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18 誘拐されちゃいました。
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俺は、ロイドが『R』シリーズだったことをクリスたちに伝えるために転移ゲートを開こうとした。
その時、バタバタという騒がしい足音がきこえてきて、俺は、耳をすました。
「何者だ!」
ロザの声がきこえた。
「ここをユウレスカ様の居城と知ってのことか?」
キィンと刃を交える音が聞こえる。
ヤバくない?
俺は、ロザのもとへと急ごうとドアを開いた。
「っ!」
目の前に見知らぬ男が立っていてた。男は、俺を見てニヤリと笑った。
「これは。ユウレスカ姫ですな?おかげで探す手間が省けた」
「ユウレスカ様!」
ロザが男たちに押さえつけられている。俺は、ロザの方に向かおうとして男に阻まれた。
「おっと、あなたのお相手は、この私ですよ、ユウレスカ様」
俺は、雷撃の魔法で男を倒そうとしたが魔法は、発動しなかった。
なんで?
俺は、もう一度、雷撃の魔法を展開しようとした。
しかし、魔法は、発動しなかった。
なんでだ?
呆然とする俺に男がにやっと笑った。
「あなたは、特別な魔法使いだってきいてますが、私たちにその力は、通じませんよ、ユウレスカ様」
男が懐からチェーンのついた蒼い魔石を取り出して俺に見せた。
「これがあれば、あなたの力は、封じられるってことです。さあ、わかったら、大人しくしてください。我々も、商品に怪我をさせたくはない」
商品?
男が俺に触れようとしたのを見たロザが叫んだ。
「やめなさい!その方に触れるな!」
「うるさい女だ」
男が呟いて、他の連中に押さえつけられているロザに向かって手をかざした。俺は、男の手にしがみついていた。
「俺が行けばいいんだろう?ロザに手を出すな!」
「おや、騎士道精神ですか?」
男がにやっと笑って、頷いた。
「では、縛らせていただきますよ、ユウレスカ様」
男が蒼い魔石の編み込まれた縄で俺の手足を縛っていった。ロザが逃れようとするのを男たちが押さえつける。
「酷いことするな!」
「わかってますよ、ユウレスカ姫。あなたが大人しく従ってくれさえすれば、我々は、あの女には、何もしません」
男は、俺を縛り上げると、肩に担ぎ上げた。ロザが叫ぶ。
「ユウレスカ様!」
「この女、うるさいな」
ロザを押さえつけている男が腕を振り上げてロザを殴った。俺は、声をあげた。
「ロザ!」
ロザは、ぐったりとして動かなくなった。
男たちは、俺を担いで離宮から出ると、外に用意されていた馬車に俺を積み込んで走り出した。
男は、馬車に乗ると俺に目隠しをした。
「一応ね。逃げられれはしないがね」
「誰の命令でこんなことを?」
俺は、きいた。男は、笑った。
「すぐに、わかるだろう」
男は、いい、それきり黙り込んでしまった。
かなり、長い時間、俺は、馬車で揺られていた。
ここは、たぶん、王宮の外だ。
黙り込んでいた男が不意に、口を開いた。
「しかし、あなたも、いい根性してる。女装して王宮に潜り込んでいるなんて、バレたら死罪だ」
「これは・・いろいろ事情があって」
俺が言うと、男が低く笑った。
「まあ、男を知らないわけじゃなさそうだし、あなたのような少年を好む客もたくさんいるからね」
マジか?
俺は、なんとか逃れられないかと縛られた手足を動かそうとした、だが、きつく縛られた手足は、身動ぎもできなかった。
「無駄ですよ、ユウレスカ姫。やめておきなさい。怪我するだけだ」
男は、それっきり黙り込んで、二度と、俺に話しかけはしなかった。
俺は、暗闇の中で感覚を封じられて、かつて、ダンジョンに封じられていたときのことを思い出していた。
誰かはわからないけど。
俺は、思っていた。
俺を拐うように命じた奴は、俺の正体を知っている?
だからこそ、俺の力を封じることができたのだろう。
俺は、思った。
まさか、ロイドが?
