365 / 491
8
364.臣下の礼と贈り物
しおりを挟む
『····ああ····いや、そうか、シェリの言う通りだ。 シェリ····可愛く賢い····俺の姫』
アレの声の気持ち悪さばかりに目がいって、すっかり忘れてた。
第3王子の姿は従兄様の背中にくっついてて見てなかったけど、彼の声は熱に浮かされたような、ぼうっとしたものじゃなかったかな?
『ああ····シェリは····優しいですね』 『ふっ····そうだな』
そうだ、《バッチ来い電撃君(改)》にやられて気絶しちゃったあの従者っぽい彼も同じように熱に浮かされたような声だった。
あれ、もしかして····。
「アリー?
黙ってしまって、どうしましたの?」
「具合が悪くなったのかしら?」
はっ、アジアンビューティーと艶女に心配されちゃってる?!
「いえ、平気でしてよ。
それよりそろそろ連れが気になりますので、お暇させていただいてよろしいかしら?」
「ああ、そうね。
とても有意義な時間は過ぎるのが本当に早いわ。
突然時間を取らせていただいて申し訳なかったわ」
「いいえ。
私も1度お会いしたいと思っておりましたもの。
この国でのあの2人の後ろ盾である私の人となりが姫様のお眼鏡にかない、正式に女官として身近に迎え入れるのでしたら、彼女達の事をこれからもよろしくお願い致しますわ」
「····気づいていたのね」
「遠く離れた他国での輿入れに慎重になのは当然の事ですもの。
特に連れて行く者に注意を払わなければ、時に命に関わります。
私の家族ではなく私個人とお会いになる理由があるとすれば、それくらいしかございませんわ。
ですが私はあくまでこの国の辺境を守るグレインビル侯爵家の人間だという事をお忘れなく」
「彼女達を使ってあなたに取り入る事も、逆にあなたが私に取り入る事もない、と?」
「はい。
私は彼女達をカイヤ会長に預ける際の後ろ盾。
それから後にジャガンダ国で養女となったのは私の思惑ではありませんし、彼女達の努力と意志によるものも大きいはず。
ただ、駒としてお使いになる時にはくれぐれも扱いにご注意なさって?
特に片方は私の愛してやまない母の血縁者ですもの」
「····叔母様にも同じ事を言われたわ。
あの2人をこの国に共に連れてきて使う時、本当に注意しないといけないのは最初の後ろ盾だと。
とても優秀な者達だもの。
それにどれほど努力してきたのかはよくわかるわ。
あなたの言葉を心にとどめて側に置くとするわ」
「ありがとうございます」
そう言って、立ち上がり、改めてこの国の臣下の礼を取る。
「遅くなりましたが、我が国の王太子、ギディアス殿下とジャガンダ国の一の姫、シズカ姫のご婚約に、アリアチェリーナ=グレインビルより歓迎と慶びの意をお伝え申し上げます。
今後の両国の発展を心より願っておりますわ」
「そなたの祝辞、しかと受け取りました。
面を上げて。
両国の架け橋となれるよう尽力しましょう」
目が合い、微笑みを交わす。
そうだ……。
「必要な時が来るかもしれませんから、こちらをお贈りしますわ」
この服にも仕込んでおいたマジックポケットから手の平より小さな箱を取り出す。
すっと前に出た熊属のお姉さんにそれを渡せば、お姉さんがまずは中を検分してから姫様に差し出した。
「これは?」
「最新の絶対ガード君(改)です」
「……どなたが名づけたの?」
「んふふ、私です!」
「そ、そう……そういえば、ネーミングセンスがどうとか言って……」
何だろう?
小声だからよく聞こえなかった。
「ア、アリー、効果をご説明して差し上げて?
ね?」
残念な何かのように僕を見る姫様に、どうしてだかレイチェル様が焦ったように促すぞ?
まあいいや。
「そちらは内からも外からも攻撃をガードしてくれるレイヤード兄様の作ってくれた魔具ですの!
うちの兄様はとても、とっても魔具作りのセンスがあって、この国で3本の指にはいるくらいに格好いいんです!
お顔は父様に似ていて、あ、バルトス兄様は母様似です。
もちろん3本のうちの2本は父様、バルトス兄様で、うちの国1番の眉目秀麗な3人……」
「アリー、魔具の、説明を、なさって?」
艶女が僕の説明のこれからという良い所を遮る。
「え、ここからがうちの家族の素晴らしい所……」
「ダメよ。
あなた丸1日でも家族の事なら話せるでしょう」
「全て語るなら最低1週間から必要ですよ?」
「魔具の、説明を、なさって?」
うーん、頑張って1時間以内に短縮しようと思ってたけど、艶女の凄んだお顔の迫力に気圧されちゃった。
「ふふふ、叔母、いえ、カイヤの言っていた通り、家族の事が大好きなのを全く隠さないのね」
「もちろん!」
「あら、とっても良い笑顔だわ。
でもフォンデアス令息達をそろそろ迎えに行くのでしょう?」
「あ、そういえば」
すっかり忘れてた。
アレの声の気持ち悪さばかりに目がいって、すっかり忘れてた。
第3王子の姿は従兄様の背中にくっついてて見てなかったけど、彼の声は熱に浮かされたような、ぼうっとしたものじゃなかったかな?
