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95.王妃様のご挨拶
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「あなた、本当にこんなに····」
「あ、従姉様の所に置いておいて下さい。
すぐ交換しますから」
絶句する従姉様の目の前には2枚のお皿。
そして各8種類16切れのケーキ。
僕の目の前には3枚のお皿。
そして従姉様の前にはない種類のケーキが24切れ。
同じ卓に座る一家も視線はケーキに釘づけだね。
そんなに食べたいなら早く取りに行っておいでよ。
僕のはもちろんあげない。
まだ向こうにたくさんあるからね。
扇でパタパタしてた小さな淑女も手がとまってるけど、ごめんね。
僕のお顔見ても駄目だよ、世の中は世知辛いんだからね。
お母さんに遠慮して取りに行かないからそうなるんだよ。
そこにいる王妃様の挨拶が終わったら取りに行っておいでね。
僕は改めて可愛くも初めましてなケーキ達を見る。
どれも少し小ぶりだから色々な種類をたくさん食べられるね!
し·あ·わ·せ!!
伯母様は戻ってきた僕達を見て席をずれてくれた。
僕と従姉様が隣同士になったからカモフラージュも簡単だ。
伯母様ってば気が利くよね。
それでは早速一口········うん、美味しい!!
僕はどんどん食べ進めてまずは1皿完食。
そっとバトラーに目配せしてから2皿目。
僕の意図に気づいた彼はお皿を下げてくれる。
王城で食べたケーキと同じ技巧を感じるけど、多分向こうからも派遣されてるんだろうな。
機会があったら直接お礼を言いたい。
半分ほど食べた所で伯母様に止められる。
見ると伯母様は微笑ましいような目で僕を見ていた。
「そろそろでしてよ」
1つ前の卓では確かに全員が立ち上がって礼を取りそうだね。
僕はコクリと頷いてフォークを置く。
紅茶を流し込むと、ちょうど一行がこちらの卓へと訪れて伯母様と夫人のやや後ろで止まった。
僕達は全員立ち上がってドレスの裾を持ち上げ、体を深く折って略式の礼を取る。
その間にバトラーが伯母様とあちらの夫人の椅子の間隔を少し開けて斜めに置き直した。
「本日は招きに応じてくれた事を感謝します」
『お招きいただいた事を感謝致します』
「皆、楽にして下さい」
王妃様の言葉に全員同時に謝辞で返し、許可の言葉で顔を上げて音が出ないように着席する。
あ、立ち上がる時に椅子を膝で押さないように貴族は浅く腰かけるのがマナーなんだよ。
バトラーが王妃様のすぐ後ろに椅子を運ぶとエスコート役の王子の手を離して座り、簡易の謁見のような配置になる。
王子は座らずそのまま横に立つんだね。
王妃様の衣装と同じ色の正装もよく似合ってるよ。
でも僕はやっぱり後ろのバルトス義兄様に目が行っちゃう。
ふふふ、目が合ったね。
思わず笑顔がこぼれちゃうよ。
義兄様もポーカーフェイスだけど、目は優しげだね。
素敵、大好きだよ。
隣のシル様ももちろん素敵だけど、それにも増してうちの義兄様ってば近くで見ると更に軍服効果でカッコ、ううん、格好いい。
いつもカッコイイんだけど、軍服は別腹で新たな一面が花開いて格好いいね。
この会場のご令嬢達の恋心を一気に煽ったに違いない!
····恋心、かあ。
ふと王子に視線を移す。
王子がどうして狩猟祭に参加してないのか、だよね。
会場の王子と同じ年頃の令嬢達を視線だけで見回す。
元々高位貴族になるほど獣人さんが少ないんだけど、それにしても今日のこの会場には極端なほど少ないんだ。
侯爵の中でも格下になるにつれて獣人さんはちらほらいる。
ちなみに僕が彼女達に反応しないのは、金色を取り入れた着飾りで女性特有の戦闘モードに入った獣人さんに食指が動かなかったから。
何年か前にあった夏の王子のお茶会でマウントを取ろうとした獣人令嬢ばかりなんだもん。
あとその手の戦闘モードの獣人さんは攻撃的になりやすいからお互いの為にも近寄らない。
でもあの夏に見た獣人令嬢の数と今の数が合わない。
公爵家の中にもいたはずなんだけどな。
色とりどりのドレス、装飾品、この日の為にコンディションを整えた健康的な肌艶。
王子は黒髪に明るい金目なんだけど、ドレスや装飾品の一部にその色を取り入れてる年頃の令嬢達が多い。
僕が渡したあの扇もそうだね。
事前の告知もなかったけど予見してたか、もしくは王妃様へのアピールか、その両方かな。
情報が漏れてたなら問題だけどね。
ここは辺境領で国防の要の1つだから情報漏洩は命取りだもの。
それはさておき今年15才になる王子にはまだ婚約者がいないんだ。
王太子は隣国との同盟が絡んで王子の年の頃にはその国の王女と婚約を結んでるんだけど、王子もそろそろ?
