71 / 491
5
70.目障りな訪問者~レイヤードside
しおりを挟む
「やぁ、レイヤード、早かったね」
「父上、アリーは眠ったよ。
今のところ熱も出てないけど、やっぱり疲れてはいたみたい」
「もう、いい加減機嫌直してよ」
僕はこの迷惑でしかない従兄妹を完全に無視すると決めた。
「レイヤード、私はガウディードと少し話すが、お前も同席するかい?」
「いえ、僕も疲れたから1度仮眠するよ」
父上の申し出は断って僕に割り振られた部屋に向かう。
何か言いたそうな従妹は当然だけど無視だ。
「レイヤード様、お待ちになって」
1つ年下の血縁者が追いかけてくるけど反応はしない。
思えば入学当初から何かと絡んできて鬱陶しかった。
最初こそ従兄に頼まれていたから絡んで来た時は仕方なく相手にしていたけど、下らない用件ばかりだし何度注意しても腕に胸を押し付けてきたりと距離感がどんどんおかしくなっていって今では嫌悪感しか湧かない。
一応は公爵家の令嬢だし、自分で動かず従兄から注意して貰っていたけど、全く改善しなかった。
それどころか最後は周りが勘違いするような言い回しで婚約者を装い始め、アリーについても排除するべきだなんて言い出したから父上から伯父上に直接伝えて貰った。
魔力0で体も弱くて大方賤しい血が流れてる、価値がないなんて言葉を許す訳がない。
さすがに父親からかなりきつく言い渡されたんだろう。
彼女が入学して2年目にしてやっと近づいてこなくなった。
····1年間だけ。
きっかけは去年あの王子が絡んだ例の大会だ。
だから正確には1年たっていないんだけど····家同士の約束事のはずなのに破るにしても早すぎる。
僕達家族がアリーを明らかに大事にしているのを目の当たりにして良くない何かを触発したらしい。
今までのように直接的ではないけれど、僕の机やロッカーにアリーを中傷する手紙が入るようになった。
ご丁寧に筆跡を変え、何なら人を仲介してまでも渡してくる。
証拠を押さえてからはもちろん机やロッカーには魔法で対策をした。
仮にも公爵令嬢だし、母上の生家だから静観している。
今は、だけどね。
「お待ちになってってば!」
ドアノブに手を掛けたところで服の裾を引っ張られ、これまでの苛立ちに少しばかり沈んでいた意識が浮上する。
(気持ちが悪い)
「きゃっ」
パチンと静電気レベルの電流を流す。
雷を落とそうかとも思ったけど、そこは理性が勝った。
何かわめいていたけど無視して部屋に入って内鍵をかける。
念の為防音と鍵に固定化の魔法を掛けた。
まさかこんな所まで追いかけてくるなんて。
僕は特大のため息を吐く。
アリーと家族水入らずを楽しむ為にこの2週間は生徒会の補佐以上の仕事量はこなしてあげたのに、思わぬ伏兵が潜んでいたなんて。
ルドに狩猟祭と夜会でアリーに絡まれたくないなら手伝えって半ば脅しのように泣きつかれたのもあったけど。
これでまた妹になれなんて絡んだら完成した雷を応用した魔具の試し打ちをしてやる。
父上が伯父上から連絡が来ていた事を話さなかったのはアリーの前で話したくなかったからだろうな。
アリーはとんでもなく察しが良いから僕の反応次第ではあの従妹と何かあった事をほぼ正確に察してしまいかねない。
そうなったら伯母上が気をつけていても間違いなくアリーは王妃の絡んだ貴族の黒い思惑が飛び交うお茶会で1人になる事を選ぶ。
ルドのお茶会ですらあのバカブルに即絡まれて誰もいないような場所で怪我をさせられた。
それくらい魔力0の幼い養女って立場は貴族に軽視されるのに、うちが魔術師家系なのも災いして関心を持たれているから今回のお茶会は気を付けないといけない。
分かっていてもアリーは自分の不利益なんか度外視して僕達家族を害する人間にだけは関わるのを極端に避けるし、もし害したとわかれば容赦しないだろうから困ったものだ。
自惚れではなく僕達家族だけがアリーの中で愛する庇護すべき対象だ。
本当に過激なのはアリーなのに、僕達以外誰も気付いていない。
いや、従妹を除けばあの一家は違うか。
父上と長く友人をやっているだけの事はある。
だから他の貴族が目にする前にあの従妹と僕の和解の機会か、もしくはアリーの手による矯正の機会を得ようとしたんだろう。
伯父上や従兄は何だかんだと1人娘で妹だから多分甘い。
伯母上は少し違うかな。
あの人は良くも悪くも高位貴族として生きている人だから。
アリーとは今回ほとんど初対面だから、試そうとでもしてるのかな。
何様だ。
(····あー、嫌だな。
気付きたくないのに気付いてしまったじゃないか)
結局あの人達に搦め手を仕掛けられている。
もう狩猟祭なんか無視してアリーを連れ帰りたい。
父上も何だかんだで母上に関わる人には甘いんだから。
だけど僕もそうだったりする。
アリー、こんな家族でごめんね。
でもきっと君は笑って頷くんだろうな。
自分もそうだから仕方ないって。
「父上、アリーは眠ったよ。
今のところ熱も出てないけど、やっぱり疲れてはいたみたい」
「もう、いい加減機嫌直してよ」
僕はこの迷惑でしかない従兄妹を完全に無視すると決めた。
「レイヤード、私はガウディードと少し話すが、お前も同席するかい?」
「いえ、僕も疲れたから1度仮眠するよ」
父上の申し出は断って僕に割り振られた部屋に向かう。
何か言いたそうな従妹は当然だけど無視だ。
「レイヤード様、お待ちになって」
1つ年下の血縁者が追いかけてくるけど反応はしない。
思えば入学当初から何かと絡んできて鬱陶しかった。
最初こそ従兄に頼まれていたから絡んで来た時は仕方なく相手にしていたけど、下らない用件ばかりだし何度注意しても腕に胸を押し付けてきたりと距離感がどんどんおかしくなっていって今では嫌悪感しか湧かない。
一応は公爵家の令嬢だし、自分で動かず従兄から注意して貰っていたけど、全く改善しなかった。
