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322.賛否両論の温泉玉子とギラリと光る目
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「やっと言えたんだね」
「ガ、ガウディード様!」
からかうような従兄様の言葉にお姉様、もとい、ジェン様のお顔が真っ赤になった。
「あはは、ごめんごめん。
馬車の中で話してた時から、ずっと切り出すタイミングを見計らっては諦めてを繰り返してたから、こっちがやきもきしちゃったよ」
言われてみれば、お話の途中で時々何かを言いかけて、止めてを繰り返してた。
今みたいにお顔を赤くして。
へへへ、ジェン様可愛い。
「はぅ、にこにこしてる····可愛らしい」
両手を頬に当ててうつむいて、ぶつぶつ呟き始めちゃった。
あの貴族名鑑という名の王家の悪戯名鑑では、グレインビル侯爵家は公爵家と同格の扱いなんだ。
でも一応同じ侯爵家でジェン様は僕より年上。
加えて次期ファムント侯爵家当主だと今の当主がちゃんとお披露目してるからね。
ただの令嬢である僕の方から口調を改める提案はしない方が無難なんだ。
だから口調は令嬢言葉まではいかないにしても、丁寧にしてたんだけど、お許しが出たみたい。
「それで、アリー。
返事はしなくていいのかな?」
従兄様が僕にウインクする。
はっ、可愛らしいスーパーモデルなジェン様にメロメロになってた!
「もちろん喜んで!
ジェン様!」
「!!」
うわ!
バッとお顔を上げたら、キラキラした目をしてた!
スーパーモデルがワンコみたい!
ナニコレ、可愛いな!
「それから、もうそろそろできあがる頃だと思います」
「できあがる?」
そんなワンコなジェン様には餌付けせねば!
そういえば温泉玉子のお話してなかったね。
きょとんとしたジェン様のお顔がもうワンちゃんにしか見えないよ。
お父さんの侯爵に生えてたお尻尾様とお耳様がジェン様にも見える。
お尻尾様がぶんぶん揺れてる。
実際に生えてるの見た事ないのに、おかしいな?
「アリー!
さっそく何か作ってたんだね!」
そういえばお顔を輝かせる従兄様にも言ってなかった。
でも従兄様のそのお顔は僕の思ってたのと違うんだ。
残念。
従兄様が僕のお顔をじっと見て、一言。
「アリー、お願い。
俺も食べたいな」
それだ!
やっぱり従兄様ってば、あざといね。
「もちろんだよ!」
「お嬢様、どうぞ」
わお!
立ち上がって取ってこようとしたら、大槍背負ってるセバスチャンがもう差し出してくれてる?!
ジェン様と従兄様が突然の執事長の出現にビクッてした。
「チッ」
ん、んん?!
思わず舌打ちの音に振り返るけど、いつものおすましニーアがいるだけだ。
気のせいだったかな?
「フッ」
ん、んん?!
思わず馬鹿にした鼻息の音に元の方に振り返るけど、いつもの微笑みセバスチャンがいるだけだ。
気のせいだったかな?
「ア、アリー?
早くその袋開けようか?」
何故かお顔を引きつらせた従兄様がセバスチャンの差し出す袋を受け取るよう促す。
さっきまで温泉に浸かっていたはずなのに、袋は乾いていた。
気を利かせて乾かしてくれたんだね。
うちの執事長は気が利く執事長だ。
「ありがとう、セバスチャン」
「いえいえ」
お礼を言って受け取って、中が見えるように全開にすれば、10個の茹で上がった玉子がこんにちはだ。
真っ黒になってる。
「えっ、黒い。
これ、玉子?」
「温泉玉子です!」
ジェン様にエヘンと胸を張って答える。
確か黒いのは、鉄分が付着した殻が硫化水素と反応して硫化鉄になるから、じゃなかったかな?
あちらの世界では寿命が延びるとか眉唾なお話もあったはず。
旨味成分が普通のゆで卵より多く含まれているってお話も聞いた事がある。
「あ、中は普通の白いゆで卵だ。
どれどれ、味は····」
もはや僕の出す物には何の危機感も抱かない従兄様は殻をむきむき、解説しながらぱくんと半分ほど口に含んでもぐもぐする。
それを見てジェン様もむきむき、ぱくん、もぐもぐ。
「ほんのり温泉の香りがして、普通のゆで卵とは少し違う美味しさを感じる。
美味しい」
「うん、これ、いいね!」
お行儀よくお口の中を無くしてから話すジェン様と、残りの半分もお口に入れて、もぐもぐしながら話す従兄様。
「良かった。
でも人によってはこの温泉の香りが苦手な方もいるかもしれないの。
鼻の利く獣人さんは特に分かれるお味かもしれない」
「ああ、確かに····あら、戻ってきたのね。
ちょうどいいわ。
護衛達に試してもらいたいのだけど、いいかしら?」
「もちろん!」
「貴方達、こちらへ」
ジェン様に呼ばれて鳥属、豹属、山羊属の3人が近寄ってくるけど、初めて目にする黒い玉子に心なしか緊張感がお顔に走っている。
「食べてみてちょうだい」
ジェン様に言われて3人はそっと手を伸ばし、殻を剥いてぱくん。
「俺は····すまねえ、苦手だ」
そう言ったのは微妙な面持ちになった豹属のおじさん。
お耳がピンとして、尻尾がどこか不機嫌そうに揺れている。
「俺は平気っす」
「俺も。
むしろこの風味、いい」
他の2人はほっとしたお顔になって、鳥属と彼の言葉に続いた山羊属の青年達が頷き合った。
「やっぱり好みが分かれるみたいね。
でも温泉玉子····使えそう」
ジェン様の目がギラリと光る。
あ、あれ?!