俺は、頭をぐるぐるさせていた。
その間にも、馬車は、駆け続けた。
やっと、馬車が止まったときには、俺は、ぐったりと疲れはてていた。
「大丈夫か?姫様」
男が言って、俺を助け起こし、俺の口に水筒をあてがい、水を流し込んできた。水は、生ぬるかったけど、俺は、ごくごくと飲み下した。
水を飲んで、少し、元気が出た俺は、男にきいた。
「もう、アジトに着いたのか?」
「ああ」
男は、俺の目隠しを取り去って言った。
「さあ、終点だ。ユウレスカ姫」
男は、俺を抱き上げると馬車から下ろした。
すでに夜は明けていて、辺りは、明るくなっていた。
馬車は、大きな商館らしき屋敷の前に停められていた。
「ここは、この国1の奴隷商のお屋敷さ。あなたは、これから、ここで商品として扱われるんだ」
男は、言った。
マジか。
俺は、縛られたまま屋敷の門を潜り、中へと運ばれた。
「届いたのか、ギル」
男の主人らしき太った中年男が現れて、俺をじろじろと値踏みするように眺めて、ニヤリと笑った。
「これがユウレスカ姫、か」
「ええ、そうです。旦那様」
「連れてこい。先程からお客様がお待ちかねだ」
ギルと呼ばれた男は、俺を抱いたまま主人の後に従った。
男は、俺を贅を凝らした広間へと連れていくとそこの毛足の長い絨毯のひかれた床の上へと下ろした。
「すぐに、お前のご主人様が見えられるからな、ユウレスカ姫」
俺は、男の言葉に背筋がぞっとした。
男は、くふふっと下卑た笑いを漏らした。
すぐに、高い足音が聞こえてきて、ドアが開かれた。
誰か。
人が入ってくる。
「久しぶりだな」
その声をきいて、俺は、びくっと体を強ばらせた。
俺は、ゆっくりと顔をあげて、その男を見上げた。
青みがかった銀髪に、凍えるような冷たいアイスブルーの瞳。
男は、ずっと行方不明だったルイス・ガーゴリウスだった。
「あ・・あっ・・」
俺は、みいられたようにルイスから目が離せなくなっていた。
ルイスは、その場に膝をついて俺を覗き込み、手を伸ばしてくると、俺の頬へと触れた。
「再び会える日を待ち焦がれていたぞ、ヨシュア、いや、ユウだったか?」
ルイスは、含み笑いを漏らした。
「どうでもいいことだな。どうせ、記憶を消し去り、まっさらな状態に戻すのだからな」
ええっ?
俺は、目を見開いてルイスのことを見つめていた。
ルイスは、俺の額に手をかざすと魔法を展開した。
光が。
俺のことを包み込む。
「いや・・だ!」
俺は、涙が頬を伝うのを感じた。
全てを忘れさせられるのは、嫌だ!
封印を解かれてからのこと。
クリスや、ディエントス、アルカイドと過ごした日々。
そして。
アーク。
俺は、目を閉じた。
アークのこと、忘れたくない!
「抵抗するな。苦しむだけだぞ」
ルイスが言った。
俺は、頭を振った。
「嫌、だ!もう、お前の道具になるのは、いや・・だ・・!」
突然、灯りが消え、辺りが真っ暗になった。
「なんだ?」
誰かの手が、俺の体に触れ、俺を抱き上げた。
「だ、誰?」
「静かに」
その声は、俺にそう言うと、俺を抱いたまま駆け出した。
屋敷の外に出て、月明かりの下で見たその男は、フードを深く被っていてよく顔が見えなかった。
男は、俺を抱いたまま町外れにある廃屋まで逃れると、そこで俺を下ろし縄をナイフで切り、俺を解放した。
「ありがと・・」
俺は、礼を言ったが、男は、無言だった。
誰、だ?
俺は、手を伸ばしてローブの裾をひいた。
少しだけ、男の顔が見えた。
「・・ロイド?」
その男は、ロイドだった。
「なんであんたが、俺を助けてくれたんだ?」
「お前にまた、世界を壊されたくはない」
ロイドが冷たく言った。
「それに、お前がいなくなれば、殿下が悲しむ」
「またまた、そんな、冷たいこと言っちゃってさ」
背後から声がして俺たちは、振り向いた。
そこには、金髪の少年の姿があった。
「ティル?」
ティルは、にこにこっと微笑んだ。
その時、バタバタという騒がしい足音がきこえてきて、俺は、耳をすました。
「何者だ!」
ロザの声がきこえた。
「ここをユウレスカ様の居城と知ってのことか?」
キィンと刃を交える音が聞こえる。
ヤバくない?
俺は、ロザのもとへと急ごうとドアを開いた。
「っ!」
目の前に見知らぬ男が立っていてた。男は、俺を見てニヤリと笑った。
「これは。ユウレスカ姫ですな?おかげで探す手間が省けた」
「ユウレスカ様!」
ロザが男たちに押さえつけられている。俺は、ロザの方に向かおうとして男に阻まれた。
「おっと、あなたのお相手は、この私ですよ、ユウレスカ様」
俺は、雷撃の魔法で男を倒そうとしたが魔法は、発動しなかった。
なんで?
俺は、もう一度、雷撃の魔法を展開しようとした。
しかし、魔法は、発動しなかった。
なんでだ?
呆然とする俺に男がにやっと笑った。
「あなたは、特別な魔法使いだってきいてますが、私たちにその力は、通じませんよ、ユウレスカ様」
男が懐からチェーンのついた蒼い魔石を取り出して俺に見せた。
「これがあれば、あなたの力は、封じられるってことです。さあ、わかったら、大人しくしてください。我々も、商品に怪我をさせたくはない」
商品?
男が俺に触れようとしたのを見たロザが叫んだ。
「やめなさい!その方に触れるな!」
「うるさい女だ」
男が呟いて、他の連中に押さえつけられているロザに向かって手をかざした。俺は、男の手にしがみついていた。
「俺が行けばいいんだろう?ロザに手を出すな!」
「おや、騎士道精神ですか?」
男がにやっと笑って、頷いた。
「では、縛らせていただきますよ、ユウレスカ様」
男が蒼い魔石の編み込まれた縄で俺の手足を縛っていった。ロザが逃れようとするのを男たちが押さえつける。
「酷いことするな!」
「わかってますよ、ユウレスカ姫。あなたが大人しく従ってくれさえすれば、我々は、あの女には、何もしません」
男は、俺を縛り上げると、肩に担ぎ上げた。ロザが叫ぶ。
「ユウレスカ様!」
「この女、うるさいな」
ロザを押さえつけている男が腕を振り上げてロザを殴った。俺は、声をあげた。
「ロザ!」
ロザは、ぐったりとして動かなくなった。
男たちは、俺を担いで離宮から出ると、外に用意されていた馬車に俺を積み込んで走り出した。
男は、馬車に乗ると俺に目隠しをした。
「一応ね。逃げられれはしないがね」
「誰の命令でこんなことを?」
俺は、きいた。男は、笑った。
「すぐに、わかるだろう」
男は、いい、それきり黙り込んでしまった。
かなり、長い時間、俺は、馬車で揺られていた。
ここは、たぶん、王宮の外だ。
黙り込んでいた男が不意に、口を開いた。
「しかし、あなたも、いい根性してる。女装して王宮に潜り込んでいるなんて、バレたら死罪だ」
「これは・・いろいろ事情があって」
俺が言うと、男が低く笑った。
「まあ、男を知らないわけじゃなさそうだし、あなたのような少年を好む客もたくさんいるからね」
マジか?
俺は、なんとか逃れられないかと縛られた手足を動かそうとした、だが、きつく縛られた手足は、身動ぎもできなかった。
「無駄ですよ、ユウレスカ姫。やめておきなさい。怪我するだけだ」
男は、それっきり黙り込んで、二度と、俺に話しかけはしなかった。
俺は、暗闇の中で感覚を封じられて、かつて、ダンジョンに封じられていたときのことを思い出していた。
誰かはわからないけど。
俺は、思っていた。
俺を拐うように命じた奴は、俺の正体を知っている?
だからこそ、俺の力を封じることができたのだろう。
俺は、思った。
まさか、ロイドが?
俺は、頭をぐるぐるさせていた。
その間にも、馬車は、駆け続けた。
やっと、馬車が止まったときには、俺は、ぐったりと疲れはてていた。
「大丈夫か?姫様」
男が言って、俺を助け起こし、俺の口に水筒をあてがい、水を流し込んできた。水は、生ぬるかったけど、俺は、ごくごくと飲み下した。
水を飲んで、少し、元気が出た俺は、男にきいた。
「もう、アジトに着いたのか?」
「ああ」
男は、俺の目隠しを取り去って言った。
「さあ、終点だ。ユウレスカ姫」
男は、俺を抱き上げると馬車から下ろした。
すでに夜は明けていて、辺りは、明るくなっていた。
馬車は、大きな商館らしき屋敷の前に停められていた。
「ここは、この国1の奴隷商のお屋敷さ。あなたは、これから、ここで商品として扱われるんだ」
男は、言った。
マジか。
俺は、縛られたまま屋敷の門を潜り、中へと運ばれた。
「届いたのか、ギル」
男の主人らしき太った中年男が現れて、俺をじろじろと値踏みするように眺めて、ニヤリと笑った。
「これがユウレスカ姫、か」
「ええ、そうです。旦那様」
「連れてこい。先程からお客様がお待ちかねだ」
ギルと呼ばれた男は、俺を抱いたまま主人の後に従った。
男は、俺を贅を凝らした広間へと連れていくとそこの毛足の長い絨毯のひかれた床の上へと下ろした。
「すぐに、お前のご主人様が見えられるからな、ユウレスカ姫」
俺は、男の言葉に背筋がぞっとした。
男は、くふふっと下卑た笑いを漏らした。
すぐに、高い足音が聞こえてきて、ドアが開かれた。
誰か。
人が入ってくる。
「久しぶりだな」
その声をきいて、俺は、びくっと体を強ばらせた。
俺は、ゆっくりと顔をあげて、その男を見上げた。
青みがかった銀髪に、凍えるような冷たいアイスブルーの瞳。
男は、ずっと行方不明だったルイス・ガーゴリウスだった。
「あ・・あっ・・」
俺は、みいられたようにルイスから目が離せなくなっていた。
ルイスは、その場に膝をついて俺を覗き込み、手を伸ばしてくると、俺の頬へと触れた。
「再び会える日を待ち焦がれていたぞ、ヨシュア、いや、ユウだったか?」
ルイスは、含み笑いを漏らした。
「どうでもいいことだな。どうせ、記憶を消し去り、まっさらな状態に戻すのだからな」
ええっ?
俺は、目を見開いてルイスのことを見つめていた。
ルイスは、俺の額に手をかざすと魔法を展開した。
光が。
俺のことを包み込む。
「いや・・だ!」
俺は、涙が頬を伝うのを感じた。
全てを忘れさせられるのは、嫌だ!
封印を解かれてからのこと。
クリスや、ディエントス、アルカイドと過ごした日々。
そして。
アーク。
俺は、目を閉じた。
アークのこと、忘れたくない!
「抵抗するな。苦しむだけだぞ」
ルイスが言った。
俺は、頭を振った。
「嫌、だ!もう、お前の道具になるのは、いや・・だ・・!」
突然、灯りが消え、辺りが真っ暗になった。
「なんだ?」
誰かの手が、俺の体に触れ、俺を抱き上げた。
「だ、誰?」
「静かに」
その声は、俺にそう言うと、俺を抱いたまま駆け出した。
屋敷の外に出て、月明かりの下で見たその男は、フードを深く被っていてよく顔が見えなかった。
男は、俺を抱いたまま町外れにある廃屋まで逃れると、そこで俺を下ろし縄をナイフで切り、俺を解放した。
「ありがと・・」
俺は、礼を言ったが、男は、無言だった。
誰、だ?
俺は、手を伸ばしてローブの裾をひいた。
少しだけ、男の顔が見えた。
「・・ロイド?」
その男は、ロイドだった。
「なんであんたが、俺を助けてくれたんだ?」
「お前にまた、世界を壊されたくはない」
ロイドが冷たく言った。
「それに、お前がいなくなれば、殿下が悲しむ」
「またまた、そんな、冷たいこと言っちゃってさ」
背後から声がして俺たちは、振り向いた。
そこには、金髪の少年の姿があった。
「ティル?」
ティルは、にこにこっと微笑んだ。
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