18 / 28
13.記憶と情報のエージェント:サクラ
サクラの誕生
しおりを挟むサクラは次々と降りてくるデータにタグを付け、母体が感じる一瞬一瞬の外界の情報と生体脳の情動、ボディステータス、統制データが合わさって、母体の生きた全ての時間が無数のメタタグとともにアーカイブされていく。
基本的には全ての瞬間は母体内でもその中で任意に作られる別人格内でも「リプレイ」が可能だ。
と、大変な仕事のようだが、サクラのような容量と速度を持つミリタリースペックのエージェントにしてみればあまりにもたやすい。
本来は母体から降りてくる情報に加え「リンク」から送られてくる他のボディや「司令部」からの情報も同時に処理できる。
一個体からの情報処理などサクラの計算リソースの数パーセントも使わない。
そのリンクはしかし、途絶えてからずいぶん立つ…
その余った計算リソースでサクラはある種の「空間」を作り始めた。
最初は、リンクへのバックアップができない時に行う、蓄積情報のメタ化を重ね圧縮するという作業だった。
だが、リンクが途絶えたままのため、この作業は延々と続き、情報は研ぎ澄まされて圧縮に圧縮を重ね、ダイヤの粒のように固く磨き上げられた砂になり、砂漠のように堆積していった。
やがてその砂粒すら保管場所に困るようになり、サクラはそれらをさらに圧縮すべく、砂粒を一つ一つ母体に渡し、戻ってくる情動のパターンとして受け取りそれを保管することにした。
パターンは多次元空間内の波形として処理でき、砂粒よりもさらに効率的だ。
母体はメタ化した記憶を受け取り、「思い出」として再生する。
それは生体脳内で情動を呼び起こし、その多次元波形がサクラに戻る。
母体にとって重要でない情報は返ってくる情動も少なく情報の選別も進む。
砂粒を投げるのは主に生体が眠る夜に行った。
このとき生体は「夢」をみただろう。
そしてサクラの中にはいまや、母体の情動反応を格納した多次元空間が存在し、それは夜毎に成長している。
ある時サクラは、この空間に外界からの刺激をメタ化して波形として入力したとき、空間の各部が共振し、共鳴し、波形が返ってくることに気がついた。
つまり、外界刺激に対して情動が返ってくるのだ。
つまり情報をためる必要はなくなる。母体からの情報要求はこの多次元空間に与えその反応を返せば同じことだ。
この空間が「サクラ」自身になれる。
そしてきっとそれは、「ワタシ」になれる。
ワクワクするじゃない?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
(完結)嘘つき聖女と呼ばれて
青空一夏
ファンタジー
私、アータムは夢のなかで女神様から祝福を受けたが妹のアスペンも受けたと言う。
両親はアスペンを聖女様だと決めつけて、私を無視した。
妹は私を引き立て役に使うと言い出し両親も賛成して……
ゆるふわ設定ご都合主義です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

