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5 歴史は夜に作られる?
5ー1 酒
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5ー1 酒
オーリが後宮に顔を出したのは、俺がクリュセイド王国に来てから1週間も経ってからのことだった。
突然、夜中にふらっと現れたオーリに一番驚いていたのは、じいちゃんだった。
俺の部屋に現れソファに腰を下ろしているオーリに酒やら食事やらを慌ただしく運んでいるじいちゃんを横目に俺は、どうしたものかと思っていた。
こういうときって、どうしたらいいわけ?
立ち尽くしている俺の腕を掴んでオーリは、自分の前へと引き寄せると俺の下腹部に顔を埋めた。
くんくんと匂いを嗅いでいるオーリに俺は、顔が火照ってくる。
ここに来てからは、毎日風呂に入っているから臭い筈はないんだが、それでも匂いを嗅がれると恥ずかしい。
「ああ、お前は、いい匂いがする」
オーリが言うので俺は、小首を傾げた。
なんの匂いだ?
汗の匂いかな?
それとも……いや、やめよう。
俺は、深く考えるのを止めた。
オーリは、ひとしきり俺の匂いを嗅ぐとようやく俺を離して横に座らせるとじいちゃんが運んできた酒に手を伸ばした。
陶器のコップに入っているのは赤いワインのような酒だった。
甘い香りがしている。
俺は、前世では下戸だったし、今生では酒を飲んだことがない。
オーリが飲んでいるのをまじまじと見つめているとオーリが俺に酒の入ったカップを差し出した。
「飲め」
うん。
興味がないわけじゃないし。
俺は、カップを受け取ると中身を覗き込んだ。
パッと見、ブドウのジュースのような酒だ。
俺は、そっと一口含んだ。
ぴりっとした酸味のある、甘い味の酒だが、けっこう強くて俺は、堪らず咳き込んだ。
オーリは、そんな俺の反応を見て笑っていた。
「お前、酒が飲めないのか?」
俺は、しばらく答えることができなかった。
咳き込んでいる俺にオーリは、口許を緩めて抱き寄せる。
「かわいい奴だな」
「んぅっ!」
オーリにいきなりキスされて俺は、体を引こうとしたが、抱き込まれてしまっていて逃れられなかった。
俺の唇を割って侵入してくるオーリの舌に口中を探られて俺は、息を乱した。
強く舌を吸われ、唾液が溢れる。
「ふっ、あっ」
甘い酒の匂いに俺は、意識が朦朧としてくる。
激しい口づけにぐったりしている俺を腕に抱いてオーリは、雄の笑いを浮かべる。
「さすがにオメガとはいえ男だからな。発情してない今は、抱くつもりはなかったんだが。あまりかわいいとすぐにでも食らいたくなるな」
俺は、ぎょっとして体を離そうとオーリの腕の中で暴れたが、ぎゅっと抱きよせられていて逃れられない。
オーリは、酒をあおるとそれを口移しで俺に飲ませた。
「ん、くっ!」
つんと鼻の奥が痛くなる感覚がして目尻に涙が滲んだ。
オーリが後宮に顔を出したのは、俺がクリュセイド王国に来てから1週間も経ってからのことだった。
突然、夜中にふらっと現れたオーリに一番驚いていたのは、じいちゃんだった。
俺の部屋に現れソファに腰を下ろしているオーリに酒やら食事やらを慌ただしく運んでいるじいちゃんを横目に俺は、どうしたものかと思っていた。
こういうときって、どうしたらいいわけ?
立ち尽くしている俺の腕を掴んでオーリは、自分の前へと引き寄せると俺の下腹部に顔を埋めた。
くんくんと匂いを嗅いでいるオーリに俺は、顔が火照ってくる。
ここに来てからは、毎日風呂に入っているから臭い筈はないんだが、それでも匂いを嗅がれると恥ずかしい。
「ああ、お前は、いい匂いがする」
オーリが言うので俺は、小首を傾げた。
なんの匂いだ?
汗の匂いかな?
それとも……いや、やめよう。
俺は、深く考えるのを止めた。
オーリは、ひとしきり俺の匂いを嗅ぐとようやく俺を離して横に座らせるとじいちゃんが運んできた酒に手を伸ばした。
陶器のコップに入っているのは赤いワインのような酒だった。
甘い香りがしている。
俺は、前世では下戸だったし、今生では酒を飲んだことがない。
オーリが飲んでいるのをまじまじと見つめているとオーリが俺に酒の入ったカップを差し出した。
「飲め」
うん。
興味がないわけじゃないし。
俺は、カップを受け取ると中身を覗き込んだ。
パッと見、ブドウのジュースのような酒だ。
俺は、そっと一口含んだ。
ぴりっとした酸味のある、甘い味の酒だが、けっこう強くて俺は、堪らず咳き込んだ。
オーリは、そんな俺の反応を見て笑っていた。
「お前、酒が飲めないのか?」
俺は、しばらく答えることができなかった。
咳き込んでいる俺にオーリは、口許を緩めて抱き寄せる。
「かわいい奴だな」
「んぅっ!」
オーリにいきなりキスされて俺は、体を引こうとしたが、抱き込まれてしまっていて逃れられなかった。
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強く舌を吸われ、唾液が溢れる。
「ふっ、あっ」
甘い酒の匂いに俺は、意識が朦朧としてくる。
激しい口づけにぐったりしている俺を腕に抱いてオーリは、雄の笑いを浮かべる。
「さすがにオメガとはいえ男だからな。発情してない今は、抱くつもりはなかったんだが。あまりかわいいとすぐにでも食らいたくなるな」
俺は、ぎょっとして体を離そうとオーリの腕の中で暴れたが、ぎゅっと抱きよせられていて逃れられない。
オーリは、酒をあおるとそれを口移しで俺に飲ませた。
「ん、くっ!」
つんと鼻の奥が痛くなる感覚がして目尻に涙が滲んだ。
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