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2.
7.小屋に破落戸に紛失
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「1つ。
仮に使用人部屋と比較しても余裕のお粗末が過ぎる小屋を私に割り当てた事。
2つ。
そちらでご用意下さるとされた女官……いえ、あれは……宮女でしたか?
女官とお聞きしておりましたが。
しかし分をわきまえぬ低俗ぶりは、寧ろ下女。
いえ、下女の方がまだ分をわきまえておりますから、それも彼女達に失礼でございますね」
握った指をピンと立てながら後ろ手に説明して差し上げます。
立てる指は人差指、中指、親指、薬指、小指の順。
この国も含めた周辺国の主流ですね。
ついでにこの後宮へ足を踏み入れてから私の対応をしたあの者の身分を、私の主観によってどんどんと降格してまいります。
「そう、あれは……破落戸。
そう呼ぶに相応しき者でございました。
故に交代を言い渡しましたが、果たして明日はどの立場に相応しい者が姿を現すのか。
もしくは現れないかもしれませんね。
一体この後宮の主たるお方達は、どのような教育をなさっているのでしょう?」
最後に後宮の責任の所在をちらつかせましょう。
息を飲む音が後ろから聞こえてまいりますが、構わず続けます。
「3つ。
これが1番、目に見えたそちら側の非では?
こちらで用意して先に送っておいた調度品や衣服の紛失……ふふふ、紛失として今は捉えて差し上げている事に感謝なさって下さいまし?
まだ非であって罪とはしておりませんから」
ゆっくりと腕を下ろしていれば、明らかに絶句なさっておりませんか?
後頭部に目がないのが悔やまれますね。
「それらを全て返金、弁済下さるならば、丞相への義理は果たしたものとしてすぐにここより出てまいります」
「証拠はあるんだろうな?」
……阿呆なのでしょうか。
仮にもこの方は帝国の皇帝。
証拠も無くこのように発言をするはずがありません。
「直接的な損失につきましては既に証拠は押さえて手元にまとめてございます。
送り状、目録、預かり状。
それらすべてを保管しておりますから。
明日、こちらの皇城が受け取ったという受け取り状の控えが手元へまいります。
全てが揃い次第、丞相に提出致します」
明日と強調した意味をおわかりになられますかしら?
「ぐっ……そうか。
ならば話はそれらを確認してからだ。
だが私と直接話せるなどと思うなよ」
「もちろんでございます。
これでも些か不快に感じておりますもの。
お互いこれ以上の無意味な会話でそのような感情を煽る必要もございません」
背後の威圧感が増しましたが、私の嫌味に気づかれたようで何よりです。
不愉快なのはお互い様です。
「入宮に先がけ、丞相とは契約を結んでおいてようございました」
「契約?」
何かを警戒したお声ですわね。
しかしこちらも申し上げるべき事はお伝え致しましたもの。
もう用はございません。
「はい。
それでは御前、失礼致します」
「おい、待て。
詳しく申せ」
再びため息が漏れ出そう。
私にではなく、後から尋ねるであろう丞相にでもお聞きになればよろしいのに。
くるりと振り返り、改めて目を合わせて対峙すれば、流石に動揺した素振りは隠したようです。
「では、僭越ながら申し上げます。
皇帝陛下の醜聞たるお噂は辺境の地である我が領にも広く轟いてございます。
こと後宮の内情に関わる噂は、あまりに酷いもの。
ですので貴妃のお話をお受けする際、先んじて契約を交わしております。
夜の訪れも含めて何もなく、ただこの後宮という場で私が生家と同等の待遇で日々を恙なく過ごすだけならばこの帝国、ひいては陛下の益となりましょう。
もちろん先ほども申し上げました通り、十二分な支度金は既に納めております。
私がそうしても50年は問題ない程度の額でしょう。
私の普段の生活は全くもって質素ですから」
言外に、夜伽は私の側も御免被るとお伝えしておきます。
怪訝なお顔をされたので、脳筋そうな頭の中にも残ったのではないでしょうか。
「ですがもし、そうでない場合。
無いとはございますがこれだけの物を納めたにも関わらず、天下の後宮でありながら伯の爵位を賜った生家で質素に過ごした日々にも劣る生活等を強いられる場合には……ねえ。
もちろん私の命がこの国で他者により消された場合においての手も打っております。
表向き、裏向きのどちらにおいても」
「どういう意味だ」
あら、随分な覇気を纏ってどうされたのでしょう?
※※後書き※※
本日複数話投稿します。
そして下の長編作品のまとめも本日から暫く投稿しますので、よろしければそちらもご覧下さいm(_ _)m
【秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活~魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話】
仮に使用人部屋と比較しても余裕のお粗末が過ぎる小屋を私に割り当てた事。
2つ。
そちらでご用意下さるとされた女官……いえ、あれは……宮女でしたか?
女官とお聞きしておりましたが。
しかし分をわきまえぬ低俗ぶりは、寧ろ下女。
いえ、下女の方がまだ分をわきまえておりますから、それも彼女達に失礼でございますね」
握った指をピンと立てながら後ろ手に説明して差し上げます。
立てる指は人差指、中指、親指、薬指、小指の順。
この国も含めた周辺国の主流ですね。
ついでにこの後宮へ足を踏み入れてから私の対応をしたあの者の身分を、私の主観によってどんどんと降格してまいります。
「そう、あれは……破落戸。
そう呼ぶに相応しき者でございました。
故に交代を言い渡しましたが、果たして明日はどの立場に相応しい者が姿を現すのか。
もしくは現れないかもしれませんね。
一体この後宮の主たるお方達は、どのような教育をなさっているのでしょう?」
最後に後宮の責任の所在をちらつかせましょう。
息を飲む音が後ろから聞こえてまいりますが、構わず続けます。
「3つ。
これが1番、目に見えたそちら側の非では?
こちらで用意して先に送っておいた調度品や衣服の紛失……ふふふ、紛失として今は捉えて差し上げている事に感謝なさって下さいまし?
まだ非であって罪とはしておりませんから」
ゆっくりと腕を下ろしていれば、明らかに絶句なさっておりませんか?
後頭部に目がないのが悔やまれますね。
「それらを全て返金、弁済下さるならば、丞相への義理は果たしたものとしてすぐにここより出てまいります」
「証拠はあるんだろうな?」
……阿呆なのでしょうか。
仮にもこの方は帝国の皇帝。
証拠も無くこのように発言をするはずがありません。
「直接的な損失につきましては既に証拠は押さえて手元にまとめてございます。
送り状、目録、預かり状。
それらすべてを保管しておりますから。
明日、こちらの皇城が受け取ったという受け取り状の控えが手元へまいります。
全てが揃い次第、丞相に提出致します」
明日と強調した意味をおわかりになられますかしら?
「ぐっ……そうか。
ならば話はそれらを確認してからだ。
だが私と直接話せるなどと思うなよ」
「もちろんでございます。
これでも些か不快に感じておりますもの。
お互いこれ以上の無意味な会話でそのような感情を煽る必要もございません」
背後の威圧感が増しましたが、私の嫌味に気づかれたようで何よりです。
不愉快なのはお互い様です。
「入宮に先がけ、丞相とは契約を結んでおいてようございました」
「契約?」
何かを警戒したお声ですわね。
しかしこちらも申し上げるべき事はお伝え致しましたもの。
もう用はございません。
「はい。
それでは御前、失礼致します」
「おい、待て。
詳しく申せ」
再びため息が漏れ出そう。
私にではなく、後から尋ねるであろう丞相にでもお聞きになればよろしいのに。
くるりと振り返り、改めて目を合わせて対峙すれば、流石に動揺した素振りは隠したようです。
「では、僭越ながら申し上げます。
皇帝陛下の醜聞たるお噂は辺境の地である我が領にも広く轟いてございます。
こと後宮の内情に関わる噂は、あまりに酷いもの。
ですので貴妃のお話をお受けする際、先んじて契約を交わしております。
夜の訪れも含めて何もなく、ただこの後宮という場で私が生家と同等の待遇で日々を恙なく過ごすだけならばこの帝国、ひいては陛下の益となりましょう。
もちろん先ほども申し上げました通り、十二分な支度金は既に納めております。
私がそうしても50年は問題ない程度の額でしょう。
私の普段の生活は全くもって質素ですから」
言外に、夜伽は私の側も御免被るとお伝えしておきます。
怪訝なお顔をされたので、脳筋そうな頭の中にも残ったのではないでしょうか。
「ですがもし、そうでない場合。
無いとはございますがこれだけの物を納めたにも関わらず、天下の後宮でありながら伯の爵位を賜った生家で質素に過ごした日々にも劣る生活等を強いられる場合には……ねえ。
もちろん私の命がこの国で他者により消された場合においての手も打っております。
表向き、裏向きのどちらにおいても」
「どういう意味だ」
あら、随分な覇気を纏ってどうされたのでしょう?
※※後書き※※
本日複数話投稿します。
そして下の長編作品のまとめも本日から暫く投稿しますので、よろしければそちらもご覧下さいm(_ _)m
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