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下巻
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先輩と付き合ってみると、私たちは非常に目立つことに気づいた。
通学はもう正規の電車に乗ってちゃんと正門から登校している。
私と先輩は隠すこともなくニコニコ顔で一緒に歩く。
だが、とても違和感を感じる……うん、この女のせいだ。
なつきの声がでかいのだ。
「せんぱーい、指がすごい綺麗ですね~」
そんな甘い声を出して先輩の指を触ろうとするなつき。
おーい! それはダメだよぉ! やめて~!
でもなぜだろう。先輩がちやほやされていると胸がギュッと締めつけられて、体が急に熱くなる。
これが嫉妬(ジェラシー)というものか……。
先輩と一緒に歩いているとひしひしと他の生徒たちからの視線を感じる。
そこになつきが割って入ってくるから余計に目立つ。
私と先輩が付き合うことになって、何よりも嬉しそうなのはなつきだった。
先輩と話せる口実ができたからだろう。
やだやだ、私はたぶん嫌な女で、先輩の彼女だと言うことに優越感に浸っていた。
口では「ぜんぜん、まだ先輩とはラブラブじゃないよ~」とか、なつきには言っといて、チャンスがあったら先輩とキスしてやろうと願望を抱いている。私はなんていやらしい女なんだろう。
だけど、先輩はなかなかチャンスをくれない。
なぜだろうか……。
うん、そうだ、きっとそうだ、なつきが邪魔なんだ!
「ねえ、ゆうこ~今日の帰りさ~クレープ屋さん行かない?」となつきが誘う。
「え、ああ、いいけど……」と私はちょっと複雑な心境。
「あ! よかったら先輩も一緒にどうですか?」
はい!? なぜなつきが先輩を誘う?
先輩は何か美味しい物を思い出すように口を開けてつぶやく。
「……え、ああ、クレープね、うん食べたいな」
なつきは手をあげて喜ぶ。
「ウェーイ! じゃあ、帰りにいきましょう!」
ええ! ちょっとまて! なつき~仕切らないでよ~!
おーい! 私のクレープ大作戦が海の藻屑となりそうだよぉ。
え? なにそれって? それはこのような簡単な作戦だ。
『先輩、私のクレープも食べます?』
『お、美味そうだな、いただこう、パク』
『あ! いっぱい食べたなぁ、んもう、先輩のもください、パク』
『あ……これって間接キスだな……』
『……ですね……私は直接でもいいですけど……』
『じゃあ、してみようか』
『はい……ちゅ♡』
『ゆうこ……好きだ……』
『先輩……私も先輩が好きです』
てな感じでキスする予定だったのに! んもう、妄想で終わりそうだよぉ。
人生はなかなか思い通りにはいかないものだ。
結局、その日は学校が終わると、私たち3人はクレープを食べて家に帰った。
そんな風な感じで学校生活ではぜんぜん先輩とイチャラブできる気配がない。
しびれを切らした私はラインで土日に遊べるようにフラグをたてる作戦に出た。
題して『ライオンの赤ちゃん作戦』だ!
そして夜になった。
季節は白露を迎え雲のない空が広がっている。
もうエアコンを入れなくてもよさそうだ。
秋がもうすぐそこまで来ている。
私は窓を開けて夜風を入れる。
そして、宿題をパパッと終わらると、スマホをぽちぽち打ち込み、
『先輩、動物は好きですか?』
と送信。すると、すぐに返信がくる。
先輩のメールはマメだった。
ピコン、ピコンと着信音が鳴り続き、先輩とのチャットがはじまる。
とっても愉快なひとときだ。
『好きだよ~』
『よかった~動物って癒されますよね~』
『だね~』
『そうそう、N動物園にライオンの赤ちゃんが産まれたんですよ~♡』
『へ~可愛いい』
『ですよね~♡』
こいこいこい! 私は強く祈りを捧げた。
『じゃあ、今度の日曜日は動物園いこっか?』
わ~い♡ お誘いメールゲットだぜっ!
