ゲームちっくな異世界でゆるふわ箱庭スローライフを満喫します 〜私の作るアイテムはぜーんぶ特別らしいけどなんで?〜

ことりとりとん

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122.命を繋げ

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122.命を繋げ


「アカリ、それは前線に戻る人に預けて欲しいっ!!」


「……分かった!」


事情を聞く前にとりあえず実行。
目の前の人には★★の薬を渡し、預かってくれる人を探す。

放り投げるように怪我人を置いて行った人が居たから、その人に向かって叫ぶ。


「めっちゃいい薬が出来たから、持って行って!」

「良いのかっ!? ありがとう!!」


今ある★★★の薬は数個だけれど、それで命を繋げる人が居たら。
そんな想いで預ける。


「前線の方が、酷い怪我人が多いんだ」


手を動かし続けながらも、プロキオンが思わずといった調子でそう言う。


「ここまで下がってくることも出来ないような仲間が、居るから」


その言葉は重く胸に突き刺さるよう。
この場しか知らない私でも想像出来ることは、やっぱり現実に起こっていたんだ。


「もう少し、向こうへ行く?」

「いいや、これ以上近づくと、流れ弾に当たる可能性がある。
魔物は同士討ちすら気にせずにやりたい放題だから」

「分かった。じゃあ、★★★の薬は今みたいに、戦場へ帰る人に渡そう」


そうして、リズムも出来上がってきて、ただひたすらに薬を作り続ける。

絶え間ない爆発音も、響く怒声も、むせかえる血の匂いも、全てに気づかない振りをして。



「おい、プロキオン! てめぇ弱いんだから、そんな所に座ってねぇで戦いに行けぇ!!!」


もう見るからに脳筋戦士、という出で立ちの男が、そう怒鳴りつける。


「絶対だめ!! プロキオンは今薬を作ってくれてるんだから!!」


相手の気迫に負けないくらい、全力で怒鳴り返す。


「戦え、コラァ!!」

「怪我したら戦えない人が、偉そうに言うんじゃないよ! はい、薬! これ持って行って! 必要な人に渡して!」


私にも相手にも、喋っているヒマはない。
私はこの間も手が動き続けているけれど、この男は違う。ただの邪魔だ。

私の大事なプロキオンに絡んでるヒマがあったら、少しでも戦ってほしい。


「あーちゃん!! 大丈夫!?」

「ベテルギウス! こっちは大丈夫だよ、そっちは!?」

「何とかなってるよ。★★★の回復薬が届けられたから、どうやってるのかと思って来たんだ」

「プロキオンが作ってくれてるの!」

「そうか、俺も手伝う!」


何か言いたげだった男も、ベテルギウスまで参加したのをみたら何も言えず、薬を持って去って行った。









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