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第3章 白と黒の狭間で
15.白と黒の世界
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「カズキさーん! 起きてくださーい!」
「うっ……」
黒い穴に吸い込まれた後、少し気を失っていたようだ。二宮が呼ぶ声で、オレは目を覚ました。
「ここは……」
体を起こし、辺りを見回してみる。目に入ったのは、真っ白な空と砂浜。そして、黒い海。今まで、こんなおかしな光景は見たことがない。明らかに異常だ。
「まるで白と黒しかない世界やなぁ……。こんな変なラビリンス、初めて見たわ」
シロー先輩がぽつりとそう呟く。やっぱり、ここはラビリンスの中か。そりゃそうだよな。現実でこんなおかしな場所があるはずがない。
「うなされていたが大丈夫かの?」
シバが心配そうにオレの背中をぽんと叩いてきた。
「ああ。オレは大丈夫だけど……」
「びっくりしましたよね。まさかミツバさんが仮面の女の子だったなんて……。いや。この場合、仮面の男の子ってことになるんですかね?」
「……一応、あいつは女子だよ。あいつ自身はそう思われるのを嫌っているかもしれないけど」
「え? どういうことですか? ミツバさんって、男の子じゃなかったんですか?」
ミツバの性別のこと、オレとミツバが二年前にケンカをしたこととそのケンカの内容。オレはそれらを簡単に、二宮たちに説明した。
「中々難しい問題なので、コメントしづらいですね……」
「せやな。けど、あの子が負共鳴者で、最近の行方不明事件を起こしている犯人なのは確かや。それに、あの子はさっきワイらをケージに閉じ込めると言ってたよな。あまりゆっくりしてる時間はないかもしれへん」
そうだ。あいつは、オレたちをケージに閉じ込めると言った。それはつまり、オレたちをこのラビリンスから出さないようにするつもりということだ。
「早く、脱出した方がいいかも」
タリスが小さな声でそう言うと、
「でも、このラビリンスに人間の気配を感じるの~。多分、誰かケージに閉じ込められてるの~」
そう、ベラは答えた。
「気配はいくつや?」
「一人分なの~」
「そか。なら、その気配はひふみんやろな。今のところ、昨日と一昨日に助けた子ら以外に行方不明になった人がおるって話は聞かんしな」
ひふみんこと、二宮ヒフミ。園芸部の部長であり、二宮のお姉さんがこのラビリンスの中に閉じ込められているのか。
「ふう。やっと姉さんを助けられそうですね。思ったより見つけるのに時間がかかったから、怒ってそうで怖いです……」
「怖い人なのか?」
「怖いというか、変な人かもです」
二宮も結構変わっている、と言ってしまいそうになったが慌ててこらえる。二宮にそんなことを言ったら絶対に怒られるからな。
「よし! とりあえず、今からやることを簡単にまとめて言うで」
ぽん、と手を叩いた後にシロー先輩が話し始めた。
「まず、ラビリンスのどこかにいるひふみんを探して助け出す。それから、バグスピの正体をあばいてラビリンスを脱出する。そこは、今までと変わらへん」
「基本はいつもと同じですね」
「ああ。けど、ミツバくんがどう動くかというのが不確かや。今のミツバくんはバグスピと共鳴してるはずやから、何らかの鳴力を使ってワイらの邪魔をしてくるかもしれへん」
多分。いや。必ず、ミツバはオレたちの妨害をしてくるはずだ。どのタイミングで邪魔をしてくるかは分からないのが怖いな。
「幸い、まだミツバさんは邪魔をしに来ないようですね。今のうちにさっさと姉さんを助け出しましょうか」
「せやな。……ベラ。人間の気配がするのはどの方向や?」
「あっちなの~」
ベラが顔を向けた方向にあるもの。そこは、黒い海だった。
「ひょっとして、あのちっこい島かのう?」
