塔の上のオメガは、アルファに熱愛される~逃れたいんだが番がそれを許さない~

トモモト ヨシユキ

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4 狂王の番

4ー10 飼い慣らす?

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 4ー10 飼い慣らす?

 空腹が満たされて少し落ち着いたのかオーガ君は、ぽつりぽつりと話し始めた。
 オーガ君は、オーリに滅ぼされた獣人の国の王の8人目の王子だったらしい。
 王子とはいえ母親の身分も低く、ほとんど臣下として扱われていたのだという。
 それ故に国が滅ぼされた時にも王族として処刑されずに奴隷として売られることになったのだ。
 あの時、俺たちが見た檻の中には、オーガ君の妹や弟たちもいたらしい。
 「私のことより残された兄弟たちのことの方が心配です。まだほんの子供なんです」
 オーガ君が目に涙を浮かべているのを見て俺は、心が痛んだ。
 だからといって何をしてやることができるのか?
 俺には、何もない。
 権力も、金も、地位も、力も。
 「ごめんね、オーガ君。俺は、何もしてあげられないよ」
 「なら、できるようになってください!」
 オーガ君が俺をじっと見つめた。
 「あの狂王の寵愛を受けて揺るぎない権勢を手に入れて、そして、俺たちを救ってください!」
 はいっ?
 俺は、戸惑っていた。
 でも、オーガ君は、真剣な眼差しで俺を見て続ける。
 「あの止まることを知らない狂王をあなたが飼い慣らすんです」
 つまり、俺にオーリをコントロールしろと?
 「それは」
 無理だと言いかけた俺にオーガ君が祈るような目を向ける。
 「できます!ミリナルダ様なら。あいつの番であるあなたならできる筈です」
 うーん、と俺は、考え込んだ。
 オーリが俺の言うことなんかきくのか?
 そもそも、オーリは、俺を愛しているのか?
 俺には、わからない。
 オーリには、あの塔で抱かれただけだ。
 旅の間は、オーリは、俺と一緒の寝所で眠ったものの、そういうことはまったくしなかったし。
 番とかいっても、俺には、まだよくわからないし。
 でも。
 あの時、オーリを止めることができたなら。
 ルシー君を殺されなかったかもしれない?
 もし、次があったなら。
 そのときは、俺がオーリを止められたなら、いい。
 「でも、俺、そういう手練手管なんて、まったく知らないし。やっぱ、無理なんじゃないかな」
 俺が言うとオーガ君が静かに答えた。
 「私が少しならお教えします。でも、ミリナルダ様は、今のままでも充分に狂王の心を得ているのでは。少なくとも今までまったく妾すら持たなかったあの人が選んだ番ですから」
 そうなの?
 俺は、半信半疑だった。
 でも、もう二度とオーリに目の前で残忍なことをさせたくはない。
 何より、俺自身を守るためにも俺は、ここでがんばらないといけないのかも。
 
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