489 / 491
9
488.はぐれ魔族〜ジルコミアside
しおりを挟む
「自分の手で殺す為に決まっているじゃない」
王女はそう言ってクスクスと笑ってから続けた。
「どのみち100年後の結界の修復には、間に合うように生まれ変わるもの」
「だがこいつらは、まだ生きているだろう。
人属じゃなかったのか?」
押さえつけるマーガレットからは、ビクッと震えが伝わってくる。
恐らく隣の教皇もそうだろう。
しかし王女は途端に落胆した様子に変わった。
「そうね。
その2人はゲドグルが上手く誘導か、もしくはレプリカの性能が良かったお陰で、まずは100年生き延びた。
もちろん次の100年を生き延びたのは、私が王配に預けておいた魔具のお陰だけれど、殺さずに生かした理由は次の転生で、私の状況が変わったせいよ。
よりによって私は……魔族なんかに転生してしまったのだもの。
その上私は今やはぐれ魔族となってしまった」
「魔族だと?
はぐれ魔族とは何だ?」
一気に不穏さが増す。
魔族に、はぐれ魔族……初めて聞く言葉ばっかりだ。
王女は何かを思い出すように、不快な表情をした後、ため息を1つ吐いてから語る。
「そうねえ……まずは200年前。
娘の精霊眼を抉った時、邪魔が入ったと言ったわよね、ベルヌ」
「ここでその邪魔した奴に戻るのか。
それで?」
「邪魔をしたのは魔族の王。
魔王よ。
ああ、面倒だから一々反応しなくて良いわ。
それに魔王の事は長く話したくないもの。
本当に、不快でしかない」
ベルヌが口を開こうとしたが、王女が制止してから続ける。
「魔王は私が抉った娘の眼を奪ってから、私が魔族として転生するよう私の魂に干渉していたの。
そのせいで50年もしないうちに、魔界で魔族として転生してしまった私は、辛酸を舐める事になったわ」
王女の顔には憎しみの色が宿る。
「人の身と比べれば、魔族として転生した私はそれなりに大きな力を得ていた。
けれど魔族の中では下等種でしかなかった。
そのせいで周りの魔族から奴隷のように扱われる日々を送ったわ。
女王だった時に1番忌避していた、本当に忌々しい奴隷のような日々だった。
王配との繋がりも種族が違って転生サイクルが狂ってしまったからか、前回転生した時は確かに感じた繋がりが、感じられなくなっていたの。
何より魔族は魔界に縛られ、人界には基本的に入れない」
どういう意味だ?
ベルヌも眉を顰めた。
「なぜなら魔王は、代々の孤王と協定を結ぶ決まりがあっとみたい。
古王であった私も知らなかったのだけれど、協定は2つの種族が魔界と人界をどのように行き来するかを決める事らしいわ。
当時継続されていた協定は、娘の1つ前の代の孤王と魔王が結んだものなの。
絶対的不可侵の協定だった。
とは言っても2つの世界の間には、高次元の歪みが常にある。
魔族の強い肉体と、高い魔力。
そのどちらも無ければ渡れない。
人族が魔界へ入る事は、そもそもできなかったでしょうね。
魔王は絶大な強さを誇る存在だし、魔王に絶対服従する12の幹部魔族以外の、私を含めた大多数の魔族もまた、歪みが偶発的に和らいだ瞬間を狙って運任せに入る以外、人界に渡る方法はなかった。
魔族は人族と違って愛や忠義よりも、純粋な強さこそが正義になる。
特に幹部と呼ばれる、人族からすれば異次元の強さを誇る魔族達は、魔王を盲目的に惚れこんでいたの。
だからこそ1つ前の孤王は魔王と、そういう協定を結ぶ事で人族を守り、世界のバランスを調整していたのでしょうね。
そうでなければ人族は、魔族に蹂躙されて人界も魔族によって魔界にされてしまうから」
何だ、それ。
本当の事なのか?
