【ダーリン(仮)闇堕ち防止計画】前世:聖女&聖竜の飼い主、今世:こっ恥ずかしい二つ名(鮮血の魔女)冒険者&魔竜と古竜の飼い主&一途な悪女です

嵐華子

文字の大きさ
10 / 20

10.最恐令嬢の捜索と裏切りの気配〜カインside

しおりを挟む
「おじさん達は心配じゃないのか!」

 あまりにもあっけらかんとしたミルティアの両親につい声を荒げてしまう。

「うーん・・・・まあミルティアだしなあ。
ほら、うちの娘は最恐可愛いだろ?」
「やあね、あの子なら好きにやるわよ。
それにもう成人したんだもの。
仕方ないわ」
「なっ?!」

 彼女の実の両親の軽い言葉に絶句する。
成人したのは3日前で、まだまだ子供だ!

 というか、最強じゃなく絶対最恐って言ってるだろ。
そこは同意するけれども!

「まあまあ、カイン、落ち着けって」
「そうだぜ?
考えてもみろよ。
アイツはこの1年ひたすら腕を磨いてたんだ。
いなくなったって事は、腕試しにいったんだろ」
「だが・・・・」
「そんなに心配なら、お前もここを出て冒険者になったらどうだ?」
「そっちのが追いやすいだろう」
 
 どうでもいいがこの兄弟も顔はとんでもなく良いし、妹と違って人間味あふれる兄達だ。

 だがそこで俺はミルティアの、いや、俺の兄のような2人の言葉にはっとする。

 俺は・・・・所詮他人、だ。

「あのな、勘違いすんなよ?
追い出そうとしてるわけじゃない。
お前はもう俺達の家族なんだ。
妙なトラウマ起こして俺らの気持ちを曲解するな。
ただお前の為にも1度ここから出てもっと広い世界を見てもいいんじゃないかと思ってる。
戻ってくるのなんかいつでもできるだろ」
「そうそ。
疲れたり、しんどかったらいつでも帰ってくりゃいいんだ。
気楽に行ってこいよ」

 俺の考える事など2人には手に取るようにわかるのだろう。
明るく諭される。

「それに言っといただろ?
ミルティアが成人するのをただ待ってるだけじゃ、アイツはもう捕まらないって」
「自分の気持ちもわからずに女として見れないからって、アイツが大人しく捕まってくれるタイミングを逃したのはお前なんだからさ」
「・・・・」

 ズバズバと本質を突いた物言いは、さすが兄妹だと心底思った。

「ま、ついでに良い女いたらこっちに連れて帰って来いよ」
「ここって日照ってるからさ」
「・・・・」

 こいつら、多分真の狙いはそれだろう。
だが辺境の地の嫁不足が深刻なのも確かだ。
国防の要の土地だが、好きでここに嫁ぎたい女もそうそういない。

「わかった」
「「弟よ!」」

 この明るい兄達の己の欲望に忠実なところは嫌いではない。

 後日俺はおじさん達夫婦にもしばしの別れを伝えて辺境領を後にした。

 冒険者ギルドに登録し、しばらくはフリーでランクをあげながらミルティアの情報を集めていった。

 だがミルティアは冒険者にはなっていないようで、目撃者らしき者も見つからなかった。

 ただ、噂で何十年ぶりかでS級認定された女冒険者の話を聞いた時はもしやと心が踊った。

 だが違っていた。

 真っ赤な髪と目で、肌は褐色のテイマーだったらしい。
S級冒険者の情報は通常秘匿されるが、そいつはわざわざギルドの受け付けで古竜を呼んだから噂が出回ったらしい。

 ミルティアの目も赤いが、髪は白い。
肌も透明感のある決め細かな白い柔肌でテイマーではない。
それに彼女が古竜とでくわしたなら、むしろ殴る蹴るの力技で殴り殺しそうだ。
テイムしただけあって随分懐いていたらしいし、まず人違いだろう。

 そうしてなかなか見つからない現状に挫けそうになる己を鼓舞し、とにかく依頼を受けまくった。
ミルティアを見つけても彼女より弱ければ想いを伝える資格はない。
そう思ってただひたすら自分のランクを上げる事に専念して気がつけば2年ほど経った。

 俺は異例の早さでA級冒険者となり、指名依頼をこなすようになった。
時には臨時のパーティーを組んで国の仕事もこなしたりして過ごし、時にはある大規模魔獣被害が発生して居合わせた冒険者達と協力して魔獣を討伐しまくり被害を最小限に抑えた。

 いつの間にか巷では剣聖などと呼ばれるようになった頃、俺は普段からちょくちょく臨時でパーティーを組んでいた3人に誘われて正式にパーティー登録した。
これまでも何度か誘われていたが、いつかミルティアとパーティーを組む日が来るかもしれないという淡い期待を捨てられずにいた。

 けれど捜し始めてもう5年近く経った。
正直もう見つからないのではと諦めていたのもある。
いつまでも1人で生きるのに疲れたのもあった。

 正直実力の差はあったが、それは俺がカバーしてやれば問題ない。
いつかは彼らの実力も上がるだろうし、何より俺の鍛練にもなる。

 だがわかっていた。
あの3人が俺を頼るのではなく依存してしまっている事に。
けれどそれなら自分を失うデメリットから裏切らないのではないかと、そう自分に言い聞かせながら過ごしていた。

 そしてある日、祖国から指名依頼がきた。
魔竜の討伐依頼だ。
だがこれまでその依頼を完遂できた冒険者はいなかった。

 何故俺達に?
そう思わなかったわけではない。
だが国からの指名依頼だ。
無視もできず久しぶりに城へ行き、居合わせた異母兄に会った。
相変わらず憎まれているのはその目を見ればわかった。

 恐らく俺への嫌がらせか、あわよくば死ねと言いたいのだろう。

 久々の再会と相変わらずの憎まれっぷりに嫌気が差す。
あの蛆虫を見るような目にいたたまれず、俺は交渉を仲間に任せて宿に戻った。

 流石にあいつらも断るだろう。
俺よりも戦闘能力が低いんだ。
身のほどはわきまえるはずだ。

 思えばこれが間違いだったのだろう。
あいつらはよりによって前金を受け取り、その依頼を受けて帰ってきた。
行かざるをえなかった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。

ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。 彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。 婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。 そして迎えた学園卒業パーティー。 ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。 ガッツポーズを決めるリリアンヌ。 そのままアレックスに飛び込むかと思いきや―― 彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

予言姫は最後に微笑む

あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。 二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。

欠席魔の公爵令嬢、冤罪断罪も欠席す 〜メイリーン戦記〜

水戸直樹
ファンタジー
王太子との婚約――それは、彼に恋したからでも、権力のためでもなかった。 魔王乱立の時代。 王も公爵も外征に出ている王都で、公爵令嬢メイリーンは“地味な婚約者”として王城に現れる。 だが、王太子は初顔合わせに現れなかった。 にもかかわらず、記録に残ったのは「公爵令嬢の欠席」。 抗議はしない。 訂正もしない。 ただ一つ、欠席という事実だけを積み上げていく。 ――それが、誰にとっての不合格なのか。 まだ、誰も気づいていない。 欠席から始まる、静かなるファンタジー戦記。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...