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118.狩り~sideヘルト2
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ガガーン!!!!
なかなかのけたたましい音と共に特大の稲光が雄の頭に直撃した。
白目を剥いて巨体が倒れこむ。
氷竜には雷系の魔法攻撃が利きやすい。
だが雷系の魔法は使い手がほとんどいない。
発動させるのが難しいのだ。
中でも今使った上位魔法を使える者はほぼいない。
さすが私と愛しの妻の息子だ。
番であった雄を失い、雌が半狂乱でレイヤードに氷の砲口をぶつける。
もちろん息子は雷球をぶつけて全て粉砕してかわす。
余波と暴れる体躯が起こす物理的な破壊行動で岩や氷や木々がこちらにも飛んで来るが、もちろん自分の周りにはちゃんと障壁を張って防ぐ。
「ぎゃー!
何か色々飛んでくるー!」
「父上、土壁の硬度上げてー!」
全く騒がしい親子だ。
悪友も叫ぶ前にお得意の土魔法で壁を強化すれば良いものを。
甥は父親のあいつが作った壁の影に隠れつつ、炎幕を作って魔獣を寄せつけないようにする。
····攻撃しないのか?
今日は狩りだよな?
ドーン!!
ドーン!!
ドーン!!
ドーン!!
そうしている間に狩猟祭の終了の合図が聞こえたが、あの4人は聞こえていないようだ。
いや、王太子だけは僅かに反応したか。
「こんな時にリューイはどこに行ったのだー!」
「あはは、相変わらず君の護衛はマイペースだよねー」
そうだな。
お前の護衛はそこで氷熊を狩ってるぞ。
下位とはいえ、Aランクを3匹同時に相手にしても問題無さそうだな。
魔法ではなく今回は剣で勝負したいらしい。
一応そっちをチラ見してたが、お前の事は放置して遊ぶようだ。
王太子は障壁を張りつつ、魔獣に火刃、風刃、水刃を使って切り刻む。
複数属性を1度に、それもそこそこに魔力を圧縮して使うとはなかなかやるな。
恐らく何かを試しているんだろう。
実戦の場というのはなかなか得られないし、彼の立場では更に難しい。
やるなら今だろうな。
クソ王子は土魔法で尖らせた岩を一気に造り上げて魔獣の下から槍のように突き上げ、体を地面に縫い止める。
素材が傷つく考えなしの戦い方だ。
うちの息子を見習え。
不意に彼の左手の小指が光る。
クソ王子を助けるのかと思えば、黒い靄がこちらへ来た。
『ねえ、アリーとは後で会える?』
イラッ。
「私の可愛い娘に何用かな?」
靄が怯えたように震えたが、コイツはあの日私の可愛い娘に添い寝した性別男の精霊だ。
しかも私の可愛い娘に向ける視線が気に入らない。
『その、会いたいなって····』
「断る」
『そんな····』
何やら傷ついたような気配を纏うが、知らん。
あの日人生で初めて私の天使が嫌いになると私に言ったのだ。
思春期で父親を嫌う女の子はいると聞いた事はあるが、それもこれもあの胸だけ女とコイツの加護のせいとなれば話が変わる。
そう思っている間にも、息子は雌竜を追い込んでいく。
が、とどめの雷擊を放とうとして止めた。
雷幕を作って取り囲んでいき、わざと一部だけ隙間を空ける。
当然雌はそこから出て再び湖の方向へと踵を返した。
「どうやら子供がいたみたいなんだ」
少し離れた所にいる私に風を使って声が届く。
なるほど、耳を澄ませば微かにキューキューと親を呼ぶ子竜の鳴き声が聞こえる。
魔獣は狩り尽くすのも良くない。
特に上位種を好きに狩ると生態系が崩れて下位種の数が膨れ上がって、数の暴力とばかりに無駄で面倒な魔獣集団暴走が起こりかねない。
「そうか。
じゃあバックにしまったら行こうか」
そう言って狩った獲物を片付けていく。
時々邪魔する魔獣は水球に閉じ込めて窒息させる。
「待って待ってー!」
「叔父上、レイヤード、助けてー!」
終わって帰ろうとすれば、魔土竜にガリガリ土壁を噛られ中の騒がしい親子が一部だけ小さい穴を開けて中から目だけ窺わせて叫ぶ。
どうやら完全に自分達を土壁で覆って攻撃を防いでいたらしい。
見た目が砂山に埋まってるみたいだ。
「レイヤード」
「えー」
不服そうにしながらも威力をほどよく抑えた雷擊を魔土竜に当てて気絶させた。
「「ありがとー!!」」
砂山が崩れて中から親子が出てくるのを見て王太子が声をかける。
「あれ、もう山を下りるのかな?」
「終わりの合図はとっくに鳴ってますよ」
「そうだった?」
息子の言葉に白々しく驚く。
「ゼストウェル王子、リューイ殿、下りるよー!」
「いや、まだ魔獣がー!」
魔獣というのは本能に素直だ。
特に下位種になればなるほどに。
つまり私達ではなくあのクソ王子に群がろうとしている。
仕方ない。
私は自分を起点に広範囲に魔方陣を出現させる。
その中から人の魔力と高位の魔獣だけを弾いて爆裂させた。
「····えぇ····」
クソ王子は魔獣達の血肉を多少被ってただ呆然と呟いていた。
これで少しばかり溜飲を下げてやろう。
なかなかのけたたましい音と共に特大の稲光が雄の頭に直撃した。
白目を剥いて巨体が倒れこむ。
氷竜には雷系の魔法攻撃が利きやすい。
だが雷系の魔法は使い手がほとんどいない。
発動させるのが難しいのだ。
中でも今使った上位魔法を使える者はほぼいない。
さすが私と愛しの妻の息子だ。
番であった雄を失い、雌が半狂乱でレイヤードに氷の砲口をぶつける。
もちろん息子は雷球をぶつけて全て粉砕してかわす。
余波と暴れる体躯が起こす物理的な破壊行動で岩や氷や木々がこちらにも飛んで来るが、もちろん自分の周りにはちゃんと障壁を張って防ぐ。
「ぎゃー!
