唱を聴き終えたローダの顔色、外れて欲しい想像浮かび色を失う。
「何だこんな物ォッ!」
うざったいと感じた鎖を振り解こうと、フィスチノが全身を捻じり藻掻いた。何とも無念だがこの勢い、スオーラの放った鎖が今にも千切れそうに思えた。
打撃に依る防御だけでなく、魔法防御もやはり桁外れの強固に違いない。
「デエオ・ラーマッ! 戦之女神よぉッ! 地獄の番犬ケルベロスの鎖を以ってッ!」
「な、く、鎖ィッ!? まだ次があんのかよッ!?」
よもやな度重なるスオーラ、詠唱を腹から咆哮。またしても鎖が絡む。
流石のフィスチノも顔面蒼白。この詠唱、明らかに先程の上を征く圧倒感に満ち溢れていた。
「……かの者に潜む罪悪の鎖を具現化せよッ! その身、自らの罪に縛られる運命を呪うがいいッ! ──『魂之束縛』!」」
魂を銃弾の如く積め込めた詠唱が遂に決した。スオーラが右手の指だけを目一杯広げ、悪の権化へ向けた。少しずつ指を曲げ始める。見えぬ何かを握り潰そうとしてる仕草。
「う、うぅ……ば、馬鹿なッ!? こ、こんなものでェッ! ば、馬鹿ッ! よ、止せッ!」
初めにスオーラが絡めた鎖は姿を眩ます。フィスチノの躰に沈んで失せた。
スオーラが、さらに右手に力を込める全身全霊。
拘束之鎖──。
先ず詠唱通り術者の能力値を最大値に引き上げる為、心の枷を外した挙句。その鎖を敵へ投げ込む。
対為す魂之束縛──。
拘束之鎖で投げた鎖すら糧に、相手の罪深さを秤にかけ、魂縛るげに悍ましき術式。
何物も受け付けなかったフィスチノがきたす焦燥、息荒げて苦しむ様。これ迄なき震撼、誰の目にも明らかであった。
「ウグッ! ぐわぁぁッ!」
断末魔、胸押えたフィスチノの心肺機能が停止。
完全に動きを止めたかと思いきや、全身を巨大な手で握り潰されたかの如く『グシャッ!』
大層嫌な残響、生卵の様に潰れ弾けた。だが語る迄もなく彼女は卵に在らず。弾けた物は、フィスチノの肉片と血飛沫。地獄が絶叫と共に砕け散った。
魔神ラウムを遂に封じた成功劇。
一方ラウムの力を借り受け石の傀儡を大量に生成、戦之女神軍を相手取る未だ謎めいた敵フィスチノ。
戦之女神の一番弟子賢士ルオラを偽ったルシア・ロットレンを相手取り辟易していた。
「クッソ、ラウムめ。一体何してやがんだ」
フィスチノ、使役した悪魔へ歯軋りし続けたまま文句を垂れる。目前に立ちはだかった化物より怪物なる女を魔神に任せたいと強く望んだ。
ジャリッ……。
「ラウムなら此処だ」
黒マントを羽織った何やら地味な男が見せ付けた白い布地。驚愕に目をひん剥くフィスチノ。探索者風の男が連れて来た白地の布、内側から確かに悪魔の残り香滲み出るのを感じ取った。
「き、貴様ッ! 例の男かァッ!」
「──?」
フィスチノが涎垂らし待ち焦がれた最上級の香り漂わせた好い男。此奴を喰らいたくこの刻を切望した。されど共連れの女の力が怪物だった。
驚倒しそうなほど揺らいだ直後、自分を見つけ狂喜乱舞しそうな敵の変遷ぶりに首を捻るローダ。よもや自身が最高級ランクの肉に分類されていたとは思いも寄らなかった。
前髪だけ緑のフィスチノが赤い後ろ髪を惹かれた様に、ローダへ飛ばす。捕縛の為に用いる真っ赤なロープを思わせた。
ブチィッ!
驚喜に己の力加減がまるで足らぬ事実を置き去りにしたフィスチノの髪を叩き千切ったのは、ローダはおろかルシアですらなかった。
新月の夜、朱色の棒が大いに輝き映えた怒りの僧兵フィエロ・ガエリオ。
想定外の横槍、やられたフィスチノは当然。助けられたローダや、出番を横取りされたルシアも瞠目し尽くした。
「手前だけは絶対この俺が赦さねぇッ!」
棒を突き出し、怒りぶちまけたフィエロ。危うく自分が愛するスオーラを殺す重罪を犯す一歩手前であったのだ。必然の訴えである。
「はぁ"ッ!? ハンッ、雑魚がッ! お前なんかに何が出来んだッ!」
またしても甘い息を吐いたフィスチノの二番煎じ。無力に思えた僧兵の餓鬼を再び傀儡に引き摺り堕とすつもりだ。
──何だ? 如何して彼奴の棒術が此処まで届いた?