「その通りなの~」
……確かに、よく見たら遠くに小さな島が見えるな。
「……まずくないですか? どうやって行けばいいんでしょう?」
「オレに聞かれても……」
島につながる橋なんてない。近くに船があるようにも見えない。
「結構距離があるし、深そうや。巨大化したベラでもあの島に行くのは無理そうやなあ」
「じゃあ、泳ぐしか、ないの?」
「いや。無理じゃろ。潮の流れも速そうじゃし、途中で流されて溺れるのがオチじゃ。それに、ワシは濡れるのがイヤじゃ!」
濡れるのがイヤという発言はともかく、泳いでいくのは無理そうだ。なら、他の方法を考えないといけない。といっても、そんな方法があるだろうか。
「飛べたらいいんですけどねえ」
「それができたら、苦労しない、と思う」
タリスが言うとおりだ。もし飛べたらもうとっくにあの島に着いている。
「ひょっとして、ワイらがあの島にたどり着けないと思っていたからミツバくんはあんなに余裕たっぷりだったんやろうか」
「ああ。その通りだよ」
突然、オレたちの前の空間がぐにゃりと歪んだかと思うと、そこからミツバが現れた。手には、細いこん棒のようなものを持っている。そして、学ラン姿になっている。どうやらセーラー服から着替えたようだ。
「ミツバ……」
「……ねえ、カズキ。諦めて、このラビリンスに閉じ込められてくれないかな?」
そう言って、ミツバは右手で握ったこん棒をオレに突きつけてきた。
「……お前、何がしたいんだ? オレたちを閉じ込めて、何か得があるのか?」
「ああ。あるよ。君たちが消えれば、中学生活を一から始めることができる」
「どういうことですか?」
「僕が僕として生きるために、僕がキライな部分を捨て去りたいんだ」
二宮の問いに、ミツバがそう答える。
「ふむ。女子であることがキライで、それを捨て去りたいということかの?」
「物分かりがいいね。そういうことだよ」
「じゃあ、何であんな恰好をしてたんだよ。仮面はともかく、セーラー服はキライじゃないのか?」
「もちろん、キライだよ。僕は、母さんが買ってくれた学ランだけで良かった。なのに、女の僕が学ランを着るのはおかしいからセーラー服を着ろと父さんが押し付けてきた」
ミツバの声には、怒りがこもっていた。思わず、オレは後ずさる。
「何度も捨てようかと考えたけど、利用させてもらうことにしたんだ。仮面をつけたセーラー服の女が行方不明事件の犯人だと思わせれば、僕に疑いが向きにくくなる。そうして活動していれば、僕を追う邪魔者は犯人の正体を知らないままラビリンスに閉じ込められて永遠にいなくなると思ってたんだけどね」
「残念やったな。部長が不在とはいえ、園芸部はバグスピ関連事件解決のエキスパート。どんなバグスピやラビリンスが現れようと、ワイらがいればちょちょいのちょいで解決や!」
シロー先輩はそう言った後、小声で「カズキくんが共鳴者にならなければ危かったけどな」と呟いた。……せっかくかっこいいことを言ってたのに、ちょっと台無しな気がするな!
「君たちは悪運がいいね。でも、それもここで終わり。もう僕が直接、君たちを叩きのめしてこのラビリンスに閉じ込める。それで全部終わりだ」
ミツバが、手に持ったこん棒を上にかかげた。そしてそれをミツバが振り下ろした瞬間に、ごう、と風が吹く音がした。
「むう、イヤな予感がするのう。ここは、変身じゃ!」
変身したシバの柄がオレの手の中に収まる。それとほぼ同時に、突風がオレたちを襲った! 体が、海の方に向かって飛ばされる!
「あかん! ベラ! 巨大化するんや!」
「任せるの~!」
海の中に飛ばされてしまう直前で、ベラが巨大化してオレたちの体を受け止めてくれた! もふっとしたクッションみたいでちょっと気持ちいい。……なんて、考えてる暇はないな!
「ムダなあがきを!」
ミツバがまたこん棒を上にかかげた!