良く知る商会長さん達が時々してる目に見える?!
「ガ、ガウディード様!」
からかうような従兄様の言葉にお姉様、もとい、ジェン様のお顔が真っ赤になった。
「あはは、ごめんごめん。
馬車の中で話してた時から、ずっと切り出すタイミングを見計らっては諦めてを繰り返してたから、こっちがやきもきしちゃったよ」
言われてみれば、お話の途中で時々何かを言いかけて、止めてを繰り返してた。
今みたいにお顔を赤くして。
へへへ、ジェン様可愛い。
「はぅ、にこにこしてる····可愛らしい」
両手を頬に当ててうつむいて、ぶつぶつ呟き始めちゃった。
あの貴族名鑑という名の王家の悪戯名鑑では、グレインビル侯爵家は公爵家と同格の扱いなんだ。
でも一応同じ侯爵家でジェン様は僕より年上。
加えて次期ファムント侯爵家当主だと今の当主がちゃんとお披露目してるからね。
ただの令嬢である僕の方から口調を改める提案はしない方が無難なんだ。
だから口調は令嬢言葉まではいかないにしても、丁寧にしてたんだけど、お許しが出たみたい。
「それで、アリー。
返事はしなくていいのかな?」
従兄様が僕にウインクする。
はっ、可愛らしいスーパーモデルなジェン様にメロメロになってた!
「もちろん喜んで!
ジェン様!」
「!!」
うわ!
バッとお顔を上げたら、キラキラした目をしてた!
スーパーモデルがワンコみたい!
ナニコレ、可愛いな!
「それから、もうそろそろできあがる頃だと思います」
「できあがる?」
そんなワンコなジェン様には餌付けせねば!
そういえば温泉玉子のお話してなかったね。
きょとんとしたジェン様のお顔がもうワンちゃんにしか見えないよ。
お父さんの侯爵に生えてたお尻尾様とお耳様がジェン様にも見える。
お尻尾様がぶんぶん揺れてる。
実際に生えてるの見た事ないのに、おかしいな?
「アリー!
さっそく何か作ってたんだね!」
そういえばお顔を輝かせる従兄様にも言ってなかった。
でも従兄様のそのお顔は僕の思ってたのと違うんだ。
残念。
従兄様が僕のお顔をじっと見て、一言。
「アリー、お願い。
俺も食べたいな」
それだ!
やっぱり従兄様ってば、あざといね。
「もちろんだよ!」
「お嬢様、どうぞ」
わお!
立ち上がって取ってこようとしたら、大槍背負ってるセバスチャンがもう差し出してくれてる?!
ジェン様と従兄様が突然の執事長の出現にビクッてした。
「チッ」
ん、んん?!
思わず舌打ちの音に振り返るけど、いつものおすましニーアがいるだけだ。
気のせいだったかな?
「フッ」
ん、んん?!
思わず馬鹿にした鼻息の音に元の方に振り返るけど、いつもの微笑みセバスチャンがいるだけだ。
気のせいだったかな?
「ア、アリー?
早くその袋開けようか?」
何故かお顔を引きつらせた従兄様がセバスチャンの差し出す袋を受け取るよう促す。
さっきまで温泉に浸かっていたはずなのに、袋は乾いていた。
気を利かせて乾かしてくれたんだね。
うちの執事長は気が利く執事長だ。
「ありがとう、セバスチャン」
「いえいえ」
お礼を言って受け取って、中が見えるように全開にすれば、10個の茹で上がった玉子がこんにちはだ。
真っ黒になってる。
「えっ、黒い。
これ、玉子?」
「温泉玉子です!」
ジェン様にエヘンと胸を張って答える。
確か黒いのは、鉄分が付着した殻が硫化水素と反応して硫化鉄になるから、じゃなかったかな?
あちらの世界では寿命が延びるとか眉唾なお話もあったはず。
旨味成分が普通のゆで卵より多く含まれているってお話も聞いた事がある。
「あ、中は普通の白いゆで卵だ。
どれどれ、味は····」
もはや僕の出す物には何の危機感も抱かない従兄様は殻をむきむき、解説しながらぱくんと半分ほど口に含んでもぐもぐする。
それを見てジェン様もむきむき、ぱくん、もぐもぐ。
「ほんのり温泉の香りがして、普通のゆで卵とは少し違う美味しさを感じる。
美味しい」
「うん、これ、いいね!」
お行儀よくお口の中を無くしてから話すジェン様と、残りの半分もお口に入れて、もぐもぐしながら話す従兄様。
「良かった。
でも人によってはこの温泉の香りが苦手な方もいるかもしれないの。
鼻の利く獣人さんは特に分かれるお味かもしれない」
「ああ、確かに····あら、戻ってきたのね。
ちょうどいいわ。
護衛達に試してもらいたいのだけど、いいかしら?」
「もちろん!」
「貴方達、こちらへ」
ジェン様に呼ばれて鳥属、豹属、山羊属の3人が近寄ってくるけど、初めて目にする黒い玉子に心なしか緊張感がお顔に走っている。
「食べてみてちょうだい」
ジェン様に言われて3人はそっと手を伸ばし、殻を剥いてぱくん。
「俺は····すまねえ、苦手だ」
そう言ったのは微妙な面持ちになった豹属のおじさん。
お耳がピンとして、尻尾がどこか不機嫌そうに揺れている。
「俺は平気っす」
「俺も。
むしろこの風味、いい」
他の2人はほっとしたお顔になって、鳥属と彼の言葉に続いた山羊属の青年達が頷き合った。
「やっぱり好みが分かれるみたいね。
でも温泉玉子····使えそう」
ジェン様の目がギラリと光る。
あ、あれ?!
良く知る商会長さん達が時々してる目に見える?!
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