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267.感情が変化したきっかけ〜ルドルフside
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「ルドにとってのアリアチェリーナ=グレインビルはどういう存在なの?」
レイは俺を見つめて静かに問う。
俺は白いイタチ姿で高熱に苦しむ心の妹、いや、アリアチェリーナ=グレインビルを見やる。
「強い子だとは思う」
「····そうだね」
「だが、脆くて危うい存在だ」
「····それで?」
「初めはレイの妹としか見ていなかった。
何かとちょこまか動いては突拍子もない行動をして面白いと思った。
こんな妹がいれば飽きる事もないだろうと、俺の妹として可愛がりたいと、そう思っていた」
13才で行う王子としての夏の茶会で初めて会った時だ。
魔力がない事を馬鹿にされていたあの子は、全く意に介してもいなかった。
黙っていて欲しいとすら言われた。
面倒だから。
当時9才だった少女は悔しいとか恥ずかしいとか、そういう負の感情からではなく、ただただ面倒だからそう言った。
やはりグレインビルは面白いと純粋に思った。
それからも商業祭や試食会で年に1度程度の交流。
この悪魔兄弟がいる手前、それで満足しよう、所詮は他人だと、王子として欲するのはレイヤード=グレインビルだけだと、そう考えていた。
けれど部屋の隅で黙って護衛に徹するシルと共に誘拐されてから、俺の中の少女への感情が変化し始めた。
その後だ。
この少女の事を改めて調べたのは。
途中で兄上も加わり、そして自分がいかに少女の上辺しか見ていなかった事を痛感していった。
グレインビル辺境領が豊かな領へと変わっていったのは偶然かもしれないが、この少女を引き取って数年してからだった。
経済はもちろんだが特に教育や医療においての豊かさの質がそれまでとはガラリと変わっていた。
今では国の方がグレインビル領を真似ている。
また彼女が引き取られて数年して隣国の最も王位から遠いとされる、父王からも疎まれた辺境領主が伝染病を止め、当時の兄である王太子や汚職にまみれた上位貴族達を制し、父王すらも蟄居に追いやり没後すぐに王位に就いた。
彼の改革はめざましく、我が国をはじめ北の周辺諸国とも同盟を締結し直し貧しい国の不名誉な代名詞だった最北端の国と呼ばれる自国を徐々に富ませている。
彼が王位について10年あまり。
今では北の諸国の中でもヒュイルグ国の動向は無視できず、発言力も増している。
そんなヒュイルグ国王の治めていた領が、グレインビル辺境領と何かと小競り合いをしていた現フロルエラ辺境領だ。
そして何より、義母となるミレーネ=グレインビル侯爵夫人が患った心臓病。
本来ならもっと早くに心臓病を発症し、普通ならすぐに亡くなるはずが長く生き続けた。
当時王宮から派遣した医師や兄上は発作の起きた夫人が何かしらの薬を飲むのを目撃していた。
大公がグレインビル家で倒れた時に飲まされた薬と同じ物だと後に語り、見知らぬ旅人から受け取ったと聞いた。
もちろん俺や兄上、そして恐らくヒュイルグ国王もそうではないとにらんでいる。
この少女がグレインビル侯爵家の養女となってからのグレインビル領やその周辺の変化があまりにも目まぐるしい。
そして俺はこの少女の教育や医療の知識が突出しているのを、あの誘拐された際の洞窟で目の当たりにした。
それだけてはない。
あの茶会の日、少女を貶め反省文を書かされたレイチェル=ブルグル公爵令嬢。
当時は緩やかに没落していく家門の為に力のある家門か王家に嫁ぐ事が課せられていた、ただの世間知らずで傲慢なよくいる一般的高位貴族の令嬢だった。
今や自領の財政難を跳ね除け孤児達の教育にも力を注ぎ、社交界の花とすら揶揄されるほどに成長した。
従兄のレイヤード=グレインビルに付きまとい、義理の従妹である少女を何かと蔑んでいた現在行方不明扱いであるクラウディア=フォンデアス元公爵令嬢。
当時は生家からは縁を切られて分家のコード伯爵の後妻として嫁がされ、若くして貴族社会からは隔離されて生きる事がほぼ決定していた。
なのに今は秘密裏に少女と懇意にする東の商会長であるカイヤの元、何かしらの研究員として厳しく教育されているらしい。
他にもフォンデアス領、アビニシア領、コード領、東西南北を代表する各商会。
軽く思い浮かんだだけでもこれだけの場所や人が短期間で富み、我が国のあらゆる場面で発展に一役買っている。
その全てに少女が関わり、彼らは少女に敬意と感謝を示している。
表立ってそうしないのは少女が目立つ事を心底嫌っているから。
彼らが少女の存在の危うさを理解し、それを尊重したからに他ならない。
そして輝かしい情報とは別の、痛ましい情報。
体が弱すぎてグレインビル家に迎えられてからこれまで常に死が付きまとっていた。
その上魔力が0でありグレインビルという特殊な環境で生きるからこそ、常に狙われて幼少期から過去何度も誘拐や殺害の危険に晒されていたという事実。
『····ど、し········から、だ····よわ、の····くや、し····』
熱に浮かされた少女は何かしらの魔具で少年へと若返ったシルを兄と間違えたんだと思う。
己の体の弱さを嘆いて泣いていた。
シルの命を救う為に見聞きした事のない、人の体を切って臓器を直接切り縫いする手術を行った後の事。
