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103.色々と衝撃的~クラウディアside
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「あなた、本当に何もご存知ないのね」
私の反応で判断されたのでしょう。
青い目が驚きに見開かれ、私は恥ずかしさから顔を火照らせながら思わず俯いてしまいましたわ。
「確かに当時のフォンデアス家はグレインビル家のおこぼれ陞爵とも言われてらしたようですから、本当の陞爵理由は表向きには伏せられておりましたわ。
けれど当主ご自身は隠す必要はなしとして、聞かれれば真実を話されていたようでしてよ。
それに現在のグレインビル侯爵家は親戚関係に留まらず、フォンデアス公爵家の領地の名産の開発支援も行って領地の財政危機を脱した影の立役者でもありますから、関係はとても良好ですわよね。
そのお話も進んでされなくとも特別隠してもいらっしゃらないはずですの。
あなた、もしかして自領に何も興味をお持ちにならなかったのかしら····」
俯いた私の顔が赤いものからどんどん青ざめていくのがわかったのでしょう。
1度顔を上げたもののレイチェル様の残念な何かを見るような目を向けられていた事に気づいて再び俯きましたわ。
「そう、それで今ですのね。
あなたもしかして反省文なんて書かされていらっしゃるの?」
「え····何の事ですの?」
「あら、違ってらした?
こちらでお見かけした時から随分暗い顔をなさってらしたからてっきり私のよう、ゴホン、いえ、反省文という名の自領の分析結果と問題点と考察を大体20単語が20行程度書けるような用紙で100枚程度にまとめて提出するよう求められたのかと思いましたわ」
「いえ、そういった物は求められてはおりませんでしたわ。
そのような物を求められた事がおありですの?
反省文という事は至らない何かをされたのでしょうか?」
「ほほほ、間違っても私の話ではありませんのよ。
噂ですわ、噂。
かつてレイヤード様は妹であるアリアチェリーナ様を軽んじるような愚行を犯した者にそれを書かせてその者がいかに貴族の子供として自覚を持っていないのか、そして妹がいかに素晴らしい考えをお持ちかを知らしめた事がございましたの。
その時のレイヤード様は書き終えるまで悪魔のような殺気で監視していらし····た、らしいですわ」
レイチェル様が遠い目をなさって小窓の外を見ておられました。
「けれどその時の反省文のおかげで負債を抱えて赤字経営だったその者の領地が今では黒字経営となった、とお聞きしておりますの。
私とアリアチェリーナ様はその時、ゴホン、それを聞いて私自ら反省文を書いて送った事がご縁で連絡を取り合う仲となったのですわ」
「左様でございましたの」
レイチェル様は時々咳払いされていましたが、風邪でしょうか。
言葉も時々詰まらせておられましたし。
「私は反省文は求められておりませんが、きっと気づきを与えられているのだと思いますわ。
もう、手遅れなのですが····自分がいかに不出来で傲慢で、自覚のない貴族令嬢として恥ずかしい程に驕った性格であったのかを····」
言いながら胸がズキズキと痛み、私は再び俯きました。
それからはどうやって時を過ごしたのか····。
レイチェル様に促されて会場の席に戻り、従妹とレイチェル様の共に堂々とした貴族然としたやり取りをただ呆然と眺め、そう、家格ではなく彼女達と自らとの格の違いを従妹に感じながらただただ呆然としておりました。
我に返ったのは、従妹に手を引かれた時でしたわ。
「従姉様、参りますわよ!」
私を連れて来た目的の1つは馬車に乗る直前に聞かされておりました。
ただ一言、ケーキの為と。
その時は何の事かわかりませんでしたわ····しかし、言葉そのまま、本気でしたの?!
王妃様のご挨拶もまだしていないのに、どういう事ですの?!
「な、ちょっとあなた、本当にこの為に?!
まだ王妃様とお話もしてませんわよ?!」
周囲に配慮したというよりも、このままあの一角に行けば間違いなくケーキで目立つのがわかっていて恥ずかしさから小声で反抗しましたわ。
「私は子供ですのよ!
子供は甘い物が大好きなのですわ!
王妃様へのご挨拶はまだまだ時間がかかりますの!
ケーキは新鮮だからこそケーキなのでしてよ!」
「何ですの、その暴論?!
お、お母様?!」
あなたさっきまでそこらへんの貴婦人顔負けで公爵家のご令嬢とやり取りしていたじゃありませんの!
都合がよろしい時だけ子供ぶるなんて!!
それに新鮮なケーキって何ですの?!
反射的にお母様に助けを求めましたが、無駄でしたわね。
冷たくあしらわれましたわ。
「さあ!
しっかり私のケーキを運んで下さいませ!
従姉様の役割をこなすのですわ!」
目をキラキラと輝かせて勢いよくその一角に待機したバトラーに伝えてケーキを盛っていく様に唖然としました。
「ケーキの為にって····まさか本気だったなんて····あなたも貴族令嬢のはずなのに····」
心の声が漏れ出ても、私は悪くありませんわよね?
席に戻れば上品かつとんでもない早さで食していくし、病弱な深窓のご令嬢設定はどこにポイ捨てしておいでですの?!
それから王妃様がご挨拶にいらっしゃれば流石に食べるのは控えていましたけど、ご挨拶の最中はバルトス様を異様にキラキラ、というかギラギラした目で眺め続けたり、直接話しかけられればお話をさっさと切り上げようとなさるし、幼くとも不敬で捕まる事もございますのよ?!
私はそれまでの自分の従妹への態度など忘れてハラハラと心配する事になりましたわ。
ご挨拶が終わってからは少しずつ膨れていくぽっこりお腹を心配しましたわ。
いつの間にかお母様が席を立ち、社交の場に赴かれた事にすら気づかない程には。
けれど、まさか誰も見ていない隙を窺ってドレスのリボンを手早くほどいて締め直して全てのケーキをお腹に収めていくなんて思いもしておりませんでしたわ。
「あなた、まさかその為にそのようなデザインを····」
「ケーキは偉大でしてよ、レイチェル様」
どや顔とは、きっとこの時の従妹の顔を言うのでしょう。
私とレイチェル様だけはデザインの意図を目撃しました。
我に返ったように呟くレイチェル様を横目に、私はそっとナプキンで口元のチョコレートを拭って差し上げましたわ。
私の反応で判断されたのでしょう。
青い目が驚きに見開かれ、私は恥ずかしさから顔を火照らせながら思わず俯いてしまいましたわ。
「確かに当時のフォンデアス家はグレインビル家のおこぼれ陞爵とも言われてらしたようですから、本当の陞爵理由は表向きには伏せられておりましたわ。
けれど当主ご自身は隠す必要はなしとして、聞かれれば真実を話されていたようでしてよ。
それに現在のグレインビル侯爵家は親戚関係に留まらず、フォンデアス公爵家の領地の名産の開発支援も行って領地の財政危機を脱した影の立役者でもありますから、関係はとても良好ですわよね。
そのお話も進んでされなくとも特別隠してもいらっしゃらないはずですの。
あなた、もしかして自領に何も興味をお持ちにならなかったのかしら····」
俯いた私の顔が赤いものからどんどん青ざめていくのがわかったのでしょう。
1度顔を上げたもののレイチェル様の残念な何かを見るような目を向けられていた事に気づいて再び俯きましたわ。
「そう、それで今ですのね。
あなたもしかして反省文なんて書かされていらっしゃるの?」
「え····何の事ですの?」
「あら、違ってらした?
こちらでお見かけした時から随分暗い顔をなさってらしたからてっきり私のよう、ゴホン、いえ、反省文という名の自領の分析結果と問題点と考察を大体20単語が20行程度書けるような用紙で100枚程度にまとめて提出するよう求められたのかと思いましたわ」
「いえ、そういった物は求められてはおりませんでしたわ。
そのような物を求められた事がおありですの?
反省文という事は至らない何かをされたのでしょうか?」
「ほほほ、間違っても私の話ではありませんのよ。
噂ですわ、噂。
かつてレイヤード様は妹であるアリアチェリーナ様を軽んじるような愚行を犯した者にそれを書かせてその者がいかに貴族の子供として自覚を持っていないのか、そして妹がいかに素晴らしい考えをお持ちかを知らしめた事がございましたの。
その時のレイヤード様は書き終えるまで悪魔のような殺気で監視していらし····た、らしいですわ」
レイチェル様が遠い目をなさって小窓の外を見ておられました。
「けれどその時の反省文のおかげで負債を抱えて赤字経営だったその者の領地が今では黒字経営となった、とお聞きしておりますの。
私とアリアチェリーナ様はその時、ゴホン、それを聞いて私自ら反省文を書いて送った事がご縁で連絡を取り合う仲となったのですわ」
「左様でございましたの」
レイチェル様は時々咳払いされていましたが、風邪でしょうか。
言葉も時々詰まらせておられましたし。
「私は反省文は求められておりませんが、きっと気づきを与えられているのだと思いますわ。
もう、手遅れなのですが····自分がいかに不出来で傲慢で、自覚のない貴族令嬢として恥ずかしい程に驕った性格であったのかを····」
言いながら胸がズキズキと痛み、私は再び俯きました。
それからはどうやって時を過ごしたのか····。
レイチェル様に促されて会場の席に戻り、従妹とレイチェル様の共に堂々とした貴族然としたやり取りをただ呆然と眺め、そう、家格ではなく彼女達と自らとの格の違いを従妹に感じながらただただ呆然としておりました。
我に返ったのは、従妹に手を引かれた時でしたわ。
「従姉様、参りますわよ!」
私を連れて来た目的の1つは馬車に乗る直前に聞かされておりました。
ただ一言、ケーキの為と。
その時は何の事かわかりませんでしたわ····しかし、言葉そのまま、本気でしたの?!
王妃様のご挨拶もまだしていないのに、どういう事ですの?!
「な、ちょっとあなた、本当にこの為に?!
まだ王妃様とお話もしてませんわよ?!」
周囲に配慮したというよりも、このままあの一角に行けば間違いなくケーキで目立つのがわかっていて恥ずかしさから小声で反抗しましたわ。
「私は子供ですのよ!
子供は甘い物が大好きなのですわ!
王妃様へのご挨拶はまだまだ時間がかかりますの!
ケーキは新鮮だからこそケーキなのでしてよ!」
「何ですの、その暴論?!
お、お母様?!」
あなたさっきまでそこらへんの貴婦人顔負けで公爵家のご令嬢とやり取りしていたじゃありませんの!
都合がよろしい時だけ子供ぶるなんて!!
それに新鮮なケーキって何ですの?!
反射的にお母様に助けを求めましたが、無駄でしたわね。
冷たくあしらわれましたわ。
「さあ!
しっかり私のケーキを運んで下さいませ!
従姉様の役割をこなすのですわ!」
目をキラキラと輝かせて勢いよくその一角に待機したバトラーに伝えてケーキを盛っていく様に唖然としました。
「ケーキの為にって····まさか本気だったなんて····あなたも貴族令嬢のはずなのに····」
心の声が漏れ出ても、私は悪くありませんわよね?
席に戻れば上品かつとんでもない早さで食していくし、病弱な深窓のご令嬢設定はどこにポイ捨てしておいでですの?!
それから王妃様がご挨拶にいらっしゃれば流石に食べるのは控えていましたけど、ご挨拶の最中はバルトス様を異様にキラキラ、というかギラギラした目で眺め続けたり、直接話しかけられればお話をさっさと切り上げようとなさるし、幼くとも不敬で捕まる事もございますのよ?!
私はそれまでの自分の従妹への態度など忘れてハラハラと心配する事になりましたわ。
ご挨拶が終わってからは少しずつ膨れていくぽっこりお腹を心配しましたわ。
いつの間にかお母様が席を立ち、社交の場に赴かれた事にすら気づかない程には。
けれど、まさか誰も見ていない隙を窺ってドレスのリボンを手早くほどいて締め直して全てのケーキをお腹に収めていくなんて思いもしておりませんでしたわ。
「あなた、まさかその為にそのようなデザインを····」
「ケーキは偉大でしてよ、レイチェル様」
どや顔とは、きっとこの時の従妹の顔を言うのでしょう。
私とレイチェル様だけはデザインの意図を目撃しました。
我に返ったように呟くレイチェル様を横目に、私はそっとナプキンで口元のチョコレートを拭って差し上げましたわ。
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