秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子

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353.笑いの∞ループ

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「ねえ、ここは庶民ばかりが行き来する往来だよ?
良い所の子だってわかるような服を着て、そんな事を大声で叫ぶなんて。
ここの人達に悪感情をもたせて、自分をリンチにでもさせたいの?」

 そう言って、ゆっくりと手を離して距離も取り直す。

「は?
え、女?
銀髪?」

 僕の忠告はあまり届いてないのかな?
性別や髪色なんかより大事な話をしているのに。

「せっかく変わろうとしている人達を君のつまらない言葉で犯罪なんて犯させるような事はしないでね。
エリュシウェル=ザルハード第3王子殿下。
ゼストゥウェル=ザルハード第1王子殿下やうちの国の王太子殿下、王子殿下に言いつけちゃうよ?」

 そう言うと途端におろおろと視線をさ迷わせた。

「お、お前、何故わかった?!」
「何が?」
「俺の身分だ!」

 え、そっち?!

 そもそもとっても偉そうにしてたし、身分を笠に着て庶民がどうとか言ってたよね?!

「大体、何故そこにこの国の王族や異母兄が出てくる?!
俺とあいつらは関係ない!」
「だってお目付け役でしょ?」

 あり得ない反論に思わず小首を傾げてしまう。

 何年か前の商業祭で彼が問題を起こしてからは、その3人が彼の監視役兼教育係になっていたはずだもの。

「そもそもお前が王族に言いつけるなどできるものか!」
「どうして?
やろうと思えばできるよ?
あ、でもそれだと兄様達が先に知っちゃうのか。
でも父様に知られるよりは····うーん、それも無理か」
「何をぶつぶつと····ん?
言いつけようとすれば兄に、知られる?
確かあの兄弟の義妹は····白銀、の····」

 途端に青ざめる俺様小チンピラ王子。

 バタバタ!

 うん?
けたたましい足音が2つ?

「エリュウ?!
貴様、離れろ!」
「アリー!」
「あ」

 音の方向を見ようとする間もなく、突然の怒鳴り声と共に誰かに肩を引かれるのと、焦る従兄様の声と、僕の間の抜けた声が重なった。

 瞬間····。

 パチィン。

 何かが弾けるような高音が響いて僕の肩を引いた橙色の髪の子分がバチャンと足湯に倒れこんだ。

「コッヘ?!」
「アリー!
平気?!」

 あーあ、バッチ来い電撃君(改)が発動しちゃった。

「お前!
自分が誰に手をかけたかわかっているのか!」

 俺様小チンピラ王子が僕に詰め寄ろうとするのを従兄様が間に入って止める。

「ふうー。
そもそも死んでませんし、の肩をいきなり掴んで引いたのは彼の方ですよね?
でもさっさと引き上げないと溺死しますよ」

 これで下町男子コーデも終わりかと思うと、特大のため息を吐いてしまう。

 僕の言葉に俺様小チンピラ王子が慌てて子分の体を起こせば、白目を向いて気絶していた。

 ふむ、お湯は大して飲んでないみたい。
呼吸もしてるし、もういいか。
そもそもレイヤード義兄様にお願いして威力は下げてもらってるから、これといった痕跡もない。

「はあ。
従兄様、もう戻りましょう。
彼はそのうち目を覚ましますから」

 従兄様の手を取って後ろに引っ張るも、どうしてか俺様小チンピラ王子が激高したせいで壁を継続されてしまう。

「ふざけるな!」
「ちょっ、待ちなさいって!」

 小チンピラの周りにそこそこの熱量がこもった火球が浮かぶ。

 慌てて静止する従兄様に、背中から抱きつく。

「へ?!
アリー?!」

 戸惑う従兄様はひとまず無視だ。

 従兄様は間違いなくこの俺様小チンピラ王子の正体に気づいてるから、攻撃せずに防戦一方になるのは目に見えている。

 対してあっちは攻撃する気しかない上に、言動や頭の残念さはともかく王族だ。
あの熱量だけ見てもそこそこ魔力量は高い。

 僕が抱きついていれば絶対ガード君(改)が攻撃から従兄様も一緒に守ってくれる。

 でもすぐに放たないところが厭らしいね。
脅しのつもりかな?

「そこのお前、土下座して謝罪しろ。
隣国の第3王子たる俺さ、俺の側近に手をかけたんだ。
平民なら即座に殺されても文句は言えん」

 いや、今俺様って言いかけたよね?!
脅してる最中に言い直すとか、ちょっと笑いがこみ上げそう。

「っ」

 従兄様の背中に顔を押しつけて肩を震わせながら堪える。

「アリー、大丈夫だよ」

 そんな僕に安心させるように背後からお腹に周した手を優しくぽんぽんする従兄様。
もしかして怖がってると勘違いしてる?

「ふん、今更恐れをなしたか。
お前、あのグレインビルの養女だな。
義理とはいえ兄達よりは可愛げがあるじゃないか。
顔を良く見せろ」

 そんな僕に更に見下す物言いを上乗せする俺様小チンピラ王子。

 そんな彼の発言の更なる小チンピラっぷりに笑いがこみ上げてぷるぷる堪える僕。

「アリー、大丈夫だから、ね?」

 従兄様の勘違いさんめ!
でも声を出したら笑っちゃう!

「ふん、俺様の偉大さがわかったか。
ほら、火球は消してやったぞ。
お前、顔だけは良いのだろう。
恐れずその妖精姫とか紫銀の至宝とか呼ばれる顔を良く見せてみろ」

 出た、俺様!
妖精姫!
紫銀の至宝!
優しげな声音を滲ませたのが気持ち悪い!

 カオスだ!
笑いの∞《無限》ループだ!

「ふっ、、、」

 笑いが口を突いて大放出しそうになった、その時だ。

「これはどういう状況?」

 突如、王子よりも後ろの方向から声が投げかけられた。


※※※※※※※※※
後書き
※※※※※※※※※
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本日は2話投稿します。
次は夕方くらいに。
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