ゲームちっくな異世界でゆるふわ箱庭スローライフを満喫します 〜私の作るアイテムはぜーんぶ特別らしいけどなんで?〜

ことりとりとん

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…………視界が、白い。


「ようこそ、旅人さん。我らはケサランパサラン」


なに、それ。
ただの綿毛じゃん。


「我らは綿毛ではありますが、ただの綿毛ではありません。この世界を見守る、清らかなるもの達です」


はぁ。それで?


「これから行っていただくのは我らの世界、つまりあなたから見た異世界です。
しかし、心配は要りません。あなたの馴染み深いゲームに近い表記やシステムが採用されていますから、大きな不便はないでしょう」


異世界だけどちゃんと案内はして貰えるのね。
それなら安心できるかな。


「では、初めにあなたのお名前を教えてください」


そんな言葉と共に見覚えのある画面が現れる。
ゲームとかでよくある、初期設定の名前入力画面。

そこで、ふと気づいた。
自分の記憶があまりにもふわふわしていることに。
覚えているのに、まるで自分のこととは思えないくらいに『ただの情報』でしかない記憶たち。


「あなたのお名前を教えてください」


光る綿毛に急かされるから、記憶に関しては一旦気にしないことにして、名前入力に行く。


『アカリ・イシザキ』

ぽちっと。


「イシザキ、は現地で一般的でない姓ですが、よろしいですか?」


あんまり、よろしくはないかもねぇ……
私は長いものには巻かれる主義だし、大して目立ちたいわけじゃない。


「イシザッキー、はいかがでしょうか」


売れない芸人みたいな名前だけど、まあいいんじゃない?


「では、改めましてアカリ・イシザッキーさま、よろしくお願いします」


……よろしくお願いします


「最初に、種族選択です」
▶︎人族

おいおい、選択って言うけど選択肢ないじゃん。
まあ、人族以外を求めてはいないよ。ぽちっと。


「次に、性別選択です」
▶︎男
▶︎女

女ですよっと。ぽち。


「次に、職業選択です」
▶︎戦闘
▶︎生産

なるほど。
手芸とかものづくりが大好きだし、生産かな。
ぽちっと。


「生産に適したパラメータが生成されます。しかし、戦闘が出来ないのではありませんので、是非とも職業以外のことにも挑戦することをオススメします」


はいよ。


「次に、見た目の設定です。あくまでも初期設定で、生活の中で変えられる可能性があります」


可能性って何だよ。
ツッコんでいるとこれまたよく見る画面表示。
自分の知っている顔をほんの少しだけかわいくしたような顔立ちだ。ちょっと、お得感。

顔立ち自体は変えられなくて、髪色と目の色、肌の色が変えられるらしい。
でも、初期とはいえ各五色は少なくない? いいけどさ。


髪色
▶︎赤


▶︎紫


▶︎パールホワイト


それぞれ選択した。
なんか、バンドとか好きそうな見た目になったけどこれくらい派手な方がテンション上がるよね。


「初期設定は以上となります。旅立ちの準備は出来ました。
最後に、神のダイスを振りますか?」
▶︎はい
▶︎いいえ


なにそれ?


「神のダイスを振りますか?」
▶︎はい
▶︎いいえ


おぅ、教えてくれないやつだ。
振るか? と聞かれてるんだから、振りましょうよ。
ぽち。


目の前に現れる、ふたつのサイコロ。


えいやっ!
軽く気合いを入れて振ると、出た目は六と六。
なんとなくラッキーじゃない?



「あなたは神に愛されているようですね。
あなたの作るしあわせが、世界の暗き闇をうち払わんことを願って。

……行ってらっしゃいませ」


光る綿毛に見送られて、白い空間から旅立たされる。
いや、サイコロの話を聞いてないんですけどっ!


まあいいや。気にしないでおこうっと。






新しい世界が、楽しみだな。





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