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395.変化(へんげ)
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「それに何より男性向け、女性向け、それぞれのサロン部屋を作って情報交換の場にできる貴重な自宅以外の場ですもの。
アリーの目論見通りになりましてよ」
そこで1度言葉を切って艶女が僕に微笑む。
何だか子供のイタズラの成功を微笑ましく見守る大人な笑みだ。
解せない。
「社交会でもオープン前だというのに、どこからか噂を聞きつけて既に注目が集まっておりますの。
ですからプレオープンという形を取り、ある程度の事には目をつぶるという誓約書を先に交わしておけば可能だと思いますわ」
けれど僕は最後の言葉にやはりと苦笑する。
「手放しには、やはりまだ難しいようですわね?」
「ええ、さすがに手放しでは無理がございましてよ。
シュレジェンナ様や領民のやる気だけでは、どうにもならない事ですもの。
そもそも平民が短期間で貴族の満足できる接客マナーが身につくのなら、下位貴族の侍女や侍従は職につけなくなってしまうのではないかしら?」
「それは確かに、その通りですわね」
頷くしかないよね。
高位の貴族の邸ほど、生家は子爵位以上と注文をつける。
それはマナーや所作も含めて信用に足る者でないと、そもそも雇えないからだ。
使用人の些細な挨拶1つでもその家の沽券に関わるからね。
雇われる側もそこはちゃんと心得ている。
だから物心つくかどうかの幼少期から礼儀作法を教えられる貴族と、全く習わずに生きてきた平民とでは根本的な考え方からして大きく違っているんだ。
価値観の違いってかなり大きいよ。
全ての従業員に礼儀作法の教育は必須。
けれどこのリゾートホテルで貴族を相手に働けるのは、その中でも一握りになるんだろうね。
「まずは養成所に出資した方々からの紹介制度を作ってみてはいかがかしら。
トラブルが起こった場合、平民が貴族を相手にするようになりますが辺境の赤字経営からまだ抜け出せないファムント領だけでは後ろ盾として足りませんでしょう?」
「それはよろしいわね。
紹介制度を設ける事で少なからず後ろ盾の意味を持つでしょうし、今出資しているのはブルグル公爵家も含めて有力貴族ばかりですもの。
横の繋がりが貴族に対して盾になるのは間違いなくってよ」
つまるところ、あちらの世界の老舗料亭とかで時々ある、一見さんお断りってやつだね。
厳しいところだと紹介する常連さんと何回か以上来店してやっとお客さんとして受け入れるっていうお店もあるくらいだ。
なんて艶女と意見を交換しつつ、そろそろもう1度サウナで熱波を浴びたくなってきた。
チラリと見やれば、できる専属侍女が頷いてサウナ前の水分補給に弾泉水をグラスに注いでくれる。
アイコンタクトだけで意図が伝わるなんて、さすがニーア。
「ふふふ、聞いたわよ。
恐らく紹介制度を取り入れても暫くは予約でいっぱいになるでしょうし、それならオープンもできるわ!
その間にも平民向けのテントサウナで観光客は第1、第2のそれぞれの施設のある地域に貴族も平民も分散できるわね!
アリー!
ありがとう!」
おおっと、汗だくのスーパーモデルが····え、待って、突進してきた?!
「んきゃ!」
バシャーン!!
と、思ったらニーアが片手にグラスを持って、さっきまでジェン様のいた場所に立っている?!
そして盛大な水しぶきと共に水風呂に沈んだ····。
「ジェン様?!」
「シュレジェンナ様····」
僕は驚いて思わず立ち上がるけど、艶女はそのままの姿勢で呆れたお声で名を呟く。
え、待って、今どうなったのかわからないけど、空中回転して頭から入ったよ?!
ちょっと一瞬、あちらの世界のテレビのコントで見た、水中倒立して両足だけが水面から出た映像とリンクしてたよ?!
そのままズブズブ沈んでったけど····。
「走ると危のうございますよ?」
何事もなかったかのように声をかけるニーア。
「········ぶはっ。
そうね、転んでしまったわ」
暫く経っても出てこないから、そろそろやばいんじゃないかと近寄ろうとすれば、出てきた。
そして何事もなかったかのように水面から顔を出したスーパーモデルはそのまま普通にザバッと上がってきた。
····え、それでいいの?!
というか········。
「あら、どうし····」
「お耳と尻尾ー!!!!」
思わず叫んで一歩踏み出せば、体が宙に浮く。
「しまった!」
「へっ?!」
慌てふためく狐のお耳と尻尾姿のジェン様と、間抜けな声を出した僕を抱き上げて細腕に乗せたレイチェル様。
きっと魔法で身体強化したんだろうけど、今はそれよりも、目の前の····目の前の····。
「気を抜きましたわね、シュレジェンナ様」
「はぁ、面目ないわ。
黙っていてごめんなさいね、アリー」
「え、え、え、何で?!
お耳様とお尻尾様が、え、え、」
僕はあまりの可愛らしいお狐変化に目を白黒しつつ、敬語も全て頭から吹っ飛んだ。
モフモフだー!!!!