何か色々飛んでくるー!」
「父上、土壁の硬度上げてー!」
全く騒がしい親子だ。
悪友も叫ぶ前にお得意の土魔法で壁を強化すれば良いものを。
甥は父親のあいつが作った壁の影に隠れつつ、炎幕を作って魔獣を寄せつけないようにする。
····攻撃しないのか?
今日は狩りだよな?
ドーン!!
ドーン!!
ドーン!!
ドーン!!
そうしている間に狩猟祭の終了の合図が聞こえたが、あの4人は聞こえていないようだ。
いや、王太子だけは僅かに反応したか。
「こんな時にリューイはどこに行ったのだー!」
「あはは、相変わらず君の護衛はマイペースだよねー」
そうだな。
お前の護衛はそこで氷熊を狩ってるぞ。
下位とはいえ、Aランクを3匹同時に相手にしても問題無さそうだな。
魔法ではなく今回は剣で勝負したいらしい。
一応そっちをチラ見してたが、お前の事は放置して遊ぶようだ。
王太子は障壁を張りつつ、魔獣に火刃、風刃、水刃を使って切り刻む。
複数属性を1度に、それもそこそこに魔力を圧縮して使うとはなかなかやるな。
恐らく何かを試しているんだろう。
実戦の場というのはなかなか得られないし、彼の立場では更に難しい。
やるなら今だろうな。
クソ王子は土魔法で尖らせた岩を一気に造り上げて魔獣の下から槍のように突き上げ、体を地面に縫い止める。
素材が傷つく考えなしの戦い方だ。
うちの息子を見習え。
不意に彼の左手の小指が光る。
クソ王子を助けるのかと思えば、黒い靄がこちらへ来た。
『ねえ、アリーとは後で会える?』
イラッ。
「私の可愛い娘に何用かな?」
靄が怯えたように震えたが、コイツはあの日私の可愛い娘に添い寝した性別男の精霊だ。
しかも私の可愛い娘に向ける視線が気に入らない。
『その、会いたいなって····』
「断る」
『そんな····』
何やら傷ついたような気配を纏うが、知らん。
あの日人生で初めて私の天使が嫌いになると私に言ったのだ。
思春期で父親を嫌う女の子はいると聞いた事はあるが、それもこれもあの胸だけ女とコイツの加護のせいとなれば話が変わる。
そう思っている間にも、息子は雌竜を追い込んでいく。
が、とどめの雷擊を放とうとして止めた。
雷幕を作って取り囲んでいき、わざと一部だけ隙間を空ける。
当然雌はそこから出て再び湖の方向へと踵を返した。
「どうやら子供がいたみたいなんだ」
少し離れた所にいる私に風を使って声が届く。
なるほど、耳を澄ませば微かにキューキューと親を呼ぶ子竜の鳴き声が聞こえる。
魔獣は狩り尽くすのも良くない。
特に上位種を好きに狩ると生態系が崩れて下位種の数が膨れ上がって、数の暴力とばかりに無駄で面倒な魔獣集団暴走が起こりかねない。
「そうか。
じゃあバックにしまったら行こうか」
そう言って狩った獲物を片付けていく。
時々邪魔する魔獣は水球に閉じ込めて窒息させる。
「待って待ってー!」
「叔父上、レイヤード、助けてー!」
終わって帰ろうとすれば、魔土竜にガリガリ土壁を噛られ中の騒がしい親子が一部だけ小さい穴を開けて中から目だけ窺わせて叫ぶ。
どうやら完全に自分達を土壁で覆って攻撃を防いでいたらしい。
見た目が砂山に埋まってるみたいだ。
「レイヤード」
「えー」
不服そうにしながらも威力をほどよく抑えた雷擊を魔土竜に当てて気絶させた。
「「ありがとー!!」」
砂山が崩れて中から親子が出てくるのを見て王太子が声をかける。
「あれ、もう山を下りるのかな?」
「終わりの合図はとっくに鳴ってますよ」
「そうだった?」
息子の言葉に白々しく驚く。
「ゼストウェル王子、リューイ殿、下りるよー!」
「いや、まだ魔獣がー!」
魔獣というのは本能に素直だ。
特に下位種になればなるほどに。
つまり私達ではなくあのクソ王子に群がろうとしている。
仕方ない。
私は自分を起点に広範囲に魔方陣を出現させる。
その中から人の魔力と高位の魔獣だけを弾いて爆裂させた。
「····えぇ····」
クソ王子は魔獣達の血肉を多少被ってただ呆然と呟いていた。
これで少しばかり溜飲を下げてやろう。
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