秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子

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182.ばれる、拗ねる

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「あ、そこの尻尾の真ん中あたりを····そう、そこ。
アリー嬢ってば本当にブラッシング上手だね」
「んふふー。
ありがとうございます。
他にも痒い所あったら教えてくださいね」

 もちろん今は黒豹属のアン様のお尻尾様にブラッシングしてるよ。

 くふふ。
あっち向いてるからどんなお顔かわからないけど、声を聞く限り気持ち良いと思ってくれてるはず。

 ちなみに義兄様達は相変わらず僕の頭を撫でたり、背中を向けて座る僕のお腹から腰に腕を回してぴったりくっついてる。
多分僕がこれ以上のだらしないお顔を晒したり、変態行動しちゃった時にはすぐに止めに入ってくれる為じゃないかな。

「アリーってば本当に獣人の耳と尻尾を触るの大好きだよね」
「そういえば誘拐されたあの時もあのラディアスが呆れるくらいには気絶したジルコの耳と尻尾を触っていたな」
「アリー嬢、節操は大事では····」

 ····うん?!
ルド様、感慨深そうな顔して何ばらしてくれちゃってるの?!
てかゼスト様ってば、節操とかひどくないかな?!

 思わず手を止める。

 はっ····や、やばい。
そういえばそれは家族の誰にも言ってない!

「「アリー?」」

 義兄様達の声がシンクロした····。
バルトス義兄様も名前呼びだ。
思わずビクッてしちゃった。

「コ、コホン。
ゼスト様、お話しの続きはよろしいんですか?」

 とりあえずはぐらかしてみる。

「「アリー?」」

 だ、駄目だ。
はぐらかさせてくれない。

「ゆ、誘拐中に触っては駄目っていうお約束はしてなかった····もの?」

 とりあえず言い訳してみよう。

「すごい言い訳きたね」
「「アリー嬢····」」
(僕はいいと思うよ!)

 ギディ様、感心してないで助けてよ!
王子2人も呆れたような呟き止めて!
闇の精霊さん、共感をありがとう!
シル様、護衛なのに助けを求めるいたいけな僕から視線そらすのどうかと思う!
リューイさん、無表情なのに呆れた雰囲気醸し出すって器用ですね?!

「ぷくく····」

 アン様は声を殺しきれてないし、お尻尾様がぴくぴくしてるよ?!

「アリー、父上が夕方には戻ってくるから」
「そうだな。
夜ご飯を食べたら1度家族で話をしようか。
もちろん俺の天使の耳と尻尾の節度について」
「········はい」

 あ、バルトス義兄様の僕の呼び方が戻った。
レイヤード義兄様の言う通り、領民の冬支度の様子を確認に行った義父様は間違いなく夕方には戻ってくるよね。

 顔面偏差値の高い僕の素敵な義兄様達の笑顔の提案には素直に頷くより他に道はない。

 ····泣きそうだ。

 しばらく天然物のもふもふは封印されてしまう。
もちろんあの魔具を使った人工物のもふもふは今後も堪能できるだろうけど、天然物は気持ちから違うんだよ。

 ガクリとうなだれてしまう。
でもお尻尾様は両手で小さくもみもみしちゃう。

「あ、アリー嬢、なんだかすまない」

 目に見えた僕の落ち込みに、諸悪の爆弾投下犯は慌てて謝罪する。

 が、許さん!

 僕だってすっかり忘れてたのに、この仕打ちは酷すぎる!

「しばらくルド様は完全出禁です」
「そ、そんな?!」

 知らないもん。

 ふてくされつつお尻尾様をいつも通りにもふもふし始める。
もふもふ緊急チャージだ。

「そんな事よりゼスト様はさっさとお話しの続きをしてください。
そろそろ商会長さん達が戻ってきますよ」

 もふもふもふもふもふ。
ゼスト様を促しつつも手を動かす。

「あーあ、拗ねちゃったね、ルド」
(アリー、ご機嫌ななめ?)
「うぐっ。
俺のせいなのか?!
すまない、アリー」

 拗ねたし、ご機嫌斜めだし、ルド様のせいだよ。

 レイヤード義兄様の頭なでなでも、バルトス義兄様のお腹から腰に回る腕の温もりも気持ちいいけど、それとこれは違うんだい!

「あー、とりあえず続けさせて欲しい」

 場の雰囲気を変えようとしたのか、返事をしない僕にショックを受けたらしいルド様を横目にゼスト様が続ける。

「勅命を賜った後、3人が私の面談を受け入れるようその場でそれぞれの父親に一筆書いてもらい、王妃陛下、第3王子の母である側妃にも知らせを出して即刻アドライド国へ向戻った。
もちろん自国の国王からの勅命を受けた私の面談を素直に受けるなら彼らの父親達からの一筆は必要ないものとして中を見ずに破棄する事にしていたが····まあ予想通り面談を拒否した為に内容を検分した上で彼らに見せた」

 もふもふもふもふもふもふ····。

 もちろんそんな話を聞いてるからって、僕のご機嫌は直らない。
黒いお尻尾様をもふり倒す。

 ふん、だ。
根回しはうまくしたんじゃないかな。
側妃だか教会だかに邪魔される前に出発してるし、国王含めてそれぞれの父親には一筆書かせて連帯感持たせてるし。
ていうか、他の2人も国王が書くんだから断れないよね。
その一筆も国王から勅命を賜った王子相手に素直に従えば使う事はない一筆なんだから、断れるはずもない。

 それに王家以外の何かしらの勢力が横槍を入れようとしても、2つの国からの確かな証拠に基づいた苦情になる。
しかもいつ公開になってもおかしくない一応の非公式の通達だからね。
ここまでくればわかると思うけど結局は非公式の外交問題になってるんだ。
もちろん後手に回った以上王家以外の勢力にとっては分が悪すぎる。
結局は下手な横槍なんてできなくなったんだ。

 ····一体誰の入れ知恵なんだかね?

 もちろん僕はほんの少しだってロイヤル達の方には向かないよ!
巻き込み事故は2度とごめんなんだから!
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