56 / 491
4
55.ギザ耳
しおりを挟む
「バゴラさんから出店のスープに使ってる調味料を置いてると聞いてうかがいました、とここの人に伝えてくれますか?」
今年も入ってすぐに出迎えてくれたお手伝いの子供に取り次ぎをお願いする。
子供は頷くとパタパタと奥へ呼びに行ってくれた。
僕より小さな猫耳の男の子だ。
可愛いね。
待っている間ブース内の商品を見渡すが、あっちの世界とよく似た香辛料らしき物が陳列していて心が踊る。
「いらっしゃい。
可愛らしいお客さんだ。
バゴラの店のスープはここに並べてある調味料を全て使ってるんだけど、一揃えするのかな?」
奥から細身の柔らかい顔立ちの落ち着いた雰囲気の長身の獣人さんが出てくる。
バゴラさんより少し年上かな?
白髪赤目で同色の耳と尻尾は黒の入った虎柄だ。
僕の目線に合わせるように屈んでくれる。
····モフりたい····交渉して····いや、でもレイヤード義兄様から知らないお耳と尻尾には触らない約束をしているんだった····耐えろ、僕。
「あ、獣人は慣れてない?
ごめんね、怖かったかな?」
ついつい見いって無言になってしまったので、あらぬ誤解を生んだみたい。
お耳と尻尾がヘニャリと垂れ下がる····いかん、モフりの危機!
「はっ、ごめんなさい、違います!
僕、獣人さんのお耳と尻尾が大好きなんでついつい見つめてしまいました!
こちらこそ勘違いさせてしまってごめんなさい。
もちろんそちらも一揃えしたいんですが、初めて見るので基本的な使い方を教えて下さい。
他にもコレとアレとソレも気になるので追加でお願いします」
「それなら良かった。
たくさんあるから、そこのテーブルでお茶でも飲みながら説明しようか。
まだ小さい子なのに、料理とかするの?
それともお使い?」
「調理場の料理長さん達と時々料理するんです。
毎年の商業祭で珍しい調味料を見つけたら買って帰るので、ある意味お使いですね」
「そっかぁ、えらいね。
用意するから、奥のテーブルに座って待ってて」
「はい!」
小さい子というのに少し引っかかるけど、虎耳付きの素敵な笑顔に免じて忘れよう。
言われた通りに行こうとして振り返ると、ちょうどブースに入ってきた背の高い人影と目が合った。
「「····」」
しばし見つめ合う。
赤髪赤茶目に髪と同色で右耳がギザギザのお耳と尻尾は赤茶の虎柄だ。
どこかで見たぞ····どこだっけ····。
「····グレインビル?」
「····去年の商業祭で見た人?」
ほぼ同時に呟く。
「「どうして知ってる(の)?」」
またまた同時に呟く。
あれ、てか僕は今変装してるはず。
「あれ、2人は知り合い?」
後ろからたくさんの香辛料の瓶とお茶を乗せた盆を持った先ほどの白いお兄さんの穏やかな声がした。
今年も入ってすぐに出迎えてくれたお手伝いの子供に取り次ぎをお願いする。
子供は頷くとパタパタと奥へ呼びに行ってくれた。
僕より小さな猫耳の男の子だ。
可愛いね。
待っている間ブース内の商品を見渡すが、あっちの世界とよく似た香辛料らしき物が陳列していて心が踊る。
「いらっしゃい。
可愛らしいお客さんだ。
バゴラの店のスープはここに並べてある調味料を全て使ってるんだけど、一揃えするのかな?」
奥から細身の柔らかい顔立ちの落ち着いた雰囲気の長身の獣人さんが出てくる。
バゴラさんより少し年上かな?
白髪赤目で同色の耳と尻尾は黒の入った虎柄だ。
僕の目線に合わせるように屈んでくれる。
····モフりたい····交渉して····いや、でもレイヤード義兄様から知らないお耳と尻尾には触らない約束をしているんだった····耐えろ、僕。
「あ、獣人は慣れてない?
ごめんね、怖かったかな?」
ついつい見いって無言になってしまったので、あらぬ誤解を生んだみたい。
お耳と尻尾がヘニャリと垂れ下がる····いかん、モフりの危機!
「はっ、ごめんなさい、違います!
僕、獣人さんのお耳と尻尾が大好きなんでついつい見つめてしまいました!
こちらこそ勘違いさせてしまってごめんなさい。
もちろんそちらも一揃えしたいんですが、初めて見るので基本的な使い方を教えて下さい。
他にもコレとアレとソレも気になるので追加でお願いします」
「それなら良かった。
たくさんあるから、そこのテーブルでお茶でも飲みながら説明しようか。
まだ小さい子なのに、料理とかするの?
それともお使い?」
「調理場の料理長さん達と時々料理するんです。
毎年の商業祭で珍しい調味料を見つけたら買って帰るので、ある意味お使いですね」
「そっかぁ、えらいね。
用意するから、奥のテーブルに座って待ってて」
「はい!」
小さい子というのに少し引っかかるけど、虎耳付きの素敵な笑顔に免じて忘れよう。
言われた通りに行こうとして振り返ると、ちょうどブースに入ってきた背の高い人影と目が合った。
「「····」」
しばし見つめ合う。
赤髪赤茶目に髪と同色で右耳がギザギザのお耳と尻尾は赤茶の虎柄だ。
どこかで見たぞ····どこだっけ····。
「····グレインビル?」
「····去年の商業祭で見た人?」
ほぼ同時に呟く。
「「どうして知ってる(の)?」」
またまた同時に呟く。
あれ、てか僕は今変装してるはず。
「あれ、2人は知り合い?」
後ろからたくさんの香辛料の瓶とお茶を乗せた盆を持った先ほどの白いお兄さんの穏やかな声がした。
16
あなたにおすすめの小説
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
悪役令嬢の騎士
コムラサキ
ファンタジー
帝都の貧しい家庭に育った少年は、ある日を境に前世の記憶を取り戻す。
異世界に転生したが、戦争に巻き込まれて悲惨な最期を迎えてしまうようだ。
少年は前世の知識と、あたえられた特殊能力を使って生き延びようとする。
そのためには、まず〈悪役令嬢〉を救う必要がある。
少年は彼女の騎士になるため、この世界で生きていくことを決意する。
傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
※他サイトでも掲載しています
※ちょいちょい手直ししていってます
2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる