転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~

トモモト ヨシユキ

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2 魔王国からの使者

2ー2 婚約者登場?

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 2ー2 婚約者登場?

 それにひきかえディナは。
 背だって2メートル越えだし、体もしっかりと筋肉がついてるし。
 いつも俺の側に控えている様からいつしか『氷姫』の騎士とか、『炎帝』とか言われるようになっていた。
 まあ、口の悪い奴らはディナのことを『氷姫』の犬とかいってるらしいけどな。
 俺は、ディナに抱き止められてため息を漏らした。
 俺は、ディナになりたかった。
 こんなひょろひょろじゃなくってがっしりとした壁のような男になりたかった。
 そんなことを考えていたとき、不意に殺気を感じた。
 それは、突き刺さるような冷たい気配で。
 俺は、弾かれるように顔を上げた。
 そこにいたのは、あきらかに魔族とわかる青年だった。
 紫根の長い髪に燃えるような赤い瞳。浅黒い肌をした青年の額には2本の角が生えていた。
 印象は、猛々しくて荒々しい獣。
 でも。
 その傷ついたような赤い瞳は、俺の胸をなぜか締め付けた。
 そこに立っているだけで爽やかな陽光がうっすらと陰ってしまうほどの禍々しさ。
 それなのに。
 なんでこんなに。
 美しい。
 その魔族は、美の結晶のようにそこに立ってじっと俺を見つめていた。
 「離れろ」
 すぅっと薄い唇が動く。
 「私の婚約者から手を離せ」
 はいっ?
 私の婚約者?
 どゆこと?
 ほけっとしている俺からディナがすっと体を離した。
 「失礼いたしました、サハード公爵閣下」
 サハード公爵閣下ですと?
 俺は、はっと気付いて魔族に向き直ってまじまじとそいつのことを見つめた。
 「サハード、公爵?」
 「そうだ」
 魔族の男は頷いた。
 「私は、フィオール・リュマ・サハードだ」
 マジですか?
 俺は、はっと息を飲んだ。
 慌てて俺が口を開こうとしたのを見てサハード公爵は、見下すような目で俺を見た。
 「初めまして、婚約者殿」
 婚約者殿。
 サハード公爵の言葉が耳の奥に響き渡る。
 今までずっと理解していた筈だった。
 けれど。
 こうして現実を突きつけられるとその衝撃はでかかった。
 ああ。
 もしかしたら存在してないかもとか期待していたけど、ほんとにいたんだな。
 俺は、どこか他人事のように思っていた。
 ぼんやりと立ち尽くす俺に靴音も高く歩み寄ってくるとその魔族の大男はふん、と鼻を鳴らした。
 「初めて会う婚約者がまさか、別の男に抱かれているとはな。それが魔族に相応しい者ということか」
 
 
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