※※※※※※※※※
お知らせ
※※※※※※※※※
いつもご覧いただきありがとうございます。
お気に入り登録や感想はありがたく受け取っております。
そろそろこちらの章も終わりが近づいております。
次章の投稿までいつもより長めに充電期間をいただく予定にしております。
詳しくは8章の最終話でお伝えするかと思いますが、エタらせるつもりはありませんので、今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
アリーの目論見通りになりましてよ」
そこで1度言葉を切って艶女が僕に微笑む。
何だか子供のイタズラの成功を微笑ましく見守る大人な笑みだ。
解せない。
「社交会でもオープン前だというのに、どこからか噂を聞きつけて既に注目が集まっておりますの。
ですからプレオープンという形を取り、ある程度の事には目をつぶるという誓約書を先に交わしておけば可能だと思いますわ」
けれど僕は最後の言葉にやはりと苦笑する。
「手放しには、やはりまだ難しいようですわね?」
「ええ、さすがに手放しでは無理がございましてよ。
シュレジェンナ様や領民のやる気だけでは、どうにもならない事ですもの。
そもそも平民が短期間で貴族の満足できる接客マナーが身につくのなら、下位貴族の侍女や侍従は職につけなくなってしまうのではないかしら?」
「それは確かに、その通りですわね」
頷くしかないよね。
高位の貴族の邸ほど、生家は子爵位以上と注文をつける。
それはマナーや所作も含めて信用に足る者でないと、そもそも雇えないからだ。
使用人の些細な挨拶1つでもその家の沽券に関わるからね。
雇われる側もそこはちゃんと心得ている。
だから物心つくかどうかの幼少期から礼儀作法を教えられる貴族と、全く習わずに生きてきた平民とでは根本的な考え方からして大きく違っているんだ。
価値観の違いってかなり大きいよ。
全ての従業員に礼儀作法の教育は必須。
けれどこのリゾートホテルで貴族を相手に働けるのは、その中でも一握りになるんだろうね。
「まずは養成所に出資した方々からの紹介制度を作ってみてはいかがかしら。
トラブルが起こった場合、平民が貴族を相手にするようになりますが辺境の赤字経営からまだ抜け出せないファムント領だけでは後ろ盾として足りませんでしょう?」
「それはよろしいわね。
紹介制度を設ける事で少なからず後ろ盾の意味を持つでしょうし、今出資しているのはブルグル公爵家も含めて有力貴族ばかりですもの。
横の繋がりが貴族に対して盾になるのは間違いなくってよ」
つまるところ、あちらの世界の老舗料亭とかで時々ある、一見さんお断りってやつだね。
厳しいところだと紹介する常連さんと何回か以上来店してやっとお客さんとして受け入れるっていうお店もあるくらいだ。
なんて艶女と意見を交換しつつ、そろそろもう1度サウナで熱波を浴びたくなってきた。
チラリと見やれば、できる専属侍女が頷いてサウナ前の水分補給に弾泉水をグラスに注いでくれる。
アイコンタクトだけで意図が伝わるなんて、さすがニーア。
「ふふふ、聞いたわよ。
恐らく紹介制度を取り入れても暫くは予約でいっぱいになるでしょうし、それならオープンもできるわ!
その間にも平民向けのテントサウナで観光客は第1、第2のそれぞれの施設のある地域に貴族も平民も分散できるわね!
アリー!
ありがとう!」
おおっと、汗だくのスーパーモデルが····え、待って、突進してきた?!
「んきゃ!」
バシャーン!!
と、思ったらニーアが片手にグラスを持って、さっきまでジェン様のいた場所に立っている?!
そして盛大な水しぶきと共に水風呂に沈んだ····。
「ジェン様?!」
「シュレジェンナ様····」
僕は驚いて思わず立ち上がるけど、艶女はそのままの姿勢で呆れたお声で名を呟く。
え、待って、今どうなったのかわからないけど、空中回転して頭から入ったよ?!
ちょっと一瞬、あちらの世界のテレビのコントで見た、水中倒立して両足だけが水面から出た映像とリンクしてたよ?!
そのままズブズブ沈んでったけど····。
「走ると危のうございますよ?」
何事もなかったかのように声をかけるニーア。
「········ぶはっ。
そうね、転んでしまったわ」
暫く経っても出てこないから、そろそろやばいんじゃないかと近寄ろうとすれば、出てきた。
そして何事もなかったかのように水面から顔を出したスーパーモデルはそのまま普通にザバッと上がってきた。
····え、それでいいの?!
というか········。
「あら、どうし····」
「お耳と尻尾ー!!!!」
思わず叫んで一歩踏み出せば、体が宙に浮く。
「しまった!」
「へっ?!」
慌てふためく狐のお耳と尻尾姿のジェン様と、間抜けな声を出した僕を抱き上げて細腕に乗せたレイチェル様。
きっと魔法で身体強化したんだろうけど、今はそれよりも、目の前の····目の前の····。
「気を抜きましたわね、シュレジェンナ様」
「はぁ、面目ないわ。
黙っていてごめんなさいね、アリー」
「え、え、え、何で?!
お耳様とお尻尾様が、え、え、」
僕はあまりの可愛らしいお狐変化に目を白黒しつつ、敬語も全て頭から吹っ飛んだ。
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