俺の中の少女への感情が大きく変化するきっかけの1つともなった。
レイは俺を見つめて静かに問う。
俺は白いイタチ姿で高熱に苦しむ心の妹、いや、アリアチェリーナ=グレインビルを見やる。
「強い子だとは思う」
「····そうだね」
「だが、脆くて危うい存在だ」
「····それで?」
「初めはレイの妹としか見ていなかった。
何かとちょこまか動いては突拍子もない行動をして面白いと思った。
こんな妹がいれば飽きる事もないだろうと、俺の妹として可愛がりたいと、そう思っていた」
13才で行う王子としての夏の茶会で初めて会った時だ。
魔力がない事を馬鹿にされていたあの子は、全く意に介してもいなかった。
黙っていて欲しいとすら言われた。
面倒だから。
当時9才だった少女は悔しいとか恥ずかしいとか、そういう負の感情からではなく、ただただ面倒だからそう言った。
やはりグレインビルは面白いと純粋に思った。
それからも商業祭や試食会で年に1度程度の交流。
この悪魔兄弟がいる手前、それで満足しよう、所詮は他人だと、王子として欲するのはレイヤード=グレインビルだけだと、そう考えていた。
けれど部屋の隅で黙って護衛に徹するシルと共に誘拐されてから、俺の中の少女への感情が変化し始めた。
その後だ。
この少女の事を改めて調べたのは。
途中で兄上も加わり、そして自分がいかに少女の上辺しか見ていなかった事を痛感していった。
グレインビル辺境領が豊かな領へと変わっていったのは偶然かもしれないが、この少女を引き取って数年してからだった。
経済はもちろんだが特に教育や医療においての豊かさの質がそれまでとはガラリと変わっていた。
今では国の方がグレインビル領を真似ている。
また彼女が引き取られて数年して隣国の最も王位から遠いとされる、父王からも疎まれた辺境領主が伝染病を止め、当時の兄である王太子や汚職にまみれた上位貴族達を制し、父王すらも蟄居に追いやり没後すぐに王位に就いた。
彼の改革はめざましく、我が国をはじめ北の周辺諸国とも同盟を締結し直し貧しい国の不名誉な代名詞だった最北端の国と呼ばれる自国を徐々に富ませている。
彼が王位について10年あまり。
今では北の諸国の中でもヒュイルグ国の動向は無視できず、発言力も増している。
そんなヒュイルグ国王の治めていた領が、グレインビル辺境領と何かと小競り合いをしていた現フロルエラ辺境領だ。
そして何より、義母となるミレーネ=グレインビル侯爵夫人が患った心臓病。
本来ならもっと早くに心臓病を発症し、普通ならすぐに亡くなるはずが長く生き続けた。
当時王宮から派遣した医師や兄上は発作の起きた夫人が何かしらの薬を飲むのを目撃していた。
大公がグレインビル家で倒れた時に飲まされた薬と同じ物だと後に語り、見知らぬ旅人から受け取ったと聞いた。
もちろん俺や兄上、そして恐らくヒュイルグ国王もそうではないとにらんでいる。
この少女がグレインビル侯爵家の養女となってからのグレインビル領やその周辺の変化があまりにも目まぐるしい。
そして俺はこの少女の教育や医療の知識が突出しているのを、あの誘拐された際の洞窟で目の当たりにした。
それだけてはない。
あの茶会の日、少女を貶め反省文を書かされたレイチェル=ブルグル公爵令嬢。
当時は緩やかに没落していく家門の為に力のある家門か王家に嫁ぐ事が課せられていた、ただの世間知らずで傲慢なよくいる一般的高位貴族の令嬢だった。
今や自領の財政難を跳ね除け孤児達の教育にも力を注ぎ、社交界の花とすら揶揄されるほどに成長した。
従兄のレイヤード=グレインビルに付きまとい、義理の従妹である少女を何かと蔑んでいた現在行方不明扱いであるクラウディア=フォンデアス元公爵令嬢。
当時は生家からは縁を切られて分家のコード伯爵の後妻として嫁がされ、若くして貴族社会からは隔離されて生きる事がほぼ決定していた。
なのに今は秘密裏に少女と懇意にする東の商会長であるカイヤの元、何かしらの研究員として厳しく教育されているらしい。
他にもフォンデアス領、アビニシア領、コード領、東西南北を代表する各商会。
軽く思い浮かんだだけでもこれだけの場所や人が短期間で富み、我が国のあらゆる場面で発展に一役買っている。
その全てに少女が関わり、彼らは少女に敬意と感謝を示している。
表立ってそうしないのは少女が目立つ事を心底嫌っているから。
彼らが少女の存在の危うさを理解し、それを尊重したからに他ならない。
そして輝かしい情報とは別の、痛ましい情報。
体が弱すぎてグレインビル家に迎えられてからこれまで常に死が付きまとっていた。
その上魔力が0でありグレインビルという特殊な環境で生きるからこそ、常に狙われて幼少期から過去何度も誘拐や殺害の危険に晒されていたという事実。
『····ど、し········から、だ····よわ、の····くや、し····』
熱に浮かされた少女は何かしらの魔具で少年へと若返ったシルを兄と間違えたんだと思う。
己の体の弱さを嘆いて泣いていた。
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俺の中の少女への感情が大きく変化するきっかけの1つともなった。
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