ゲームちっくな異世界でゆるふわ箱庭スローライフを満喫します 〜私の作るアイテムはぜーんぶ特別らしいけどなんで?〜

ことりとりとん

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118.薬草が足りない

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118.薬草が足りない


「やばい、もう薬草ないじゃん!?」

かなり大きめのカゴにいっぱい準備した薬草はみるみるうちに減っていき、もう底が見えてきそう。
でも、私の手を止めて買うのは時間がもったいない。


「やばい、どうしよっ!!」

「どうしたのっ!?」


顔を上げると、さっき二番目に薬を持って行った女の子だった。

「薬草がないの、代わりに買ってくれない!? お金は渡すから!」

「えっ?」

さすがに焦って言葉が足りなさすぎて、困惑する女の子にも分かりやすく言う。


「手伝ってほしいの。出来る?」

「もちろん! お母さん、元気になったもん!」

「よし、じゃあ名前教えて!」


カペラと名乗ったその子にメッセージでドカンと10万キラを送り、やって欲しいことを簡潔に説明する。
アパー草を片っ端から買って欲しい、それだけ。


「うん、分かった!」


はっきりとした性格の子のようで、隣でひたすら薬草を買い続けてくれる。
買い占めになってしまうかと思っていたのに、カペラによると、次から次へと出品されるようで、品薄にすらならなかった。

他の人が売りに出しているのか、他の原因か。
全然分からないけれど、とにかく薬草が無くならないのはありがたい。
こちらで使ってしまって前線の人達が買えない、ということにもならなさそうだし。


そうして回復薬を作り続ける。
周りには怪我をした誰かのための薬を待っている人が居るんだから、いつも家でするようにのんびり作る訳にはいかない。

集中し続けてなるべくムダのない動きになるよう、最速で薬を作る。


一時は長蛇の列だったけれど、この辺りにいる人にはおおよそ行き渡ったようで列は無くなった。

だけど、まだ戦場の方には怪我人が沢山いるだろう。


「カペラちゃん、ありがとう。私はもっと向こうの、戦ってる方へ行ってくるよ」


幼い彼女を連れて行くのはそもそも想定していないから礼を言って別れようとすると。


「わたしも行く」

「危ないから、お母さんと一緒にいた方がいいよ」

「ううん。お母さんは、元気になったもん。
向こうには、お父さんがいるから。お父さんのとこに、行くの」


見た感じまだ小学生くらいなのに、そうとは信じられないほど強い意志を感じる瞳。


「そっか、分かった。ありがとう。付いてきて!」


ちなみに、この携行用大釜は見た目も不思議なアイテム。
広げると普通に魔女の鍋みたいなのが出てくるのに、下の土台をぱたんと畳むと、大きい画板くらいになるんだ。

重さも、私が一人で持てる程度だし、魔法って凄いよね!


とか悠長なこと言ってないでとにかく移動だよ。
あんまり近づき過ぎない程度に戦場の方へ行って、回復薬を作らないと。

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