ゲームちっくな異世界でゆるふわ箱庭スローライフを満喫します 〜私の作るアイテムはぜーんぶ特別らしいけどなんで?〜

ことりとりとん

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104.専門職

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104.専門職


すぐに来る、との言葉通り、数分もしないうちに男の子が走って来た。
黒に金髪メッシュ、赤眼とイカつい色合いだけど、ひょこひょこ走る姿は運動神経悪そうで非常にかわいい。


「俺、何かした?」


クランマスターであるカストルさん直々の呼び出しとあってとっても緊張している様子だし、赤の瞳は不安でうるうるだ。


「ううん。悪いことじゃないよ。
むしろ、とっても良いこと!」


ド緊張している少年を前に、なるべく明るく優しそうな声で話すことにした。


「私が昨日出した依頼をあなたが受けてくれた、って聞いたんだけど、合ってるかな?
アパー草を沢山切って貰ったんだけど」

「ああ、やったよ。俺が」

「そうだよね、ありがと。とっても綺麗だったし、また頼みたいな、と思ってるんだけど、どうかな?」

「いいよ。そんなに大変じゃなかったし、やる」


「やったー! ありがとう。
私はアカリって言うんだけど、あなたの名前は?」

「俺は、プロキオン。あのさ、もし出来るなら、ちゃんと正式依頼にして欲しいんだ。
そしたら、依頼をこなした扱いになるから」

「うん、そのつもりだよ。
ちなみになんだけど、依頼をしたらどうなるの?」


「沢山こなして力を認められたら、正式メンバーになれるんだ」


「その話なんだが」


かわいい系少年プロキオンと2人で、きゃっきゃと話していたのに、カストルさんが低めの声で割って入ってくる。

プロキオンにとってはただのバイトと社長くらいの差があるからか、ビクッと身体が震えた。


「クラン内に生産部門を作ろうと思っているんだ。
そこに所属するのなら、正式メンバーに格上げするぞ」

「やるっ!」


即答だった。


「ただ、生産専門になるから戦闘訓練をする時間は無くなるが」

「それでも全然いいよ! 頑張る!」


イキイキと返事をするプロキオンはとてもうれしそうだ。


「生産は人気無いんじゃないの? 専門になってもらって大丈夫?」


「うん。だって、アカリは俺が良いんだろ?
俺なんかにそんなこと言ってくれる人、今まで一人も居なかったから」


彼の人生を左右することだから、後悔はして欲しくないと思っていたけれど、お節介だったみたい。
補助メンバーってことは戦闘で活躍していた人ではないだろうし、思い切って生産職になってくれるのはありがたいよ。


「ありがとう。これからよろしくね」

「こちらこそ!」


握手をした手は小さくて、とてもじゃないけど戦闘には向いていなさそうだった。
だけどこの細い指は、繊細な作業には向いているだろうな。





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