1 / 5
赤札
しおりを挟む
俗に言う赤札
それがついに私の家にも来た。
「あなた」
「なんだ?」
「これ、、、」
「あぁ。」
朝に新聞を眺めていたあなた。朝のいつもの習慣のはずだった。
覚悟なら少しは出来ていたはずだった。次々と職場から元気な男の人は連れていかれていた。少し体の悪いこの人はまだ長く居た方だと思う。
それでもやっぱり来ないとでも思っていたのかもしれない。
「わしの番か」
「えぇ」
内心すごく動揺していた。朝ごはんの仕上げで手を切るぐらいには。
「何日後なんですか?」
「1週間後」
「今日は休まれますか?」
「いや、行ってくる」
あなたは、だろうと、思いました。
「行ってらっしゃい。」
少し、怖かった。今日にでも行ってくると言われそうで。私に気にもかけない姿。そういう所があなたらしい
恋愛結婚なんかじゃない。紹介された時上手く過ごせるのかなと気難しそうな方だと思った。
それでも長年傍にいると情というものは沸いてくるもので、
「あら、やっと来たのね!良かったじゃない」
「えぇ、これでお国のため、働くことが出来ます」
「あなたの家は子供もいませんものね」
「えぇ、あはは」
時間の流れというものは永く感じたい時ほど短く感じるもので、、、
「それでは行ってくる」
「はい。行ってらっしゃい」
堅物なあなたと内気な私の最後の言葉はこれで終わった。大切なものを詰め込んだバックを渡そうとする。
「あっちに着いたら電報を送る」
手が震えたのにあなたはきっと気づきませんように。
あなたを乗せた車が空に吸い込まれるまでずっとずっと手を振り続けた。
「天皇様万歳」
「天皇様万歳」
「天皇様万歳」
「天皇様万歳」
頭に痛いほどその言葉と共に刻みつけられたその風景は今もずっと私と共にある
それがついに私の家にも来た。
「あなた」
「なんだ?」
「これ、、、」
「あぁ。」
朝に新聞を眺めていたあなた。朝のいつもの習慣のはずだった。
覚悟なら少しは出来ていたはずだった。次々と職場から元気な男の人は連れていかれていた。少し体の悪いこの人はまだ長く居た方だと思う。
それでもやっぱり来ないとでも思っていたのかもしれない。
「わしの番か」
「えぇ」
内心すごく動揺していた。朝ごはんの仕上げで手を切るぐらいには。
「何日後なんですか?」
「1週間後」
「今日は休まれますか?」
「いや、行ってくる」
あなたは、だろうと、思いました。
「行ってらっしゃい。」
少し、怖かった。今日にでも行ってくると言われそうで。私に気にもかけない姿。そういう所があなたらしい
恋愛結婚なんかじゃない。紹介された時上手く過ごせるのかなと気難しそうな方だと思った。
それでも長年傍にいると情というものは沸いてくるもので、
「あら、やっと来たのね!良かったじゃない」
「えぇ、これでお国のため、働くことが出来ます」
「あなたの家は子供もいませんものね」
「えぇ、あはは」
時間の流れというものは永く感じたい時ほど短く感じるもので、、、
「それでは行ってくる」
「はい。行ってらっしゃい」
堅物なあなたと内気な私の最後の言葉はこれで終わった。大切なものを詰め込んだバックを渡そうとする。
「あっちに着いたら電報を送る」
手が震えたのにあなたはきっと気づきませんように。
あなたを乗せた車が空に吸い込まれるまでずっとずっと手を振り続けた。
「天皇様万歳」
「天皇様万歳」
「天皇様万歳」
「天皇様万歳」
頭に痛いほどその言葉と共に刻みつけられたその風景は今もずっと私と共にある
0
あなたにおすすめの小説
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
あなたの隣は私ではないけれど、それでも好きでいてもいいですか、レオナルド様
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢エリアーナには、三年間ずっと抱えてきた秘密がある。
婚約者であるヴァルフォード公爵・レオナルドへの、誰にも言えない恋心だ。
しかし彼の隣にいるのは、いつも幼馴染の伯爵令嬢・ソフィア。
儚げな笑顔と上目遣いで男性を虜にするあざとい彼女に、レオナルドも例外ではないようで——
「レオ、私のこと嫌いにならないでね?」
「……そんなことにはならない」
また始まった二人の世界。
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる