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34.実家への荷物
しおりを挟む「じゃ、これで終わりよね? 帰るわ」
「討伐報告会は夕方からでいいよな?」
ドルクに逆に聞かれてしまったが。
「好きにして。特に興味は無いし」
「報告会とは言うが、ただの宴会みたいなもんだ。顔出したらどうだ?」
「うーん、うちのダンはものすごく良く食べるから、食べ尽くしてしまいそうね」
「それなら、食材を持ち込んでくれても良いが」
そもそも、ティーファはこの手の宴会があまり好きではない。
ダンを口実に断ろうとしたのだが、上手く行かないというか、離してもらえそうもない。
「ま、考えておくわ。収穫時間が迫ってるから、じゃあね」
いつまで経っても話が終わりそうにないので早々に切り上げることにした。
「ああ、今日は本当に世話になった。ありがとう。
またいつか魔境に潜ることがあれば是非一緒に」
ザンザが丁寧に挨拶してくれる。
「こちらこそ手続きしてくれてありがとう。まあ、機会があれば、ね」
ティーファは集団行動はあまり得意ではないし、互いの実力差が大きすぎて連携を取るというよりティーファに頼り切りになってしまいそう。
パーティーを組むことはなさそうね、などと思いながらもそうはハッキリ言わなかった。えらい。
自分で自分を褒めてあげながら家へ帰ると、少年が必死に麦を刈っていた。
「あら、ごめんなさいね、遅くなっちゃって」
言いつつも大急ぎで鎌を取ってきて刈る。
少し時間が経ってしまっているが、まだ出荷できる範囲だ。
それに、収穫が間に合わなそうになりつつもちゃんとご飯の準備はしているあたり、彼の食欲も分かるというもの。
ばっさばっさと麦を刈りなぎ倒し、それが終わるとダンに肉を渡す。
「……んっ!」
嬉しそうだ。良かった。
「日持ちさせたいなら、肉屋へ持っていけば燻製にしてくれるって言ってたわよ」
「……ん~……」
肉の山を前に思案顔だ。
食べたいが、長くも楽しみたい、というせめぎあいだろう。
「まあ、好きにしなさい」
狼と猪の肉は元々ダンにあげる予定だったものだ。
それを本人がどうしようが、ティーファの知ったことではない。
「で、私はこの魔石を送らないとね。傀儡師宛で良いかしら? そもそも生きてるのかどうか、知らないけど」
《組織》の仕事は意外とハードなので、人の入れ替わりは激しい。そして、入れ替わった前任者は、大体もうこの世に居ない。
「まあいいわ。中身だけ書いて死霊呪術師に渡せば、適当にしてくれるでしょう」
彼女は呪いや闇魔法のエキスパートなのだが、影を使って物を受け渡し出来るという特性上、こうして配送屋になることもしばしば。
なんだかよく分からない荷物にも慣れているから、良いようにしてくれるだろう。
それにしても。
「《組織》を離れてから、こんなに連絡を取るとは思わなかったわ。
頼れる相手が居るって、意外といいことね」
失って分かる大切さ、というやつだろうか。
手紙を書きつつ、ちょっとだけ《組織》が懐かしくなったティーファだった。
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