ちったいメイドさんの異世界奮闘記〜最高の片思いだけどご主人様に尽くしたい!〜

トモモト ヨシユキ

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2ー8 ちっさくなっちゃった!

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 2ー8 ちっさくなっちゃった!

 1人になるとわたしは、新しく与えられた部屋の窓辺に近づいてそっと窓を開いた。
 ふわり、と風が吹き込みふよふよと小さな光の粒が飛び交う。
 『リョータ』!
 わたしは、光の粒を手で包み込むと目を閉じた。
 わたし、もう、小さなカヅキには戻れないの?
 小さなわたしがいなくなったと知れたら、きっと、みんな、心配するに違いない。
 もしかしたらわたしが関わりがあると疑われるかもしれないし!
 わたしは、『リョータ』を抱き締めたまま願っていた。
 ちっちゃなカヅキに戻れますように!
 すると。
 全身を風と共に光が包み込んで。
 次の瞬間には、わたしは、布の中で溺れていた。
 「ちょっ!どうなってるの?」
 声が出てわたしは、はっと気づいた。
 体が縮んでいる?
 さっきまでと比べて視線が低くなってるし!
 だぼだぼのメイド服を引きずりながらわたしは、考えていた。
 どうすればいいの?
 とりあえず、屋根裏のちっさいわたしの部屋へと戻ろう!
 わたしは、大きな服を抱え上げると裸足で歩き出した。
 そっとうがかってから廊下へ出ると足元にカミルさんの姿があった。
 「カミルさん?」
 カミルさんは、するりとわたしの肩へと上ると鼻をぴくぴくと動かした。
 「カミルさん、そこにいたの?」
 カミルさんは、最近、ご主人様がわたしの護衛につけてくださっていた。
 なのに、大きくなってからカミルさんの姿が見えなかった。
 もしかして、大人になったら精霊って見えなくなるのかしら?
 わたしは、カミルさんを肩に乗せたまま、廊下を急いだ。
 屋根裏へと続くドアを背伸びしてあけると、きしむ階段を服を引きずりながら上っていく。
 屋根裏の自分の部屋へと戻るとわたしは、ほぅっと安堵の吐息を漏らした。
 天窓から月の光が差し込んで小さな部屋を明るく照らしている。
 わたしは、大きなメイド服を脱ぐとできるだけ丁寧にたたんでベッドの下にしまい込んだ。
 大きな大人用の下着も脱ぐとちっさなカヅキ用の下着を身に付け、ベッドに倒れ込む。
 枕元をカミルさんがちょろちょろと走っているのをちらりと見てからわたしは、目を閉じた。
 眠い。
 とにかく、疲れていて。
 体が泥のように重い。
 目を閉じたわたしの髪を誰かが撫でてくれたような気がするのだけれど、ほんとのところはわからない。
 ただ。
 眠っているわたしの耳元で誰かがわたしに話しかけているのをきいたかもしれない。
 カヅキ
 お眠り、カヅキ
 我が愛し子よ
 夢の中で。
 わたしは、その誰かの腕に抱かれて暖かい、心安らぐ夢を見ていた。 
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