『カズキ! 止めるんじゃ!』
「言われなくても!」
オレは刀を強く握りしめ、ミツバの元に向かって全力で走った! そして、ミツバが振り下ろそうとしたこん棒を刀で受け止めた! ガキン、と大きな音が辺りに響く!
「つっ……!」
『しびれるんじゃ~!』
手がびりびりとしびれて痛い。
「けど、こん棒を振り下ろさせなければ風は出ないようだ!」
「どうやら、こん棒を振り下ろして風を出すのがミツバさんの鳴力のようですね!」
「ということは……あのこん棒は変身したバグスピやな!」
ミツバが持ってるこん棒が、バグスピだって? これまでのバグスピは、見た目が正体をあばくための重要なヒントになっていた。なら、このこん棒の姿も、ヒントになるのか?
「風を食い止めたところで、君たちにはあの島にたどり着くことはできない! さっさと諦めるといいよ!」
そう言って、ミツバはこん棒をめちゃくちゃに振り回してきた! それをオレは刀に変身したシバで受け止め、風を出させないようにする!
「いい加減にしろよミツバ! 今のお前、めっちゃかっこ悪いぞ!」
「君にだけは言われたくないな! 好きなものから目をそらし、僕をおかしいと言った君には!」
「……そうだな! あの時、お前にひどいことを言ったオレは確かにかっこ悪かった! けど、これからは違う! 好きなものから目をそらさずに、かっこ良くなってみせる!」
だからこそ、オレはミツバを止める! そして、仲直りするんだ!
『うるさい! 僕は、僕として生きる! 白黒はっきりつけたがる奴らにはうんざりなんだよ!』
「なんだ……?」
今、ミツバが言った言葉には聞き馴染みがない低い声も混ざっていた。まるで、誰かと声が重なっているような……。
『僕が白黒あわせ持って生きるのを許してくれないなら、白黒つけたがる奴らなんて消えてしまえ! これは正当な復讐だ!』
「一体、何を言ってるんだ……? それに、この声は……」
『ふむ。あやつと共鳴してるバグスピの声のようじゃな。白黒あわせ持つ……か』
白黒をつける。それは、ものごとを二つにはっきりと分けるという意味の言葉だ。おそらく、ミツバが言う白黒は性別のことなんだろう。つまり、男か女か、はっきり分けるのが嫌ということだろうか。そして、それをはっきり分けようとする相手に復讐をするってことか? 完全に、オレの想像でしかないけど合ってそうな気がする。
「どうしましょう……! せっかくカズキさんたちがミツバさんを食い止めてるのに、あの島に行く方法が思い浮かびません!」
「やっぱ、泳いでくしかないんか……?」
「海の水を、全部溶かせたらいいのに……」
「触れたところしか溶かせないですし、そもそも液体って溶かせないような気がします……」
後ろから、二宮たちの声がする。必死で島に行くための方法を考えているようだが思い浮かばないようだ。
『カズキ! このままだとらちがあかんぞい!』
「分かってる! けど……」
ミツバが振り回すこん棒を受け止めるだけでせいいっぱいだ! 島に行く方法を考える余裕なんてない!
『考えろ! ワシらなら、道を作ることはできるはずじゃ!』
「道を作ることができるって言われても、どうすりゃいいんだよ!」
『初めてお主と共鳴した時にも言ったが、大事なのはいめーじじゃ! ワシらの鳴力を水にぶつけたらどうなるかをいめーじしたら良い!』
オレたちの鳴力を水にぶつけたらどうなるかをイメージしたら良い、だって? そりゃ、沸騰してお湯になるだろ。
……いや、待てよ? 一応、一つだけ方法が思い浮かんだ。だけど。
「……できるのか?」
『こうなったら、やるしかないじゃろ! そのために、仲間を頼るんじゃ!』
「何をごちゃごちゃと! さっさと倒れろ!」
シバと話している間も、ミツバは攻撃の手を緩めなかった! 流石にミツバの攻撃を受け止め続けるのは無理だ! 手がしびれて力が入らなくなってきている!
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