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455.流石に言わない〜レイヤードside
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「ティキーは、どうなっ、た……」
「さあ?
君も見ての通り、人殺しって指さされて、倒れてしまってるからね」
まったく、いい迷惑だし、逆恨みだ。
そこでうつ伏せに転がってる狸は、何を思ったのか、人殺しと叫んで何かを僕に向かって投げつけようとした。
それが突如倒れて、多分激痛に苛まれてる感じ?
白目をむいて、泡を噴いてるけど、何が起こったのかはさっぱりわからない。
亡くなったばかりのコッヘル=ネルシスがこと切れた時から、視線を漂わせた後、天井をみていたから、聖女にしか見えない何かがあったのかもね。
まあ、このポンコツ狸が聖女っていうのは、信じられないけど。
「……何故、レイヤード殿はコッへに何も施さないのか、教えてくれないか……頼む。
理由があるとは、思う」
まだまともに使えない回復魔法を、王族故の魔力量と気力だけで発動させてたのには、少しだけ驚いた。
効率悪すぎの、著しく魔力の燃費が悪い魔法として発動して、すぐに魔力が枯渇してその症状が出ても、諦めなかった。
それくらい、あの少年への想いは強かったんだろうね。
恋だ愛だと浮ついて、物事の本質も自分の聖女としての姿勢もポンコツだった、そこの狸とは大違いだ。
「俺が、コッへが、そなたの妹に、何をした、のかも……だが、それなら俺に回復魔法は使うはずがない。
理由があるなら、教えて欲しい」
「ふむ……少しはマシになったね。
アリーのお陰かな」
僕は今、僕の可愛いアリーに使ったフェネックっていう動物の、耳と尻尾を生やして、女性に見えるよう魔具に細工している。
でもアリーには、見せない。
見せたら絶対触りたがるし、僕はやっぱりアリーがこの世で一番可愛いから、許して触らせてしまうと思う。
それってお仕置きにならないでしょう?
後で知って、悔しがればいいんだ。
「……ああ……見た目は優しげで可愛らしいのに反して、過激だった」
「え、君死にたいの?」
「へっ、殺気?!
何故?!
貶してな、ゲホッ!
褒めている、ゲホッ!」
慌てて取り繕うけど、殺気を当て続ければ、むせ始めた。
もしかして、こいつ、過呼吸になってない?
「ただ、今振り返れば、ずっと……見捨てられはしていなかったのだ、と、思う。
俺は……まだ自分で、何も、気づけない。
先ほどのティキーは……明らかに、そなたを攻撃しようと何かを投げようとした、ように、見、え……」
「落ち着きなよ。
君、やっぱり過呼吸を起こしてるね。
そのまま、それを口に当てて、なるべく吐く方に意識するんだ。
これ以上の面倒は見たくないからね」
以前に過呼吸を起こして、人知れず苦しみながら堪えていたアリーを思い出す。
そう言って、腰の収納魔鞄から皮の袋を取り出す。
中に入れていた魔石や小物何かを鞄に収納して、床に這いずった格好のままで話していた体を起こして壁に背を預けさせてから、皮袋を渡した。
もちろん背中トントンもしないし、おまじないも言わない。
「コッヘル=ネルシスには、その狸と来る前に
会ったんだ。
彼の中には、何かが入りこんでた。
ああ、言っておくけど、僕にそれが何かはわからないよ。
ただ回復魔法や治癒魔法をある程度やりこんで、修練した人間になら、彼の中の何かに阻害されているのだけは、絶対に感じ取れたはずだ」
つまり、恐らくそれがわかっていなかった狸は、聖女として本気で誰かに治癒を施した事がないという事。
あるいは、かなりの未熟者。
「だからそっち系の魔法をかけても、無駄に終わる。
かといってその何かがわからないから、それを取り除く事も、ましてやその方法も、わからなかった。
僕は今、潜伏中の身だからね。
長く調べてる時間は、そもそもない。
だけど仮にそれを優先したとしても、彼の残った体力的には、長くもたないと判断した。
無理にどうにかしようとしても、彼の苦しむ時間をいたずらに長引かせるだけだ。
それは君達が少し前に実証したから、わかるね?」
僕の言葉に、王子の顔がくしゃりと歪んで、大粒の涙が溢れ始めた。
皮袋を口に当ててるから、絵面がかなりいただけないな、とは、いくら僕でも流石に言わない。
「さあ?
