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3 魔法学園の花ですか?(2)

3ー4 口づけ

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 3ー4 口づけ

 魔法の実技試験が終わり、俺は、俺用に用意された更衣室で一息ついていた。
 学園で俺が一人になれるのは、こことトイレぐらいしかない。
 俺は、上半身裸になって汗を拭った。
 生活魔法を使えば一瞬で清潔にできるのだが、俺は、生活魔法が苦手だった。
 使えなくはない。
 だが、なんか、苦手だ。
 だから、服を脱いで濡らした布で体を拭いていた。
 魔法を使って火照った体にひんやりして気持ちいい。
 俺がほぅっと吐息をついた時、不意に更衣室のドアが開いた。
 俺がぎょっとしてそちらを向くと、そこにはアウラ王女殿下が立っていた。
 「えっ?」
 アウラ王女殿下は、あっという間に部屋に押し入り俺の目の前に立っていた。
 ふわり、と柑橘のような香りがした。
 俺は、上半身を布で隠そうとした。
 だが、アウラ王女殿下が一瞬速く、俺の両手をつかんで俺を壁際へと押し付けた。
 俺は、掴まれた手首の痛みに顔を歪めた。
 アウラ王女殿下は、俺を壁に縫い付けると俺の耳元でささやいた。
 「さっきは、やってくれたな。無詠唱の上、炎まで操るとは。しかも、ヒールだと!」
 「は、離してくださ、い」
 俺の言葉を無視してアウラ王女殿下は、俺の唇を奪った。
 はいっ?
 俺は、何が起きているのか理解できなかった。
 荒々しい口づけに頭が真っ白になっていく。
 「ん・・ふっ・・」
 アウラ王女殿下は、存分に俺の唇を吸うと口を離して俺の下唇を噛んだ。
 口の中に鉄の味が広がる。
 「なんで?」
 俺は、押さえつけられたまま、アウラ王女殿下に抗議した。
 「約束、しましたよね?俺が勝ったらもう、俺のこと口説かないって」
 「口説くのは、やめだ」
 アウラ王女殿下が舌で俺の唇を嘗めた。
 王女殿下の乱れた呼吸が頬にかかる。
 俺も、呼吸を乱していた。
 耳が痛いぐらい静かな中、俺たちの心臓の鼓動だけが聞こえていた。
 「これからは、手を出す」
 「手、って・・」
 「そして、お前にわからせてやる」
 アウラ王女殿下が俺の頬に軽くキスを落とした。
 「私がいないと生きていけないってことを」
 そのとき、更衣室のドアをノックする音がきこえた。
 アウラ王女殿下は、俺から体を離すと更衣室の壁に1つだけあった小さな窓を開けて身を乗り出した。
 「いいな!覚悟しておけ!」
 
 
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