転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~

トモモト ヨシユキ

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5 危険な学園生活?

5ー6 別れ

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 5ー6 別れ

 春が来る頃、フィオールが魔王国に帰ることになった。
 魔王国の春は、遅い。
 俺は、フィオールのために暖かいマフラーを編むことにした。
 前世で編み物男子だった俺は、編み物は得意だ。
 自分で編み棒を木を削って作った。
 毛糸は、家畜化されている魔物で、もふもふの毛に包まれたヤギみたいな生き物の毛を分けてもらって用意した。
 俺は、魔物の毛を俺の目の色と同じ薄い水色に染めようかと思ったけど、それは露骨すぎるような気がして頬が熱くなる。
 そんなことすればきっと俺が婚約者を自分の色で縛り付けようとしているとか言われかねない。
 俺は、紅茶で糸を染めることにした。
 そして。
 毎日、夜更かししてフィオールのためのマフラーを編んだ。
 おかげでなんとかフィオールが出発するまでに間に合った。
 王都を出発するフィオールにマフラーを贈ると彼は、柔らかな笑みを浮かべた。
 「ありがとう、シャル」
 マフラーを首に巻いてフィオールは、すん、とマフラーの香りを嗅いだ。
 「お前の匂いがする」
 ぼぼっと俺の顔が火照った。
 俺の匂い?
 毎日、編んでいたから?
 なんだか恥ずかしくて俺は、うつ向く。
 そんな俺の頭を優しく撫でてフィオールが囁くように告げた。
 「ありがとう、シャル」
 その言葉がじんわりと胸に染み込む。
 俺は、なぜか、涙が溢れそうになるのを堪えていた。
 なんで?
 俺は、自問していた。
 なんで、こんな。
 俺は、フィオールとのお別れに顔を上げることができなかった。
 だって。
 顔を上げれば涙が溢れそうで。
 フィオールは、俺の頭を大きな手で撫でてくれた。
 「じゃあ、シャル」
 フィオールがそっと俺の頭にキスを落とす。
 「2年後にまた迎えにくる」
 二年後?
 俺は、長いお別れに涙が溢れるのを感じた。
 「フィオール様!」
 気付くと俺は、手をのばしてフィオールの袖を掴んでいた。
 俺たちは、しばし見つめあった。
 フィオールの赤い瞳が瞬きする。
 「お元気で」
 俺は、震える声で告げた。
 「二年後、待ってます」
 「ああ」
 フィオールが俺を抱き寄せて唇を奪った。
 呼吸が乱れる。
 「ん、ふっ」
 俺は、フィオールのキスを受け入れていた。
 甘くて、激しい口づけに俺は、乱された。
 「こほん!」
 ラナン殿下の咳払いに俺たちは、はっと正気に戻ってお互いから離れた。
 「では」
 フィオールが別れがたそうに馬車に乗り込む。
 「さよなら、シャル」
 その言葉がずん、と胸に迫った。
 俺は、さよならを言えなかった。
 それを言うと二度と会えないかもしれないって思ったから。
 去っていく馬車を見送りながら、俺は、そっと指先で自分の唇に触れた。
 胸の奥が。
 ちくちくして。
 俺は、いつまでもその場に一人立ち尽くしていた。
 
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