君も見ての通り、人殺しって指さされて、倒れてしまってるからね」
まったく、いい迷惑だし、逆恨みだ。
そこでうつ伏せに転がってる狸は、何を思ったのか、人殺しと叫んで何かを僕に向かって投げつけようとした。
それが突如倒れて、多分激痛に苛まれてる感じ?
白目をむいて、泡を噴いてるけど、何が起こったのかはさっぱりわからない。
亡くなったばかりのコッヘル=ネルシスがこと切れた時から、視線を漂わせた後、天井をみていたから、聖女にしか見えない何かがあったのかもね。
まあ、このポンコツ狸が聖女っていうのは、信じられないけど。
「……何故、レイヤード殿はコッへに何も施さないのか、教えてくれないか……頼む。
理由があるとは、思う」
まだまともに使えない回復魔法を、王族故の魔力量と気力だけで発動させてたのには、少しだけ驚いた。
効率悪すぎの、著しく魔力の燃費が悪い魔法として発動して、すぐに魔力が枯渇してその症状が出ても、諦めなかった。
それくらい、あの少年への想いは強かったんだろうね。
恋だ愛だと浮ついて、物事の本質も自分の聖女としての姿勢もポンコツだった、そこの狸とは大違いだ。
「俺が、コッへが、そなたの妹に、何をした、のかも……だが、それなら俺に回復魔法は使うはずがない。
理由があるなら、教えて欲しい」
「ふむ……少しはマシになったね。
アリーのお陰かな」
僕は今、僕の可愛いアリーに使ったフェネックっていう動物の、耳と尻尾を生やして、女性に見えるよう魔具に細工している。
でもアリーには、見せない。
見せたら絶対触りたがるし、僕はやっぱりアリーがこの世で一番可愛いから、許して触らせてしまうと思う。
それってお仕置きにならないでしょう?
後で知って、悔しがればいいんだ。
「……ああ……見た目は優しげで可愛らしいのに反して、過激だった」
「え、君死にたいの?」
「へっ、殺気?!
何故?!
貶してな、ゲホッ!
褒めている、ゲホッ!」
慌てて取り繕うけど、殺気を当て続ければ、むせ始めた。
もしかして、こいつ、過呼吸になってない?
「ただ、今振り返れば、ずっと……見捨てられはしていなかったのだ、と、思う。
俺は……まだ自分で、何も、気づけない。
先ほどのティキーは……明らかに、そなたを攻撃しようと何かを投げようとした、ように、見、え……」
「落ち着きなよ。
君、やっぱり過呼吸を起こしてるね。
そのまま、それを口に当てて、なるべく吐く方に意識するんだ。
これ以上の面倒は見たくないからね」
以前に過呼吸を起こして、人知れず苦しみながら堪えていたアリーを思い出す。
そう言って、腰の収納魔鞄から皮の袋を取り出す。
中に入れていた魔石や小物何かを鞄に収納して、床に這いずった格好のままで話していた体を起こして壁に背を預けさせてから、皮袋を渡した。
もちろん背中トントンもしないし、おまじないも言わない。
「コッヘル=ネルシスには、その狸と来る前に
会ったんだ。
彼の中には、何かが入りこんでた。
ああ、言っておくけど、僕にそれが何かはわからないよ。
ただ回復魔法や治癒魔法をある程度やりこんで、修練した人間になら、彼の中の何かに阻害されているのだけは、絶対に感じ取れたはずだ」
つまり、恐らくそれがわかっていなかった狸は、聖女として本気で誰かに治癒を施した事がないという事。
あるいは、かなりの未熟者。
「だからそっち系の魔法をかけても、無駄に終わる。
かといってその何かがわからないから、それを取り除く事も、ましてやその方法も、わからなかった。
僕は今、潜伏中の身だからね。
長く調べてる時間は、そもそもない。
だけど仮にそれを優先したとしても、彼の残った体力的には、長くもたないと判断した。
無理にどうにかしようとしても、彼の苦しむ時間をいたずらに長引かせるだけだ。
それは君達が少し前に実証したから、わかるね?」
僕の言葉に、王子の顔がくしゃりと歪んで、大粒の涙が溢れ始めた。
皮袋を口に当ててるから、絵面がかなりいただけないな、とは、いくら僕でも流石に言わない。
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