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11 金色の魔王と癒しの男騎士

11ー3 進級試験

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 11ー3 進級試験

 宰相の嫡女であるルイーズ・クルシーアとエルム王子の婚約が発表されたのは、年が明けてすぐのことだった。
 ほんとならクラスでも、話題になって騒がしくなるところだが、そうはならなかった。
 それは、試験のせいだった。
 冬季休暇明けには、進級試験がある。
 この試験で1教科でも欠点をとれば、落第の可能性が高くなる。
 普段は、騒々しいクラスメイトたちも今は、真面目に図書館通いして勉強にせいをだしている。
 俺たちも例外ではない。
 俺とロタ、アウラ王女殿下とエルム王子、ノルドは、図書館に陣取って朝から勉強していた。
 俺は、前世のローの知識もあるから、勉強は、自信がある。
 もちろん実技もな。
 意外なことにアウラ王女殿下は、秀才タイプだった。
 ロタは、言うまでもなく優秀な奴だし。
 俺たちの中で問題があるのは、エルム王子とノルドだけだ。
 エルム王子は、だいたいの教科では優秀なのだが、数学が壊滅的にダメだった。
 俺とロタで公式をまとめたノートを作ってやったんだが、それでもなかなかダメだった。
 「私は、応用が苦手なのだ」
 エルム王子が頭をかきかき問題を解きながら言うと、ノルドが笑顔を見せた。
 「大丈夫です、エルム様は、やればできるお人ですから」
 いや!
 みんなが突っ込みたいのを堪えていた。
 お前が言うことじゃねぇし!
 というか。
 ノルド、お前よく魔法学園に転入できたな!
 ノルドは、学力的に魔法学園の落ちこぼれクラスのレベルにも達していなかった。
 てか、なんで、二人とも魔法学園に留学してきたの?
 エルム王子は、ともかくとしてノルドは、絶対淑男学園の方が幸せだったんじゃ?
 まあ、従者枠でのン転入だったんだろうけど、それでも、ひどいな。
 俺は、なにはともあれ歴史の勉強をするようにとアドバイスしてみた。
 まあ、歴史は、暗記だけのことだしな。
 だが。
 ノルドは、暗記が苦手だった。
 では、外国語から手をつけてみればいいじゃん。
 しかし。
 ノルドは、自国の言葉である筈なのに外国語も苦手だった。
 「お前は、何ができるんだ?」
 俺がきくと、ノルドは、満面の笑みで答えた。
 「社交かな」
 社交、か。
 ノルドよ、残念だが、それは、教科にはないのだ。
 
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