再び危機に瀕したフィエロなのだが、独り違う疑問がローダの脳裏を過ぎる。フィエロが見せた能力だけでは説明付かない事象に気付いた。
然し今はそんな疑問よりフィエロを飲み込む甘い息の対策を最速で為せなばならぬ。周囲がそんな考え巡らす束の間。フィエロは、己だけで答えを導き出すのだ。
実に単純明快──棒を両手で回転、巻き起こした風で甘い息を全て弾き飛ばした。
「グゥッ!」
「来ると判ってりゃ効かねえんだよッ!」
一兵卒なる若い僧兵相手に狼狽え冷汗噴き出すフィスチノ。
その場から一歩たりとも動かず、フィエロは朱色の棒を悪意の根源目掛け振り下ろした。
「馬鹿めッ! 間合いがまるで判っちゃいねえッ!」
思わず心の声が漏れたフィスチノ淵際の虚勢。
フィエロの行動も不自然、彼ほどの使い手が自身の間合いを誤る道理がないのだ。
ジャランッ!
「なッ! ウグヮァッ!!」
再び明快過ぎる正答を寄越したフィエロの棒術。フィスチノの脳天を直撃、両目が飛び出た錯覚。それほどの激痛がフィスチノの全身を走り抜けた。
フィエロの得物、朱色の棒が伸びた。
随分間抜けな語りに思えるだろう。彼の棒は三節混、内に鎖を潜ませていた。三節混の鎖分が伸び切り、フィスチノの脳天を捉えたのだ。
フィエロは、第一のチャクラ混じる渾身を叩き付けた。
本来ならどんな化物でも頭蓋を割られた衝撃を受ける会心の一撃へ跳ねるべき処。
なんとフィスチノ、痛がるだけで終わる巫山戯た結果を見せ付けたのだ。仕掛けたフィエロに驚き、やられたフィスチノに舌巻く思いの一同。
フィスチノ脅威の防御力──この布陣で打撃力最強を自称するルシアですら未だ洗髪出来ぬ金髪をかきむしりたい衝動駆られた。
「──デエオ・ラーマ、戦之女神よッ!」
如何にしてこの頑強過ぎるフィスチノを叩き潰すか?
そんな悩みに心囚われ掛けた連中、違う向きから異質な激震駆け抜けた。
声張り上げた賢士、これぞまさしく奇跡の詠唱。戦場全体を覆い尽くす。
血に濡れた六芒星、既に己の全力を使い果たした筈のスオーラ。
最早詠唱の枠組み超越した絶叫、彼女にこれ以上はないと思い込んだ仲間。スオーラ・カルタネラは、真の無限を手中に収めたと皆に思わす。
戦之女神の司祭級エリナがスオーラの脚にしがみ付いていた。
回復の奇跡をスオーラへ施したに相違あるまい。
さりとて魔力は戻っていないのだ──。
この世界軸、魔力の完全枯渇は脳死に直結する。故にエリナは、全力以ってスオーラを引き留めているのだ。
「──我を拘束する心之鎖を解き放つ! その鎖をかの者へ捧ぐ! さあッ、縛りあげよ! ──『拘束之鎖』!」
如何やら賢士の御業が完結をみたらしい。詠唱通り、スオーラの胸内から無数の鎖が現れフィスチノに届き拘束すべくツタの様に絡みゆく。
「……心之鎖を解く?」
詠唱を聴き終えたローダの顔色、外れて欲しい想像浮かび色を失う。
「何だこんな物ォッ!」
うざったいと感じた鎖を振り解こうと、フィスチノが全身を捻じり藻掻いた。何とも無念だがこの勢い、スオーラの放った鎖が今にも千切れそうに思えた。
打撃に依る防御だけでなく、魔法防御もやはり桁外れの強固に違いない。
「デエオ・ラーマッ! 戦之女神よぉッ! 地獄の番犬ケルベロスの鎖を以ってッ!」
「な、く、鎖ィッ!? まだ次があんのかよッ!?」
よもやな度重なるスオーラ、詠唱を腹から咆哮。またしても鎖が絡む。
流石のフィスチノも顔面蒼白。この詠唱、明らかに先程の上を征く圧倒感に満ち溢れていた。
「……かの者に潜む罪悪の鎖を具現化せよッ! その身、自らの罪に縛られる運命を呪うがいいッ! ──『魂之束縛』!」」
魂を銃弾の如く積め込めた詠唱が遂に決した。スオーラが右手の指だけを目一杯広げ、悪の権化へ向けた。少しずつ指を曲げ始める。見えぬ何かを握り潰そうとしてる仕草。
「う、うぅ……ば、馬鹿なッ!? こ、こんなものでェッ! ば、馬鹿ッ! よ、止せッ!」
初めにスオーラが絡めた鎖は姿を眩ます。フィスチノの躰に沈んで失せた。
スオーラが、さらに右手に力を込める全身全霊。
拘束之鎖──。
先ず詠唱通り術者の能力値を最大値に引き上げる為、心の枷を外した挙句。その鎖を敵へ投げ込む。
対為す魂之束縛──。
拘束之鎖で投げた鎖すら糧に、相手の罪深さを秤にかけ、魂縛るげに悍ましき術式。
何物も受け付けなかったフィスチノがきたす焦燥、息荒げて苦しむ様。これ迄なき震撼、誰の目にも明らかであった。
「ウグッ! ぐわぁぁッ!」
断末魔、胸押えたフィスチノの心肺機能が停止。
完全に動きを止めたかと思いきや、全身を巨大な手で握り潰されたかの如く『グシャッ!』
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