にわかには信じられない。
だが王女の表情から、真実だと直感してしまう。
「魔族は元来、人族とは桁違いの力を持っているわ。
下等種扱いされた私ですら、女王の時の力よりいくらか劣る程度。
聖女だった時よりは、ずっと大きな力を持っていた」
「魔族は人族と同じように魔法を使うのか?」
「もちろん魔族の使う魔法は、人族の使う魔法とは質が異なる。
けれど結局のところ、よく似た発動をすると認識しておけば良いわ。
威力はケタ違いだけれど。
だからこそ、歪みが和らいだところに偶然出くわしたとはいえ、私でも人界へ渡れたのでしょうね」
言葉が途切れた王女は、どこか複雑そうな顔つきをした。
王女はそう言ってクスクスと笑ってから続けた。
「どのみち100年後の結界の修復には、間に合うように生まれ変わるもの」
「だがこいつらは、まだ生きているだろう。
人属じゃなかったのか?」
押さえつけるマーガレットからは、ビクッと震えが伝わってくる。
恐らく隣の教皇もそうだろう。
しかし王女は途端に落胆した様子に変わった。
「そうね。
その2人はゲドグルが上手く誘導か、もしくはレプリカの性能が良かったお陰で、まずは100年生き延びた。
もちろん次の100年を生き延びたのは、私が王配に預けておいた魔具のお陰だけれど、殺さずに生かした理由は次の転生で、私の状況が変わったせいよ。
よりによって私は……魔族なんかに転生してしまったのだもの。
その上私は今やはぐれ魔族となってしまった」
「魔族だと?
はぐれ魔族とは何だ?」
一気に不穏さが増す。
魔族に、はぐれ魔族……初めて聞く言葉ばっかりだ。
王女は何かを思い出すように、不快な表情をした後、ため息を1つ吐いてから語る。
「そうねえ……まずは200年前。
娘の精霊眼を抉った時、邪魔が入ったと言ったわよね、ベルヌ」
「ここでその邪魔した奴に戻るのか。
それで?」
「邪魔をしたのは魔族の王。
魔王よ。
ああ、面倒だから一々反応しなくて良いわ。
それに魔王の事は長く話したくないもの。
本当に、不快でしかない」
ベルヌが口を開こうとしたが、王女が制止してから続ける。
「魔王は私が抉った娘の眼を奪ってから、私が魔族として転生するよう私の魂に干渉していたの。
そのせいで50年もしないうちに、魔界で魔族として転生してしまった私は、辛酸を舐める事になったわ」
王女の顔には憎しみの色が宿る。
「人の身と比べれば、魔族として転生した私はそれなりに大きな力を得ていた。
けれど魔族の中では下等種でしかなかった。
そのせいで周りの魔族から奴隷のように扱われる日々を送ったわ。
女王だった時に1番忌避していた、本当に忌々しい奴隷のような日々だった。
王配との繋がりも種族が違って転生サイクルが狂ってしまったからか、前回転生した時は確かに感じた繋がりが、感じられなくなっていたの。
何より魔族は魔界に縛られ、人界には基本的に入れない」
どういう意味だ?
ベルヌも眉を顰めた。
「なぜなら魔王は、代々の孤王と協定を結ぶ決まりがあっとみたい。
古王であった私も知らなかったのだけれど、協定は2つの種族が魔界と人界をどのように行き来するかを決める事らしいわ。
当時継続されていた協定は、娘の1つ前の代の孤王と魔王が結んだものなの。
絶対的不可侵の協定だった。
とは言っても2つの世界の間には、高次元の歪みが常にある。
魔族の強い肉体と、高い魔力。
そのどちらも無ければ渡れない。
人族が魔界へ入る事は、そもそもできなかったでしょうね。
魔王は絶大な強さを誇る存在だし、魔王に絶対服従する12の幹部魔族以外の、私を含めた大多数の魔族もまた、歪みが偶発的に和らいだ瞬間を狙って運任せに入る以外、人界に渡る方法はなかった。
魔族は人族と違って愛や忠義よりも、純粋な強さこそが正義になる。
特に幹部と呼ばれる、人族からすれば異次元の強さを誇る魔族達は、魔王を盲目的に惚れこんでいたの。
だからこそ1つ前の孤王は魔王と、そういう協定を結ぶ事で人族を守り、世界のバランスを調整していたのでしょうね。
そうでなければ人族は、魔族に蹂躙されて人界も魔族によって魔界にされてしまうから」
何だ、それ。
本当の事なのか?
にわかには信じられない。
だが王女の表情から、真実だと直感してしまう。
「魔族は元来、人族とは桁違いの力を持っているわ。
下等種扱いされた私ですら、女王の時の力よりいくらか劣る程度。
聖女だった時よりは、ずっと大きな力を持っていた」
「魔族は人族と同じように魔法を使うのか?」
「もちろん魔族の使う魔法は、人族の使う魔法とは質が異なる。
けれど結局のところ、よく似た発動をすると認識しておけば良いわ。
威力はケタ違いだけれど。
だからこそ、歪みが和らいだところに偶然出くわしたとはいえ、私でも人界へ渡れたのでしょうね」
言葉が途切れた王女は、どこか複雑そうな顔つきをした。
0
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
※他サイトでも掲載しています
※ちょいちょい手直ししていってます
2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる