塔の上のオメガは、アルファに熱愛される~逃れたいんだが番がそれを許さない~

トモモト ヨシユキ

文字の大きさ
60 / 87
6 覇王の寵妃

6ー10 世界の要

しおりを挟む
 6ー10 世界の要

 要?
 俺が世界の要ですと?
 俺がほけっとしていると老人がため息をつく。
 「だから我々が本来、一番最初にあなた様を探しだして保護するべきだったのです。それがギィード王国の王に先を越されてしまいあの『不可視の塔』に閉じ込められてしまって手が出せなくなっていたのです。本来なら神殿で保護して奥深くにお守りして御子としての教育をしなくてはならなかったのですが」
 うん?
 なんかさらっと不穏なことをいわれたような気がするんですけど?
 俺は、老人に訊ねた。
 「御子とは何なのですか?」
 「この世界には、柱がいくつかございまして。御子とは、人界にある柱でございます。つまり、世界を支えるもののことでございます」
 はいっ?
 俺が世界を支える柱?
 「しかし、俺は、特には何もしておりませんが」
 俺が首を傾げるのを見て老人がかぁっと目を見開いたので俺は、思わずびくっと体を固まらせる。
 老人がふっと表情を和らげる。
 「驚かして申し訳ないですな、御子よ。ですが、あまりにもあなたの仕草があざと……いや、いとけないものですから」
 いとけない?
 俺は、ますます首を傾げてしまう。
 老人は、軽く咳払いをすると俺に話し始めた。
 「要するにあなた様は、女神より格別な寵愛を賜っているということでございます。別に何をしているということもなくてもあなた様がそこにいてくださるだけで充分なのです」
 俺は、こくっと頷く。
 「なんとなく理解できました。ご説明をありがとうございます」
 いや!
 まったく理解できないんだが!
 というか、俺って女神の寵愛を受けてるんですか?
 納得がいかない様子の俺をさっして老人が破顔する。
 「そんなに深く考えなくともよいのです。ただ、あなた様が幸福に過ごされているならそれでよいのです、それ以上の何もございませんから」
 俺と神官長は、午後の時間をゆっくりとお茶を飲みながらよもやま話をした。
 老人は、夕方になると名残惜しげにおともの屈強な若者に抱き上げられて去っていった。
 まるで子供だな。
 俺は、後宮の門まで老人を見送った。
 老人は、俺にぺこりと頭を下げる。
 「これだけは忘れんでください。我々神殿は、あなた様の味方です。あなた様は、あの狂暴な王の唯一の手綱ですからな」
 門が閉じられる。
 俺は、ほぅっと吐息を漏らす。
 神殿か。
 俺は、自室に戻るとソファに腰を下ろして自分の婚姻式の衣装に刺繍を施しながら考えていた。
 オーリを牽制しているんだろうが、俺には、そんなに怖い存在のようには思えなかった。
 ともかく俺は、オーリに手紙を書くことにする。
 内容は、婚姻式でのお披露目は、取り止めにして欲しいというものだった。
 
 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

うそつきΩのとりかえ話譚

沖弉 えぬ
BL
療養を終えた王子が都に帰還するのに合わせて開催される「番候補戦」。王子は国の将来を担うのに相応しいアルファであり番といえば当然オメガであるが、貧乏一家の財政難を救うべく、18歳のトキはアルファでありながらオメガのフリをして王子の「番候補戦」に参加する事を決める。一方王子にはとある秘密があって……。雪の積もった日に出会った紅梅色の髪の青年と都で再会を果たしたトキは、彼の助けもあってオメガたちによる候補戦に身を投じる。 舞台は和風×中華風の国セイシンで織りなす、同い年の青年たちによる旅と恋の話です。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される

Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。 中1の雨の日熱を出した。 義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。 それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。 晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。 連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。 目覚めたら豪華な部屋!? 異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。 ⚠️最初から義父に犯されます。 嫌な方はお戻りくださいませ。 久しぶりに書きました。 続きはぼちぼち書いていきます。 不定期更新で、すみません。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

糸目推しは転生先でも推し活をしたい

翠雲花
BL
 糸目イケメン。  それは糸目男性にのみ許された、目を開けた時とのギャップから生まれるイケメンであり、糸那柚鶴は糸目男性に憧れていたが、恋愛対象ではなかった。  いわゆる糸目推しというものだ。  そんな彼は容姿に恵まれ、ストーキングする者が増えていくなか、ある日突然、死んだ記憶がない状態で人型神獣に転生しており、ユルという名で生を受けることになる。  血の繋がりのない父親はユルを可愛がり、屋敷の者にも大切にされていたユルは、成人を迎えた頃、父親にある事を告げられる── ※さらっと書いています。 (重複投稿)

気付いたらストーカーに外堀を埋められて溺愛包囲網が出来上がっていた話

上総啓
BL
何をするにもゆっくりになってしまうスローペースな会社員、マオ。小柄でぽわぽわしているマオは、最近できたストーカーに頭を悩ませていた。 と言っても何か悪いことがあるわけでもなく、ご飯を作ってくれたり掃除してくれたりという、割とありがたい被害ばかり。 動きが遅く家事に余裕がないマオにとっては、この上なく優しいストーカーだった。 通報する理由もないので全て受け入れていたら、あれ?と思う間もなく外堀を埋められていた。そんなぽややんスローペース受けの話

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

処理中です...