5 / 110
1 流されて
1ー5 キーン
1ー5 キーン
なのに。
ヤマトは、僕を諦めなかった。
僕のかわりに聖者になったヤマトは、エリザベスのことを篭絡していった。
僕も、そのことは知っていた。
だけど。
僕は、何もしなかった。
ヤマトが僕にとって変わってくれるというなら願ったりかなったりだからな。
僕の望みは、田舎に引っ込んでキーンと二人でスローライフを送ることだったから。
「でも、ある意味、願いが叶ったんじゃないですか?ラムダ様」
辺境へと向かう馬車の中でキーンが僕に訊ねた。
うん。
確かに、僕の願いは叶った。
これで、一生、辺境の村でスローライフを送れるし。
「そうかも」
僕は、ほっと吐息を漏らした。
「ヤマトのお陰かもね」
ヤマトは、知っていたのだろうか?
僕が婚約を破棄して辺境で暮らしたがっていたことを。
何はともあれ、僕は、こうして婚約破棄され悪役令息として王都を追放された。
両親たちは、王都を追われた僕に同情をしてくれたが、一緒に辺境で暮らしたいとはいわなかった。
王都を去る僕と同行してくれたのは、子供の頃から使えてくれていた従者であるキーンだけだった。
淡い赤毛に薄いブルーの瞳をしている少し童顔のキーンは、僕と同い年の従者だ。
子供の頃から虚弱だった僕のことをいつも守ってくれていた。
キーンだけは、僕を見捨てなかった。
「キーン、ありがとう。僕についてきてくれて」
僕が礼をいうとキーンは、照れた様子ではにかんだ。
「何をおっしゃいますか、ラムダ様。私がお仕えするのは、昔からラムダ様ただ1人でございます」
「キーン」
僕が潤んだ瞳でキーンを見つめたとき、突然、馬車が乱暴に停車した。
がくん、と僕がバランスを崩して前につんのめったのをキーンが抱き止めてくれた。
「何事だ!」
キーンが声を張り上げて御者に問いかけたが返事はなかった。
そのかわりに馬車の扉が開いて、見知らぬ男たちが覗き込んできた。
「へっへっ、こいつは、確かに上玉だぜ」
薄汚い格好をしたその山賊風の男たちは、馬車の中で抱き合っていた僕とキーンを見てにやりと笑った。
なのに。
ヤマトは、僕を諦めなかった。
僕のかわりに聖者になったヤマトは、エリザベスのことを篭絡していった。
僕も、そのことは知っていた。
だけど。
僕は、何もしなかった。
ヤマトが僕にとって変わってくれるというなら願ったりかなったりだからな。
僕の望みは、田舎に引っ込んでキーンと二人でスローライフを送ることだったから。
「でも、ある意味、願いが叶ったんじゃないですか?ラムダ様」
辺境へと向かう馬車の中でキーンが僕に訊ねた。
うん。
確かに、僕の願いは叶った。
これで、一生、辺境の村でスローライフを送れるし。
「そうかも」
僕は、ほっと吐息を漏らした。
「ヤマトのお陰かもね」
ヤマトは、知っていたのだろうか?
僕が婚約を破棄して辺境で暮らしたがっていたことを。
何はともあれ、僕は、こうして婚約破棄され悪役令息として王都を追放された。
両親たちは、王都を追われた僕に同情をしてくれたが、一緒に辺境で暮らしたいとはいわなかった。
王都を去る僕と同行してくれたのは、子供の頃から使えてくれていた従者であるキーンだけだった。
淡い赤毛に薄いブルーの瞳をしている少し童顔のキーンは、僕と同い年の従者だ。
子供の頃から虚弱だった僕のことをいつも守ってくれていた。
キーンだけは、僕を見捨てなかった。
「キーン、ありがとう。僕についてきてくれて」
僕が礼をいうとキーンは、照れた様子ではにかんだ。
「何をおっしゃいますか、ラムダ様。私がお仕えするのは、昔からラムダ様ただ1人でございます」
「キーン」
僕が潤んだ瞳でキーンを見つめたとき、突然、馬車が乱暴に停車した。
がくん、と僕がバランスを崩して前につんのめったのをキーンが抱き止めてくれた。
「何事だ!」
キーンが声を張り上げて御者に問いかけたが返事はなかった。
そのかわりに馬車の扉が開いて、見知らぬ男たちが覗き込んできた。
「へっへっ、こいつは、確かに上玉だぜ」
薄汚い格好をしたその山賊風の男たちは、馬車の中で抱き合っていた僕とキーンを見てにやりと笑った。
あなたにおすすめの小説
当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。
魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます
トモモト ヨシユキ
BL
気がつくと、なぜか、魔王になっていた俺。
魔王の手下たちと、俺の本体に入っている魔王を取り戻すべく旅立つが・・
なんで、俺の体に入った魔王様が、俺の幼馴染みの勇者とできちゃってるの⁉️
エブリスタにも、掲載しています。
王様お許しください
nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。
気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。
性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。
不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です
新川はじめ
BL
国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。
フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。
生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!
恋人に捨てられた僕を拾ってくれたのは、憧れの騎士様でした
水瀬かずか
BL
仕事をクビになった。住んでいるところも追い出された。そしたら恋人に捨てられた。最後のお給料も全部奪われた。「役立たず」と蹴られて。
好きって言ってくれたのに。かわいいって言ってくれたのに。やっぱり、僕は駄目な子なんだ。
行き場をなくした僕を見つけてくれたのは、優しい騎士様だった。
強面騎士×不憫美青年
【完結】悪妻オメガの俺、離縁されたいんだけど旦那様が溺愛してくる
古井重箱
BL
【あらすじ】劣等感が強いオメガ、レムートは父から南域に嫁ぐよう命じられる。結婚相手はヴァイゼンなる偉丈夫。見知らぬ土地で、見知らぬ男と結婚するなんて嫌だ。悪妻になろう。そして離縁されて、修道士として生きていこう。そう決意したレムートは、悪妻になるべくワガママを口にするのだが、ヴァイゼンにかえって可愛らがれる事態に。「どうすれば悪妻になれるんだ!?」レムートの試練が始まる。【注記】海のように心が広い攻(25)×気難しい美人受(18)。ラブシーンありの回には*をつけます。オメガバースの一般的な解釈から外れたところがあったらごめんなさい。更新は気まぐれです。アルファポリスとムーンライトノベルズ、pixivに投稿。
僕を嫌っていた幼馴染みが記憶喪失になったら溺愛してきた
無月陸兎
BL
魔力も顔も平凡な僕には、多才で美形な幼馴染みのユーリがいる。昔は仲が良かったものの、今は嫌われていた。そんな彼が授業中の事故でここ十年分の記憶を失い、僕を好きだと言ってきて──。