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8 恋か、愛か
8ー2 死のループ
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8ー2 死のループ
「どうかな?」
その女は、首を傾げた。
「試してみるか」
女は、ひょっと俺の方へと手を伸ばした。
女の手足には鱗があった。
だぼりとしたワンピースに身を包んだその女は、逃れようと横に飛んだ俺に勢いよくその太くて長い尾を叩きつけてきた。
全身を痛みが襲う。
息が。
俺は、胸をかきむしる。
息ができない。
口許から血の泡がこぼれる。
「あれ?」
その女は、俺を見下ろした。
「もう、終わりなの?」
それが、その時の俺の見た最後の光景だった。
「ふっ!」
息を吹き替えした俺は、気がつくと訓練場に立っていた。
「どうした?オルナム」
アウラ王女殿下が俺に木剣を向けている。
「剣が荒れているぞ!」
ひゅっと俺は、空気を吸い込んだ。
戻っている。
俺のスキル『リ・ボーン』が発動したらしい。
俺は、きゅっと唇を引き結ぶ。
今、この瞬間にもあの魔族は、どこかで俺のことを見ている。
俺は、気を入れ直した。
しっかりしろ!
俺は、こんなところで止まってはいられないのだ!
俺の望む未来を。
家族が。
ロタや、兄上たち。
母上、父様。
たくさんの俺の好きな人たち。
みんなを守るためにも。
俺は、あののっぺりとした女を思い浮かべていた。
あの女は、生かしておくべきではない。
俺の中の何かがあの女は、危険だ、と訴えていた。
俺は、まだ、なぜ、あの女の何がそんんに危険なのかもわかっていない。
底知れぬ恐怖を感じて俺は、身を震わせた。
これからまた、死のループが始まるのだ。
俺は、更衣室に入ると辺りに人払いの魔法を張り巡らせた。
万が一にも誰かを巻き込んではいけない。
俺自身は、何度でも生き返れるが、巻き込まれた人は、違うからな。
「ロタ」
俺は、ロタの名を呼んだ。
「ローエルタール!」
しゅっと風が鳴り、俺の前にロタの本性である大剣が現れた。
俺は、ローエルタールの柄を握ると引き抜いた。
美しい銀色に輝く刃に俺の姿が映っている。
俺は。
笑っていた。
「来るがいい、魔族め」
俺は、にぃっと口許を歪めた。
何度でも死んでやる!
俺は、ローエルタールを構えた。
そのかわり。
あの女も死ぬことになるのだ。
「どうかな?」
その女は、首を傾げた。
「試してみるか」
女は、ひょっと俺の方へと手を伸ばした。
女の手足には鱗があった。
だぼりとしたワンピースに身を包んだその女は、逃れようと横に飛んだ俺に勢いよくその太くて長い尾を叩きつけてきた。
全身を痛みが襲う。
息が。
俺は、胸をかきむしる。
息ができない。
口許から血の泡がこぼれる。
「あれ?」
その女は、俺を見下ろした。
「もう、終わりなの?」
それが、その時の俺の見た最後の光景だった。
「ふっ!」
息を吹き替えした俺は、気がつくと訓練場に立っていた。
「どうした?オルナム」
アウラ王女殿下が俺に木剣を向けている。
「剣が荒れているぞ!」
ひゅっと俺は、空気を吸い込んだ。
戻っている。
俺のスキル『リ・ボーン』が発動したらしい。
俺は、きゅっと唇を引き結ぶ。
今、この瞬間にもあの魔族は、どこかで俺のことを見ている。
俺は、気を入れ直した。
しっかりしろ!
俺は、こんなところで止まってはいられないのだ!
俺の望む未来を。
家族が。
ロタや、兄上たち。
母上、父様。
たくさんの俺の好きな人たち。
みんなを守るためにも。
俺は、あののっぺりとした女を思い浮かべていた。
あの女は、生かしておくべきではない。
俺の中の何かがあの女は、危険だ、と訴えていた。
俺は、まだ、なぜ、あの女の何がそんんに危険なのかもわかっていない。
底知れぬ恐怖を感じて俺は、身を震わせた。
これからまた、死のループが始まるのだ。
俺は、更衣室に入ると辺りに人払いの魔法を張り巡らせた。
万が一にも誰かを巻き込んではいけない。
俺自身は、何度でも生き返れるが、巻き込まれた人は、違うからな。
「ロタ」
俺は、ロタの名を呼んだ。
「ローエルタール!」
しゅっと風が鳴り、俺の前にロタの本性である大剣が現れた。
俺は、ローエルタールの柄を握ると引き抜いた。
美しい銀色に輝く刃に俺の姿が映っている。
俺は。
笑っていた。
「来るがいい、魔族め」
俺は、にぃっと口許を歪めた。
何度でも死んでやる!
俺は、ローエルタールを構えた。
そのかわり。
あの女も死ぬことになるのだ。
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