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6 聖者なんかじゃありません!

6ー10 サヤ

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 6ー10 サヤ

 「サヤ・・」
 俺が呟くのをきいてサヤの顔が恐怖に凍りつく。
 「おいしいミルクをありがとう」
 「はひっ?」
 サヤが涙ぐんでいるのを俺は、笑顔で見た。
 「どうかしたのか?サヤ」
 「あ・・あの・・」
 サヤが後ろずさるのをロタが遮る。
 「少し話をきかせていただけますか?」
 「あ・・ああ・・」
 サヤが泣き崩れた。
 
 サヤは、すべてを話した。
 最初は、自分がやったと言い張っていたがロタにグーズリー神官長が異国の奴隷商人とやり取りした手紙の束を見せられると諦めたのか、俺たちにことの次第を話してくれた。
 神殿は、グーズリー神官長とライナス親子によって支配されていた。
 逆らう者もいなかったからか、グーズリー神官長は、やりたい放題だ。
 神殿から生涯出ることがない『神の子』たちを異国に売り飛ばして暴利をむさぼっていた。
 「グーズリー神官長は、ライナス様を将来、王配にするためにオルナム様を亡き者にしようとしていたのです」
 
 サヤは、最後までライナスの罪だけは認めようとはしなかった。
 だが、ロタが見つけた証拠でグーズリー神官長とライナスの悪事は暴かれ、二人は、王国の騎士団によって捕らえられた。
 「おそらく前にお前が賊に襲われたのもグーズリー神官長の企んだことだろう」
 バルトレット王女殿下が俺を王城に呼び寄せて自室に招いて話した。
 いや。
 なんで自室?
 別にサロンでもどこでもいいんじゃね?
 王女殿下は、くだけた薄いガウンに身を包んでいた。
 かなり扇情的な衣装にも関わらず俺は、何も感じることもなかった。
 だって、お胸がペッタンコだし。
 「あの親子は、いづれ処刑されることになるだろう」
 バルトレット王女殿下が俺に話した。
 俺は、黙って頷いた。
 因果応報。
 いづれは、自分のところにその罪が返ってくるのだ。
 「ところでお前のいっていた女のことだが」
 バルトレット王女殿下が俺をちらっと横目で見た。
 俺は、サヤの命乞いをしていた。
 だが、バルトレット王女殿下は、厳しい表情で俺に告げた。
 「未来の王配の毒殺を図ろうとしたのだからな。お前の頼みでもどうすることもできない」
 「そうですか」
 俺は、ため息をついた。
 
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