『ああ····シェリは····優しいですね』 『ふっ····そうだな』
そうだ、《バッチ来い電撃君(改)》にやられて気絶しちゃったあの従者っぽい彼も同じように熱に浮かされたような声だった。
あれ、もしかして····。
「アリー?
黙ってしまって、どうしましたの?」
「具合が悪くなったのかしら?」
はっ、アジアンビューティーと艶女に心配されちゃってる?!
「いえ、平気でしてよ。
それよりそろそろ連れが気になりますので、お暇させていただいてよろしいかしら?」
「ああ、そうね。
とても有意義な時間は過ぎるのが本当に早いわ。
突然時間を取らせていただいて申し訳なかったわ」
「いいえ。
私も1度お会いしたいと思っておりましたもの。
この国でのあの2人の後ろ盾である私の人となりが姫様のお眼鏡にかない、正式に女官として身近に迎え入れるのでしたら、彼女達の事をこれからもよろしくお願い致しますわ」
「····気づいていたのね」
「遠く離れた他国での輿入れに慎重になのは当然の事ですもの。
特に連れて行く者に注意を払わなければ、時に命に関わります。
私の家族ではなく私個人とお会いになる理由があるとすれば、それくらいしかございませんわ。
ですが私はあくまでこの国の辺境を守るグレインビル侯爵家の人間だという事をお忘れなく」
「彼女達を使ってあなたに取り入る事も、逆にあなたが私に取り入る事もない、と?」
「はい。
私は彼女達をカイヤ会長に預ける際の後ろ盾。
それから後にジャガンダ国で養女となったのは私の思惑ではありませんし、彼女達の努力と意志によるものも大きいはず。
ただ、駒としてお使いになる時にはくれぐれも扱いにご注意なさって?
特に片方は私の愛してやまない母の血縁者ですもの」
「····叔母様にも同じ事を言われたわ。
あの2人をこの国に共に連れてきて使う時、本当に注意しないといけないのは最初の後ろ盾だと。
とても優秀な者達だもの。
それにどれほど努力してきたのかはよくわかるわ。
あなたの言葉を心にとどめて側に置くとするわ」
「ありがとうございます」
そう言って、立ち上がり、改めてこの国の臣下の礼を取る。
「遅くなりましたが、我が国の王太子、ギディアス殿下とジャガンダ国の一の姫、シズカ姫のご婚約に、アリアチェリーナ=グレインビルより歓迎と慶びの意をお伝え申し上げます。
今後の両国の発展を心より願っておりますわ」
「そなたの祝辞、しかと受け取りました。
面を上げて。
両国の架け橋となれるよう尽力しましょう」
目が合い、微笑みを交わす。
そうだ……。
「必要な時が来るかもしれませんから、こちらをお贈りしますわ」
この服にも仕込んでおいたマジックポケットから手の平より小さな箱を取り出す。
すっと前に出た熊属のお姉さんにそれを渡せば、お姉さんがまずは中を検分してから姫様に差し出した。
「これは?」
「最新の絶対ガード君(改)です」
「……どなたが名づけたの?」
「んふふ、私です!」
「そ、そう……そういえば、ネーミングセンスがどうとか言って……」
何だろう?
小声だからよく聞こえなかった。
「ア、アリー、効果をご説明して差し上げて?
ね?」
残念な何かのように僕を見る姫様に、どうしてだかレイチェル様が焦ったように促すぞ?
まあいいや。
「そちらは内からも外からも攻撃をガードしてくれるレイヤード兄様の作ってくれた魔具ですの!
うちの兄様はとても、とっても魔具作りのセンスがあって、この国で3本の指にはいるくらいに格好いいんです!
お顔は父様に似ていて、あ、バルトス兄様は母様似です。
もちろん3本のうちの2本は父様、バルトス兄様で、うちの国1番の眉目秀麗な3人……」
「アリー、魔具の、説明を、なさって?」
艶女が僕の説明のこれからという良い所を遮る。
「え、ここからがうちの家族の素晴らしい所……」
「ダメよ。
あなた丸1日でも家族の事なら話せるでしょう」
「全て語るなら最低1週間から必要ですよ?」
「魔具の、説明を、なさって?」
うーん、頑張って1時間以内に短縮しようと思ってたけど、艶女の凄んだお顔の迫力に気圧されちゃった。
「ふふふ、叔母、いえ、カイヤの言っていた通り、家族の事が大好きなのを全く隠さないのね」
「もちろん!」
「あら、とっても良い笑顔だわ。
でもフォンデアス令息達をそろそろ迎えに行くのでしょう?」
「あ、そういえば」
すっかり忘れてた。
1
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
※他サイトでも掲載しています
※ちょいちょい手直ししていってます
2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~
季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」
建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。
しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった!
(激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!)
理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造!
隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。
辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。
さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。
「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」
冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!?
現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる!
爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる