正しい子供の作り方

トモモト ヨシユキ

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6 転生者は、逃れたい。

6ー5 誘拐

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 6ー5 誘拐

 次に僕が目覚めたとき、隣にはフェリオス様の姿があった。
 「気がついたのか?ダニー」
 「んっ・・・」
 僕は、気だるさに低く呻いた。
 頭が痛くて。
 体が。
 重い。
 僕は、辺りを見回した。
 そこは、僕の部屋ではなかった。
 ぼんやりとした頭で僕は、異変を感じ取っていた。
 ここは、どこだ?
 僕は、フェリオス様を見つめた。
 フェリオス様は、優しく微笑みを浮かべて僕の額にキスを落とした。
 「無理はしない方がいい。ゆっくりと休んで。お前一人の体ではないんだから」
 はいっ?
 僕は、昨夜のことを思い出して青ざめた。
 フェリオス様は、神殿に虚偽の申請をして宝珠を手に入れそれを僕の体に使ったのだ。
 僕は、がばっと起き上がると裸のまだ平たい腹を両手で押さえた。
 もしかしたら。
 ここにフェリオス様との子供が?
 なんだか胸が熱くなる。
 でも。
 僕には、ロイドがいる。
 「ロイドは?」
 僕は、フェリオス様に訊ねた。
 「ここは、どこですか?」
 「ここは、王都の俺の家だ」
 フェリオス様が僕の体にそっと毛布をかけた。 
 「王都?」
 僕は、頭を振る。
 「そんなわけがない。だって僕たちは、昨夜、ポリドール伯爵のお屋敷で」
 「お前と俺が寝たのは、もう、2週間前のことだ」
 フェリオス様が告げた。
 「お前は、2週間眠り続けていたんだ。その間に、俺がお前を王都へと運んだ」
 はいっ?
 僕は、意味がわからなくてキョトンとしてしまう。
 どういうこと?
 僕は、ベッドから降りようとしてふらついてしまう。
 「あぶない!」
 フェリオス様が僕を抱き止めた。
 「気を付けて。お前は、もう一人の体じゃないんだ」
 それは、フェリオス様のせいでしょ!
 僕は、フェリオス様のことを押し退けると部屋に一つだけある小さな窓へとよろよろと歩みよった。
 窓から外を眺める。
 そこには、見慣れた王都の下町の景色が拡がっていた。
 「これ、は・・・?」
 「だから、言っただろう?お前が眠っている間に俺が王都までお前を運んだ、と」
 それって、誘拐?
 僕は、フェリオス様に向き合って声を荒げる。
 「僕を戻してください!」
 いや。
 フェリオス様にお願いしても無駄かも。
 僕は、部屋を見回した。
 がらんとした部屋の中には、さっきまで僕たちが眠っていたベッドの他には椅子が一脚とテーブルが一つあるだけで着替えの服は見あたらなかった。
 「服は?」
 「ない」
 僕が聞くとフェリオス様が答える。
 「お前に服は、もう必要ないからな」
 はい?
 僕が瞬きするのを見てフェリオス様が説明する。
 「お前は、もう、ここから出ることはない。ずっと、ここにいて俺の子を産むんだ」
 
 
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