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2 揺れる心
2ー6 酒場にて
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2ー6 酒場にて
次の日、僕は、フェイルに森でマッドモウを狩ってきてくれるように頼んだ。
マッドモウは、牛とよく似た魔物だ。
たいていの冒険者は、数人がかりで倒すものだが、フェイルなら1人でも大丈夫だろう。
フェイルが森に出掛けた隙に僕は、町へと転移した。
町には、騎士団が駐留しているようだ。
騎士団の宿泊している宿屋は、すぐにわかった。
この町には、宿屋は2つしかない。
ちょっとましな宿屋か、ましな宿屋だ。
騎士団の連中は、ましな宿屋の方に泊まっているようだった。
騎士団の様子を伺うために宿屋の1階にある酒場に向かうとそこには、明らかに騎士とわかる体格のいい男たちが屯していた。
昼間とは思えない薄暗い店内を奥へと入っていくと騎士達がじろじろとこちらを見ているのがわかった。
僕は、少し男たちから離れたテーブルにつくと果実水と軽食を頼む。
店の店員の男の子がすぐに果実水とパンに焼いた肉に甘辛いソースをかけたものを挟んだサンドイッチを持ってきた。
なかなかうまい!
もぐもぐしながら騎士たちの話に耳をそばだてる。
騎士達は、やはり勇者を探しに来たらしい。
騎士たちを率いている近衛騎士団の副騎士団長は、今、この辺りを治めている領主のもとに顔を出しており、戻り次第、魔王城へと出立する予定のようだ。
勇者が死んでからもう2年が過ぎている。
なぜ、今さら勇者を探しに来たのか?
騎士達の話を聞きながら考えていると突然、肩に触れられた。
「君、この町の人?」
話しかけてきたのは、どうやら下っぱの騎士のようだった。
ベテランの上位騎士なら勇者の愛人と呼ばれていた僕のことを知っているかもしれない。
僕は、被っていたフードを引き下ろして顔を隠す。
「近くの町の者ですが・・」
「ちょっと遊んでくれないか?もちろん、悪いようにはしないから」
いやいや!
副騎士団長が戻ったら出発するんじゃないんですか?
僕が身を固くしているとカウンターにもたれてエールを飲んでいた上位騎士らしき騎士が声を荒げる。
「止めとけ!グィル。いくらお前がはやくても無理だぞ!もう、副騎士団長が戻ってくる!」
「ひどいな、ランターさん。俺は、そんなはやくないし!」
ランターと呼ばれた上位騎士が笑い声をあげると、他の騎士たちもどっと笑った。
グィルという若い騎士が舌打ちして離れていく。
また、騎士達がざわめき出し僕は、ホッと息をついた。
「すまないな、うちの奴が迷惑をかけて」
見上げるとランターと呼ばれた上位騎士が立っていた。
次の日、僕は、フェイルに森でマッドモウを狩ってきてくれるように頼んだ。
マッドモウは、牛とよく似た魔物だ。
たいていの冒険者は、数人がかりで倒すものだが、フェイルなら1人でも大丈夫だろう。
フェイルが森に出掛けた隙に僕は、町へと転移した。
町には、騎士団が駐留しているようだ。
騎士団の宿泊している宿屋は、すぐにわかった。
この町には、宿屋は2つしかない。
ちょっとましな宿屋か、ましな宿屋だ。
騎士団の連中は、ましな宿屋の方に泊まっているようだった。
騎士団の様子を伺うために宿屋の1階にある酒場に向かうとそこには、明らかに騎士とわかる体格のいい男たちが屯していた。
昼間とは思えない薄暗い店内を奥へと入っていくと騎士達がじろじろとこちらを見ているのがわかった。
僕は、少し男たちから離れたテーブルにつくと果実水と軽食を頼む。
店の店員の男の子がすぐに果実水とパンに焼いた肉に甘辛いソースをかけたものを挟んだサンドイッチを持ってきた。
なかなかうまい!
もぐもぐしながら騎士たちの話に耳をそばだてる。
騎士達は、やはり勇者を探しに来たらしい。
騎士たちを率いている近衛騎士団の副騎士団長は、今、この辺りを治めている領主のもとに顔を出しており、戻り次第、魔王城へと出立する予定のようだ。
勇者が死んでからもう2年が過ぎている。
なぜ、今さら勇者を探しに来たのか?
騎士達の話を聞きながら考えていると突然、肩に触れられた。
「君、この町の人?」
話しかけてきたのは、どうやら下っぱの騎士のようだった。
ベテランの上位騎士なら勇者の愛人と呼ばれていた僕のことを知っているかもしれない。
僕は、被っていたフードを引き下ろして顔を隠す。
「近くの町の者ですが・・」
「ちょっと遊んでくれないか?もちろん、悪いようにはしないから」
いやいや!
副騎士団長が戻ったら出発するんじゃないんですか?
僕が身を固くしているとカウンターにもたれてエールを飲んでいた上位騎士らしき騎士が声を荒げる。
「止めとけ!グィル。いくらお前がはやくても無理だぞ!もう、副騎士団長が戻ってくる!」
「ひどいな、ランターさん。俺は、そんなはやくないし!」
ランターと呼ばれた上位騎士が笑い声をあげると、他の騎士たちもどっと笑った。
グィルという若い騎士が舌打ちして離れていく。
また、騎士達がざわめき出し僕は、ホッと息をついた。
「すまないな、うちの奴が迷惑をかけて」
見上げるとランターと呼ばれた上位騎士が立っていた。
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