秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子

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191.立場の違い~ルドルフside

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「もう捕れそうなのいないみたいですね、兄上」
「そのようだ」

 火口に立ってマグマを見つめる悪魔達。
その後ろには全長数メートルほどの黒っぽくて腹が白い魚達が10匹ほど積まれている。

 俺とへたりこむ3人の留学生の後ろには1匹とゼストの護衛のリューイ。
更にリューイの後ろには彼に尾ひれを掴まれビチビチしてる捕れたて3匹。

 対岸にはペルジア先輩が立っていて、そこに2匹。
自分のマジックバックに魚を収納しているが、今回はただの同行者だったはず。
いつの間にノルマに組み込まれているのか····。

「お前達、4人と護衛がついてそれだけか」

 バルトス殿が呆れた顔でこちらを見やる。

「すまない、師匠」

 ゼストは素直に謝る。
その後ろのリューイは俺達が捕ったのも含めてレイヤードにビチビチの魚を差し出しに向かっている。

「仕方ないだろう!
お前達2人が手伝いもせずに我先にと群れごと捕るからだ!」
「そ、そうです!
それに奴らは群れでマグマを吹きつけてくるんですよ!
留学中の他国の王子の身に何かあったらどう責任を取るおつもりです!」

 問題児2人がつっかかる。

 まあ言いたい事はわかる。
既にこのマグマで16匹捕った。
これ以上は生態系に影響を及ぼす。

「何を言ってる?
お前達は冒険者として依頼書に署名しただろう。
依頼内容にお前達の手伝いや護衛という内容は含まれていない」
「何だと?!」
「そんな?!」
「そうだよ?」
「「ヒッ」」

 悪魔弟こと、レイが口を挟めばさっきまでの威勢はどこえやら。
問題児達は小さく悲鳴を上げて体をすくめた。

 いや、本当に何したんだ、レイ。
絶対聞かないけど気にはなる。

「依頼内容は慰謝料相当分の魔獣等の捕獲だ」
「俺達グレインビル家が納得しない限り依頼は不達成だが、?」
「何がだ!!」
「お、王子····」

 ····待て、あの問題王子バカは本気で言ってるのか?

 見る限りバカ以外は気づいている。
もう1人の問題児ですら気づいている。

「へえ、わからないんだ?」
「うっ···だから何だと言ってる!」

 おっ、とうとうレイに噛みついた。
····先に言おう、御愁傷様だな。

 ひりつく威圧にこの場の留学生達は口をつぐむ。
俺もこんな時は余計な発言はしない。
もらい事故は勘弁だ。

 俺達以外はこなれた手つきでマジックバックに収納したり、道具や武器を確認し始める。

 それにしてもレイのマジックバックの容量はどうなっているんだ?
リューイのも含めて14匹入ったぞ。

 バルトス殿が未だにわかってなさそうな問題王子に説明してやる。
それを面倒見が珍しくいいなと感心するくらいには、グレインビルに毒されている。
まあ兄上から経験を積ませて欲しいと頼まれたからだろうが。

「冒険者は依頼を受けた時点で道中の全てにおいて自己責任を問われる。
王族や貴族という身分は冒険者として依頼を受けた時点で関係なくなるのは冒険者ギルドを置く全ての国の法で決まっている。
もちろんザルハード国もだ。
また共に依頼を受けた者パーティーに故意に損失を与えた場合にはパーティーの中の最高ランク保持者の申し出により最悪の場合、登録を抹消される。
この事由で抹消された者は全冒険者ギルドに情報共有され、各国の主要機関にも知らされる。
今回の場合の損失とは依頼不達成を意味する」
「故意には····」
「故意と判断するのはこのパーティーではA級の俺、レイヤード、そこの護衛だ。
王室からの特別依頼であればより一層、達成に関しては厳格なものになる。
現段階ではお前とそこのガキは他のメンバーに庇われるばかりで積極的な動きもしていない。
それどころか他のメンバーを盾にして身を守ろうとしたのを複数回確認した。
冒険者達が1番忌諱する行動を取っているとわからないか?」
「そ、それがどうした!」
「王子、止めて下さい!」

 うわ、本気か。
さすがに片割れが止める。

 だが魚を収納したレイが近づいてきてしまう。
頼む、俺の事はそっとしておいてくれ。
俺はレイに全面的に同意しているぞ。

「へえ、
ま、いいんじゃない?
冒険者ギルドの登録抹消を受けた者が王になった事は1度もないけど、僕達は困らないし。
最悪君が王位継承権の剥奪にあっても興味ないから」
「····は?」

 恐らく全く意図していなかっただろう言葉にポカンとしている。

「当たり前でしょ?
冒険者の依頼は命を伴う。
小さな依頼だって必ず何らかの危険はあるんだ。
そのパーティーを故意に邪魔するともなれば、冒険者からすれば殺人と同罪だよ?
殺人犯が王になれる?
しかもそんなのが王になれば冒険者ギルドを敵に回すようなものだ。
国からの依頼なんて受け付けてもらえないし、最悪国から撤退される。
そうなれば治安も悪くなるし、魔獣の被害も甚大になって国が荒れるよ?
他国の攻め入る隙を自分で招くような王は必要かな?」
「それ、は····」

  顔色がどんどん悪くなっていく。
体も震えてないか?

「そもそも光の精霊王っていうのが君についてるのに、どうして逃げちゃうわけ?
そのブレスレットをよくかざして光魔法もどきを使ってるけどさ、全然威力ないよね」

 その言葉に問題王子はガタガタ震え出す。
そう、あのブースでの一件を映像で見た時から俺達は皆気づいている。
そしてこの火口に来て魔獣と対峙して本人もどこかで気づいたんだろう。

 国の伝説であり、誉れである光の精霊王の力を借りているにしても弱すぎると。

 だがそれこそ俺達は立場があるから何も言わずにいたのだ。
レイヤード=グレインビルという全てが自己責任となる代わりに自由を約束された職業である冒険者を選び、A級冒険者として知名度もあって侯爵家をいつでも出ていける次男坊とは違う。

 いつでも家を捨てられる彼と俺達王族とでは根本的な立場が違うからこそ、他国の機密となる光の精霊王に関わる事象それには触れずに今日まできたのだ。
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