うふふ、んもう、先輩ったらそんなに私とデートしたかったんですね。
しょうがないなあ、えへへへへ。
なんて私は悦に入りながら先輩のラインを既読することなく、その文章をしばらくうっとりながめる。
はぁー、尊いなぁ、焦るな焦るな~ゆうこ~。
私は逸る気持ちを抑える。
暇に飽かしてゆっくりと既読をつけ『はい♡』と文章を打ち込み送信した。
通学はもう正規の電車に乗ってちゃんと正門から登校している。
私と先輩は隠すこともなくニコニコ顔で一緒に歩く。
だが、とても違和感を感じる……うん、この女のせいだ。
なつきの声がでかいのだ。
「せんぱーい、指がすごい綺麗ですね~」
そんな甘い声を出して先輩の指を触ろうとするなつき。
おーい! それはダメだよぉ! やめて~!
でもなぜだろう。先輩がちやほやされていると胸がギュッと締めつけられて、体が急に熱くなる。
これが嫉妬(ジェラシー)というものか……。
先輩と一緒に歩いているとひしひしと他の生徒たちからの視線を感じる。
そこになつきが割って入ってくるから余計に目立つ。
私と先輩が付き合うことになって、何よりも嬉しそうなのはなつきだった。
先輩と話せる口実ができたからだろう。
やだやだ、私はたぶん嫌な女で、先輩の彼女だと言うことに優越感に浸っていた。
口では「ぜんぜん、まだ先輩とはラブラブじゃないよ~」とか、なつきには言っといて、チャンスがあったら先輩とキスしてやろうと願望を抱いている。私はなんていやらしい女なんだろう。
だけど、先輩はなかなかチャンスをくれない。
なぜだろうか……。
うん、そうだ、きっとそうだ、なつきが邪魔なんだ!
「ねえ、ゆうこ~今日の帰りさ~クレープ屋さん行かない?」となつきが誘う。
「え、ああ、いいけど……」と私はちょっと複雑な心境。
「あ! よかったら先輩も一緒にどうですか?」
はい!? なぜなつきが先輩を誘う?
先輩は何か美味しい物を思い出すように口を開けてつぶやく。
「……え、ああ、クレープね、うん食べたいな」
なつきは手をあげて喜ぶ。
「ウェーイ! じゃあ、帰りにいきましょう!」
ええ! ちょっとまて! なつき~仕切らないでよ~!
おーい! 私のクレープ大作戦が海の藻屑となりそうだよぉ。
え? なにそれって? それはこのような簡単な作戦だ。
『先輩、私のクレープも食べます?』
『お、美味そうだな、いただこう、パク』
『あ! いっぱい食べたなぁ、んもう、先輩のもください、パク』
『あ……これって間接キスだな……』
『……ですね……私は直接でもいいですけど……』
『じゃあ、してみようか』
『はい……ちゅ♡』
『ゆうこ……好きだ……』
『先輩……私も先輩が好きです』
てな感じでキスする予定だったのに! んもう、妄想で終わりそうだよぉ。
人生はなかなか思い通りにはいかないものだ。
結局、その日は学校が終わると、私たち3人はクレープを食べて家に帰った。
そんな風な感じで学校生活ではぜんぜん先輩とイチャラブできる気配がない。
しびれを切らした私はラインで土日に遊べるようにフラグをたてる作戦に出た。
題して『ライオンの赤ちゃん作戦』だ!
そして夜になった。
季節は白露を迎え雲のない空が広がっている。
もうエアコンを入れなくてもよさそうだ。
秋がもうすぐそこまで来ている。
私は窓を開けて夜風を入れる。
そして、宿題をパパッと終わらると、スマホをぽちぽち打ち込み、
『先輩、動物は好きですか?』
と送信。すると、すぐに返信がくる。
先輩のメールはマメだった。
ピコン、ピコンと着信音が鳴り続き、先輩とのチャットがはじまる。
とっても愉快なひとときだ。
『好きだよ~』
『よかった~動物って癒されますよね~』
『だね~』
『そうそう、N動物園にライオンの赤ちゃんが産まれたんですよ~♡』
『へ~可愛いい』
『ですよね~♡』
こいこいこい! 私は強く祈りを捧げた。
『じゃあ、今度の日曜日は動物園いこっか?』
わ~い♡ お誘いメールゲットだぜっ!
うふふ、んもう、先輩ったらそんなに私とデートしたかったんですね。
しょうがないなあ、えへへへへ。
なんて私は悦に入りながら先輩のラインを既読することなく、その文章をしばらくうっとりながめる。
はぁー、尊いなぁ、焦るな焦るな~ゆうこ~。
私は逸る気持ちを抑える。
暇に飽かしてゆっくりと既読をつけ『はい♡』と文章を打ち込み送信した。
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