ま、11才になったばかりのお子ちゃまな僕には関係ないか。
僕はそっとケーキに視線を落とす。
早く食べてくれと言わんばかりの職人達によって彩られた甘い宝石達が僕を果敢に誘惑し続ける····。
····ロイヤル、邪魔。
軍服義兄様と軍服シル様だけなら眼副効果でもう少し“待て”もしやすかったのになあ。
「あ、従姉様の所に置いておいて下さい。
すぐ交換しますから」
絶句する従姉様の目の前には2枚のお皿。
そして各8種類16切れのケーキ。
僕の目の前には3枚のお皿。
そして従姉様の前にはない種類のケーキが24切れ。
同じ卓に座る一家も視線はケーキに釘づけだね。
そんなに食べたいなら早く取りに行っておいでよ。
僕のはもちろんあげない。
まだ向こうにたくさんあるからね。
扇でパタパタしてた小さな淑女も手がとまってるけど、ごめんね。
僕のお顔見ても駄目だよ、世の中は世知辛いんだからね。
お母さんに遠慮して取りに行かないからそうなるんだよ。
そこにいる王妃様の挨拶が終わったら取りに行っておいでね。
僕は改めて可愛くも初めましてなケーキ達を見る。
どれも少し小ぶりだから色々な種類をたくさん食べられるね!
し·あ·わ·せ!!
伯母様は戻ってきた僕達を見て席をずれてくれた。
僕と従姉様が隣同士になったからカモフラージュも簡単だ。
伯母様ってば気が利くよね。
それでは早速一口········うん、美味しい!!
僕はどんどん食べ進めてまずは1皿完食。
そっとバトラーに目配せしてから2皿目。
僕の意図に気づいた彼はお皿を下げてくれる。
王城で食べたケーキと同じ技巧を感じるけど、多分向こうからも派遣されてるんだろうな。
機会があったら直接お礼を言いたい。
半分ほど食べた所で伯母様に止められる。
見ると伯母様は微笑ましいような目で僕を見ていた。
「そろそろでしてよ」
1つ前の卓では確かに全員が立ち上がって礼を取りそうだね。
僕はコクリと頷いてフォークを置く。
紅茶を流し込むと、ちょうど一行がこちらの卓へと訪れて伯母様と夫人のやや後ろで止まった。
僕達は全員立ち上がってドレスの裾を持ち上げ、体を深く折って略式の礼を取る。
その間にバトラーが伯母様とあちらの夫人の椅子の間隔を少し開けて斜めに置き直した。
「本日は招きに応じてくれた事を感謝します」
『お招きいただいた事を感謝致します』
「皆、楽にして下さい」
王妃様の言葉に全員同時に謝辞で返し、許可の言葉で顔を上げて音が出ないように着席する。
あ、立ち上がる時に椅子を膝で押さないように貴族は浅く腰かけるのがマナーなんだよ。
バトラーが王妃様のすぐ後ろに椅子を運ぶとエスコート役の王子の手を離して座り、簡易の謁見のような配置になる。
王子は座らずそのまま横に立つんだね。
王妃様の衣装と同じ色の正装もよく似合ってるよ。
でも僕はやっぱり後ろのバルトス義兄様に目が行っちゃう。
ふふふ、目が合ったね。
思わず笑顔がこぼれちゃうよ。
義兄様もポーカーフェイスだけど、目は優しげだね。
素敵、大好きだよ。
隣のシル様ももちろん素敵だけど、それにも増してうちの義兄様ってば近くで見ると更に軍服効果でカッコ、ううん、格好いい。
いつもカッコイイんだけど、軍服は別腹で新たな一面が花開いて格好いいね。
この会場のご令嬢達の恋心を一気に煽ったに違いない!
····恋心、かあ。
ふと王子に視線を移す。
王子がどうして狩猟祭に参加してないのか、だよね。
会場の王子と同じ年頃の令嬢達を視線だけで見回す。
元々高位貴族になるほど獣人さんが少ないんだけど、それにしても今日のこの会場には極端なほど少ないんだ。
侯爵の中でも格下になるにつれて獣人さんはちらほらいる。
ちなみに僕が彼女達に反応しないのは、金色を取り入れた着飾りで女性特有の戦闘モードに入った獣人さんに食指が動かなかったから。
何年か前にあった夏の王子のお茶会でマウントを取ろうとした獣人令嬢ばかりなんだもん。
あとその手の戦闘モードの獣人さんは攻撃的になりやすいからお互いの為にも近寄らない。
でもあの夏に見た獣人令嬢の数と今の数が合わない。
公爵家の中にもいたはずなんだけどな。
色とりどりのドレス、装飾品、この日の為にコンディションを整えた健康的な肌艶。
王子は黒髪に明るい金目なんだけど、ドレスや装飾品の一部にその色を取り入れてる年頃の令嬢達が多い。
僕が渡したあの扇もそうだね。
事前の告知もなかったけど予見してたか、もしくは王妃様へのアピールか、その両方かな。
情報が漏れてたなら問題だけどね。
ここは辺境領で国防の要の1つだから情報漏洩は命取りだもの。
それはさておき今年15才になる王子にはまだ婚約者がいないんだ。
王太子は隣国との同盟が絡んで王子の年の頃にはその国の王女と婚約を結んでるんだけど、王子もそろそろ?
ま、11才になったばかりのお子ちゃまな僕には関係ないか。
僕はそっとケーキに視線を落とす。
早く食べてくれと言わんばかりの職人達によって彩られた甘い宝石達が僕を果敢に誘惑し続ける····。
····ロイヤル、邪魔。
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