殺戮人形産のおいしい野菜はいかがですか?〜最強美少女はふつうの農家を目指してるけど、やっぱり最強だったみたい〜

ことりとりとん

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4.普通なおうち

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「わあっ! とっても普通で、素敵なおうちね!」

《組織》が手配してくれたというから、どんな家かと身構えていたのに。
赤い屋根が可愛らしい、とっても普通な家だった。

間違っても、魔力認証機能の付いた隠し扉からしか行けない、という《組織》の基地みたいな、『普通じゃない』所は嫌なのだ。

「ああ。多少の掃除と修理は紹介元がしてくれているらしいから、今日から住めるぞ」

「それはとっても嬉しいわね」

中をサラッと見てまわる。

(これが、普通の家なのね! すごく嬉しい!)
ウキウキしすぎてスキップしそうなくらい。

キッチンダイニング、お風呂、お手洗い、ベッドルーム。普通だ。

お手洗いのタンクの裏から隠し地下室に行ける気配を感じたけれど、まあそれくらいはどこの家にもあるだろう。
隠し部屋の一つや二つ、無いと困ることは人生で山ほどあるだろうから。

「うん、気に入ったわ!」

「それは良かった。じゃあ、次は畑に行こうか。
とは言っても、まだ荒地しかないんだが」

勝手口から裏へ出ると、そこは森。

「ここに、お野菜を植えるの? そんなこと無いわよね?」

「そりゃあそうさ。今からここを開墾するのが君の仕事だ。頑張っておくれ」

「かいこん……?」

「この木をどかすのさ。好きな方法で良いぞ」

これだけ華奢なのに、魔境への移住推薦が出るということは、多少なりとも魔法が使えるのだろう。
だから、得意な魔法を使ってくれたら良いと、そう思って言ったのだが。

「んー……。ちょっと、待ってくださる?」

ティーファが思い出すのは、師匠の言葉。

「いいかい、《殺戮人形キリングドール》。君はこれから、全力の魔法を使ったらダメだよ。
君の全力は、普通じゃない。
背中の呪印で、魔力をコントロール・・・・・・しているから、君の魔法は普通じゃないからね。
ほんのちょーっとだけ使うんだ。それなら、普通になれるから」

全然普通じゃない《組織》の中で、かなりマトモな人間だと評判な師匠。
その師匠が言うんだから間違いないはず。

「あと、出来れば魔法を使う瞬間は見られない方がいい。命懸けの時には気にしなくていいけど、そうじゃなかったら見られて無い所で使うようにしなさい」

そんなアドバイスも貰った。

「よし、師匠。私、頑張るわ!」

「ん?」

「あなた、向こうむいててくれる?」

「あ、あぁ」

戸惑いつつもドルクが家の方へ向いたことを確認し、ティーファは魔法の構築をする。
いつもなら一瞬で終わるけれど、今回は細心の注意を払って組み上げた。

先の戦争の間、幾度となく見渡す限りを焼け野原に変えてきたけれど、あれはやりすぎなのだろう。
たぶん、普通じゃない。

ってことは、あれよりずっとずーっと小さい魔法で……。

「えい」 

気の抜けた掛け声と共に熱風が吹き荒れ、ドルクが何事かと振り返るころには焼け野原が生まれていた。

「……ぉ、おぅ……」

長く冒険者として戦い、戦争にも傭兵として参加したドルク。そんな彼でも、こんな威力の魔法はそうそう見たことがなかった。

(こりゃあ、どえらいモンを掴まされたかもしれん……)

あまりにも強力な魔法に本能的に怯えたものの。

(いや、これだけの魔力持ちがこの村で魔農家をしてくれたら、経営は相当ラクになるぞっ!)

怯えたままでは居ない程度には図太い男なのだった。



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