秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子

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20.レイヤード義兄様のお友達

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 本格的な冬が始まり、僕は義父様の執務室で過ごす事が多くなった。
冬は体調が不安定になりやすいのもあって、義父様が魔法で直々に部屋の温度と湿度管理をしてくれる。
今年は特に直前の秋シーズンを体調不良で過ごしちゃったから、体力と体重が落ちてしまった。
そのせいで過保護に拍車がかかったんだと思う。

 例年は執務室と少し小さめの客室で半々に過ごすけど、今年はほぼ8割は義父様のいる執務室。
執務室にも客室にも僕がいつでも寝転べる大きめのソファが設置されてるんだ。

「そろそろだけど、アリーは本当にかまわないのかい?」
「レイヤード兄様のお友達のこと?
ここは兄様のお家でもあるから、兄様が自分のお友達を招くのに僕の許可はいらないでしょ?」
「彼らの目当てはお前だよ?」
「ふふ、お友達の兄妹が気になるのは不思議なことじゃないでしょ?
それに昔はバルトス兄様のお友達に会ったこともあるもの」
「王太子や彼の側近達とは年が離れすぎていたし、すでに全員婚約者がいたから今回とは状況が違うよ。
それにあの腹黒宰相と王都騎士団団長の息子も混ざってる」
「そちらとは本当に初めましてだよね。
でも僕はせいぜい挨拶くらいしかしないし、むしろ裏方さん達のお耳と尻尾としか触れ合うつもりないよ?
兄様にもそれで良いし、むしろそうしろって言われてるもの。
それに本当にまずかったら父様も兄様も僕に会わせないはずでしょ」
「まぁそうなんだが····」

 義父様が珍しく歯切れ悪く話す。
僕は眺めていた領地の収支報告書をそっと机に置く。
実は僕の携わった領地の特産品の管理を秘密裏に任されているのだ。

 義父様は何がそんなに気になるんだろう?
初対面の義兄様のお友達もいるし、少し注意しといた方がいいのかな。

 そう思っていると、コンコンと部屋をノックされる。
義父様が許可すると義兄様が入ってきた。

「ただいま、父上、アリー。
僕の友達が挨拶したいそうなんだけど、2人ともかまわない?」
「ああ」
「今行くね」

 義父上にエスコートされて客室まで一緒する。
抱っこされなくて良かった。

 客室にはすでに見知ったルドルフ殿下がソファに座り、その後ろに待ち望んだ黒と銀灰の獣人さんが立っている。
机を挟んで対面のソファには金髪に同色の狐耳とふさふさ尻尾の赤目獣人の少年、焦茶の髪に青目の人属の少年が並んで座る。

 僕達が入ると全員が起立して自己紹介を兼ねてご挨拶。
僕は義父様に紹介されてドレスの裾をつまんで略式の挨拶を返した。

「こんにちは、アリアチェリーナです」
「体調が悪かったと聞いていたが、もう良いのか?
少し痩せてしまったようだが」
「はい、家族のお陰で落ち着きました。
ご心配ありがとうございます」

 殿下も僕も余所行きニッコリ笑顔だ。

「よろしければアリアチェリーナ嬢ともご一緒にお茶などしたいのですが、かまいませんか、侯爵?」

 焦茶青目のキリリとしたインテリ系少年はマルスイード=ルスタ。
義兄様とよく似た背格好の彼が腹黒宰相の息子だ。

「ご子息からはよくアリアチェリーナ嬢のお話を伺っております。
よろしければ私もご一緒したいです。」

 金狐獣人さんが王都騎士団長の息子さんでラルク=ハーティス。
確か彼とマルスイード様はレイヤード義兄様と同い年だったはずだけど、背も体格も大きい。
そこの護衛2人と比べればまだ発展途上だけど、鍛えているのは服の上からもわかる。
ちなみに後ろの護衛2人は近衛騎士団の団長、副団長で主要王族の身辺警護や王宮内の取り締まりが主な仕事。
対して彼のお父さんは王都内の紛争や警備、他国への諜報が主な活動である王都騎士団団長で、5つの部隊を取り仕切る。

 それはともかく、殿下の口元が一瞬ニヤリと笑う。
あらかじめ僕を誘うように2人に根回ししてたな。
あーあ、義兄様も気づいたよ。
深みを増した義兄様の氷の微笑に3人共に目を逸らすなら、小細工しなければ良いのに。

「もちろん皆様がよろしければ、ご一緒させて下さいませ。
殿下とは商業祭でお約束しておりましたもの。
この客室は防犯も結界で万全ですの。
もちろん護衛の方ともお話させていただけるのでしょう?」
「もちろんだ、アリアチェリーナ嬢。
侯爵、レイヤード、かまわぬか?」

 ニコニコ、ニコニコと笑顔で殿下にモフりアピール、殿下は義妹を貸せアピール。
お互いちょっと力が入っている。
初対面の2人も何となく僕と殿下の空気に押され気味だ。

「かまいませんよ。
アリー、失礼のないようにね。
レイヤード、アリーを頼むよ」
「はい、父上。
アリー、行こう」

 義父様は退出し、僕と義兄様は一番奥のソファへと腰かけた。
黒豹と銀灰狼の尻尾が目に入って思わずにやけそうになったのを必死に抑えたのは言うまでもない。
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