それどころか最後は周りが勘違いするような言い回しで婚約者を装い始め、アリーについても排除するべきだなんて言い出したから父上から伯父上に直接伝えて貰った。
魔力0で体も弱くて大方賤しい血が流れてる、価値がないなんて言葉を許す訳がない。
さすがに父親からかなりきつく言い渡されたんだろう。
彼女が入学して2年目にしてやっと近づいてこなくなった。
····1年間だけ。
きっかけは去年あの王子が絡んだ例の大会だ。
だから正確には1年たっていないんだけど····家同士の約束事のはずなのに破るにしても早すぎる。
僕達家族がアリーを明らかに大事にしているのを目の当たりにして良くない何かを触発したらしい。
今までのように直接的ではないけれど、僕の机やロッカーにアリーを中傷する手紙が入るようになった。
ご丁寧に筆跡を変え、何なら人を仲介してまでも渡してくる。
証拠を押さえてからはもちろん机やロッカーには魔法で対策をした。
仮にも公爵令嬢だし、母上の生家だから静観している。
今は、だけどね。
「お待ちになってってば!」
ドアノブに手を掛けたところで服の裾を引っ張られ、これまでの苛立ちに少しばかり沈んでいた意識が浮上する。
(気持ちが悪い)
「きゃっ」
パチンと静電気レベルの電流を流す。
雷を落とそうかとも思ったけど、そこは理性が勝った。
何かわめいていたけど無視して部屋に入って内鍵をかける。
念の為防音と鍵に固定化の魔法を掛けた。
まさかこんな所まで追いかけてくるなんて。
僕は特大のため息を吐く。
アリーと家族水入らずを楽しむ為にこの2週間は生徒会の補佐以上の仕事量はこなしてあげたのに、思わぬ伏兵が潜んでいたなんて。
ルドに狩猟祭と夜会でアリーに絡まれたくないなら手伝えって半ば脅しのように泣きつかれたのもあったけど。
これでまた妹になれなんて絡んだら完成した雷を応用した魔具の試し打ちをしてやる。
父上が伯父上から連絡が来ていた事を話さなかったのはアリーの前で話したくなかったからだろうな。
アリーはとんでもなく察しが良いから僕の反応次第ではあの従妹と何かあった事をほぼ正確に察してしまいかねない。
そうなったら伯母上が気をつけていても間違いなくアリーは王妃の絡んだ貴族の黒い思惑が飛び交うお茶会で1人になる事を選ぶ。
ルドのお茶会ですらあのバカブルに即絡まれて誰もいないような場所で怪我をさせられた。
それくらい魔力0の幼い養女って立場は貴族に軽視されるのに、うちが魔術師家系なのも災いして関心を持たれているから今回のお茶会は気を付けないといけない。
分かっていてもアリーは自分の不利益なんか度外視して僕達家族を害する人間にだけは関わるのを極端に避けるし、もし害したとわかれば容赦しないだろうから困ったものだ。
自惚れではなく僕達家族だけがアリーの中で愛する庇護すべき対象だ。
本当に過激なのはアリーなのに、僕達以外誰も気付いていない。
いや、従妹を除けばあの一家は違うか。
父上と長く友人をやっているだけの事はある。
だから他の貴族が目にする前にあの従妹と僕の和解の機会か、もしくはアリーの手による矯正の機会を得ようとしたんだろう。
伯父上や従兄は何だかんだと1人娘で妹だから多分甘い。
伯母上は少し違うかな。
あの人は良くも悪くも高位貴族として生きている人だから。
アリーとは今回ほとんど初対面だから、試そうとでもしてるのかな。
何様だ。
(····あー、嫌だな。
気付きたくないのに気付いてしまったじゃないか)
結局あの人達に搦め手を仕掛けられている。
もう狩猟祭なんか無視してアリーを連れ帰りたい。
父上も何だかんだで母上に関わる人には甘いんだから。
だけど僕もそうだったりする。
アリー、こんな家族でごめんね。
でもきっと君は笑って頷くんだろうな。
自分もそうだから仕方ないって。
6
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
※他サイトでも掲載しています
※ちょいちょい手直ししていってます
2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~
季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」
建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。
しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった!
(激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!)
理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造!
隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。
辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。
さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。
「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」
冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!?
現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる!
爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる