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上巻

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  女の体は不思議だ。
  
  男とぜんぜん違うし、なによりも……その体は、エロい。
  
  もしかしたら、男よりもエロいかもしれない……。
  
  なぜなら、嫌がっていたアンナさんはもう自分から足を開いて「はぁ、はぁ」と吐息を漏らし興奮しているからだ。
  
  ねっとりと滑らかなフクさんの指先は、アンナさんの股間にちょいちょいあたっている。
  
  すると、アンナさんはフクさんの指先の動きに敏感に反応するようになってきた。
  
  最初は嫌がっていたはずなのになあ。
  
  むしろ、今ではもっと触って欲しいように見えた。
  
  アンナさんの腰がピクんっとうねる。
  
  気づくと、フクさんの指がアンナさんの水着の股にちょっとだけ滑り込んでいた。
  
「ひゃんっ!」

  アンナさんは可愛らしい声でびっくりすると、魚のように跳ねた。
  
  だが、すぐにフクさんの指は何事もなかったように太ももに戻る。
  
  ……かと思えば、またぬるぬると水着の中に指が滑り込む。
  
「いやんっ!」

  そのような瞬間的な指の動きが繰り返されると、アンナさんはさずがにヤバイと思ったのか、自分の手を伸ばして股間を抑えた。
  
「あっ、やっ、そこはヤバイから、無理……」

「え?  どこ?  ここのこと?」

「……ちょっ……無理」

「ああ、ここね……」

  フクさんは滑らかな指をアンナさんの水着の股。

  いや、たぶんあそこにぬるんとねじ込でいる。
  
「っあん!」

「ねえ、手をどけてよ、やりにくいから」

「ダメ、無理、ここじゃあ……無理……」

「そっか……ここでは、無理か……」

「……っん」

  フクさんの指がアンナさんから、とぅるんっと抜けると、
  
「……っあん」

  とアンナさんの口から甘い吐息が弾ける。
  
「じゃあ、肩をほぐしてあげるね」
  
  フクさんはそう言って腰をあげると、マッキーに小声で指令を出す。
  
「おい、マッキー、作戦Tでいくぞ……見てこい……」

「うっす」

  ん?  な、なんなんだその作戦は?  T?  TT兄弟か?
  
  俺の頭の中はアンナさんのエッチな体でいっぱいいっぱい。
  
  この先に何があるのかまったく想像がつかない。
  
  つまり、俺の思考はフリーズしていた。
  
  とにかく、俺はフクさんとアンナさんの会話に耳を傾ける。
  
  フクさんはアンナさんの肩や首のうなじをマッサージしていた。
  
「あーん、気持ちいい」

「ヤバイね~アンナちゃん、めっちゃこってるよぉ」

「だよね~」

「下もぬれぬれだったね~」

「……えっ、マジ?」

「うん、ヤバイよね……」

「……はぁん、ヤバっ……」

  フクさんは顔をあげてマッキーの姿を追っている。
  
  俺もマッキーを探してみる。
  
  すると、以外にも近くのトイレの前にマッキーが立っているではないか。
  
  マッキーは親指を立ててグッジョブ!  にっこり笑った。
  
  フクさんも片手をあげてグッジョブ!
  
  え?  なになに?  作戦Tって……なに?
  
  すると、フクさんがアンナさんの耳もとでささやく。
  
「アンナちゃん……ここじゃあ、無理だから……あっちいくよ」

「……ふぇ?  どこいくの?」

「とりあえず、手を洗いたいからトイレいこ」

「……でも……ミキが……」

「ああ、ミキちゃんなら夢の中だよ」

「……あ」

  アンナさんはチラッと流し目でミキさんを一瞥する。
  
  ミキさんはすやすやと寝ている。なんとも気持ちよさそうだ。
  
「……マジで寝てるし……ウケる」

「ああ、アンナちゃん……今ならチャンスだから、サクッといこ!」

「……はぁ……マジか……」

「うん、俺だって、もうこんなだし……」

  フクさんはそう言うと、アンナさんの手をつかんで自分の股間に持ってくる。
  
  つんっとアンナさんの指先がフクさんの股間に触れた
  
  その瞬間に、ぷっと笑みがこぼれるアンナさん。
  
「ね、ヤバイでしょ……」

「ヤッバ……かたいね……」

「うん、ガチガチで苦しい……」

「……うふふ、ていうか、でかくない?」

「ああ、めちゃでかいよ」

「ヤッバ……でかーい」

「ほしくなってきたでしょ?」

「……ふふ」

「俺だけじゃないよ」

「え?」

「そこにいる美少年も勃起してるぜ」

「ええええ?  マジ?」

「ああ、あと坊主のやつもな……俺たちみんなアンナちゃんで勃起してるぜ」

「うわぁ……ウケる……」

「ほら、ミキちゃんが寝てる今のうちに……さ、いくぜ」

「……っあぁ……マジかぁ……」

  しぶしぶって感じのアンナさん。
  
  しかし、その手はしっかりフクさんの股間を触ってる。
  
  しびれをきらしたフクさんは、アンナさんの手を引いて立たせる。
  
  フクさんは俺に向けて「おまえもこい!」と顎をクイっと動かす。
  
  そして、そのままアンナさんの手を握って例のトイレに直行した。
  
  アンナさんは下を向いたまま、ペタペタと男子トイレに連れていかれる。
  
  ええええええ!  俺は心の中で絶叫した。
  
  ちょちょちょ、ちょっと待って!  アンナさん!  そこ男子トイレだよ?
  
  俺はうまく状況が飲み込めない。すがる思いでマッキーを見た。
  
  すると、マッキーは手をパーにして高くあげている。
  
  俺とマッキーは夏空の下でおもいっきりハイタッチした。
  
  バチーン!
  
「いえーい!  やったな!  ここは俺が見張っとくからサカも中に入っていいぞ」

「え?  これって……アンナさん……今から……」

「ああ……それでな、もし人が来たら俺が速攻で知らせるから、おまえは静かにしてろ、そんで、あとはフクさんの指示に従え、いいな」

「……あ、はい……」

「よし!  わかったらいけ」

「……はい」

  俺は男子トイレにおそるおそる入っていく。
  
  塩素とおしっこが混ざった匂いがツンっと漂ってくる。
  
  スリッパが乱雑に転がっていたが、いちいち履いている余裕はない。
  
  心臓が爆発しそうなくらいドキドキしている。
  
  誰もいなかった。フクさんもアンナさんもいない。
  
  小便器がずらりと並んでいるが、おしっこをしにここに来たわけじゃない。
  
  個室は3つあった。
  
  手前の2つは開け放たれていたが、奥の残り1つは閉ざされている。
  
  シュールだった……現実離れしている。
  
  ガタガタと揺れる個室のドア、あんあんと喘ぐ女の声、この中で綺麗なお姉さんがとんでもないことになっていると思うと……。
  
  興奮してきた。
  
  ガチガチに勃起してきた。

  まるでAVの世界のようだった。AVなら迷わず1人でシコるが……。
  
  しかし、これは現実の世界。
  
  俺はどうしていいかわからず、ただ、熱くなる股間を抑えていた。
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