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3 望まぬ妊娠
3ー8 救出
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3ー8 救出
この世界には、男同士で愛し合うカップルもいる。
そんな彼らのために女神の教団は、男同士でも子供ができる秘術を授けることがあった。
それが、昨夜、ヤマトが言っていた『生命の実』だった。
それは、生命樹が何十年に一度だけつける実だった。
それを体内に受け入れることで男でも子を身籠ることができるのだ。
普通は、心から愛し合うカップルにのみ与えられるものだった。
それを、ヤマトは、僕を陵辱するときに用いた。
僕は、吐息を漏らした。
僕は、男なのに。
好きでもない奴の子を産むなんて無理だし。
僕は、目を閉じたまま腹の上にそっと手を置いた。
ここに。
ヤマトの子種が宿っているのだろうか?
そう思うとなぜか涙が溢れてきた。
ヤマトに好きなように責め苛まれた上に子供まで孕まされるのだろうか?
これは、ヤマトの一方的な暴力に過ぎないというのに。
「うっ・・ひぐっ・・・」
僕は、静かに声を殺して泣いた。
誰か。
僕は、心の底から祈っていた。
誰か、助けて!
気がつくともう辺りは暗くなっていた。
どうやら僕は、泣きながら眠ってしまったらしい。
不意に何かの気配を感じたような気がして僕は、身構えた。
もしかしてヤマトが戻ってきたのか?
だが、部屋に入ってきた人影は、僕を見ると声を発した。
「ラムダ?」
その声の主は、そこにいるはずのない人だった。
僕は、信じられない思いで彼を見上げた。
そこには、僕のことを心配そうに覗き込んだメイソン辺境伯の姿があった。
「メイ」
名を口にしようとした僕の唇をメイソン辺境伯のひんやりとした手のひらがふさいだ。
「静かに」
声をひそめてメイソン辺境伯は、僕に囁いた。
僕が口を塞がれたまま頷くと、彼は、手を離してくれた。
メイソン辺境伯は、僕のことを抱き上げて連れ去ろうとしたがすぐに僕を繋ぐ枷の存在気づいた。
「足枷をつけられているのか?」
メイソン辺境伯は、眉をひそめた。
彼は、僕をベッドに腰かけさせると僕の足元へと屈み込んだ。
小型のナイフを取り出すと僕足にはめられている枷をはずそうとしたけど、枷は、そんなものではびくともしなかった。
「これ、は」
メイソン辺境伯が僕を抱えるようにして引き寄せるとなんとか鎖を引きちぎろうとした。
しかし、ベッドの支柱へと繋がれた鎖は、音をたてるだけで緩みもしなかった。
なんとか鎖を断ち切ろうとしてメイソン辺境伯は、僕のことを枷に繋がる鎖にナイフの切っ先をたてた。
キィン!
乾い音がしてナイフの刃が折れて宙に弾かれた。
「ちっ!」
メイソン辺境伯が舌打ちする。
なんだか奥が騒がしくなって、メイソン辺境伯の表情に焦りが見えた。
この世界には、男同士で愛し合うカップルもいる。
そんな彼らのために女神の教団は、男同士でも子供ができる秘術を授けることがあった。
それが、昨夜、ヤマトが言っていた『生命の実』だった。
それは、生命樹が何十年に一度だけつける実だった。
それを体内に受け入れることで男でも子を身籠ることができるのだ。
普通は、心から愛し合うカップルにのみ与えられるものだった。
それを、ヤマトは、僕を陵辱するときに用いた。
僕は、吐息を漏らした。
僕は、男なのに。
好きでもない奴の子を産むなんて無理だし。
僕は、目を閉じたまま腹の上にそっと手を置いた。
ここに。
ヤマトの子種が宿っているのだろうか?
そう思うとなぜか涙が溢れてきた。
ヤマトに好きなように責め苛まれた上に子供まで孕まされるのだろうか?
これは、ヤマトの一方的な暴力に過ぎないというのに。
「うっ・・ひぐっ・・・」
僕は、静かに声を殺して泣いた。
誰か。
僕は、心の底から祈っていた。
誰か、助けて!
気がつくともう辺りは暗くなっていた。
どうやら僕は、泣きながら眠ってしまったらしい。
不意に何かの気配を感じたような気がして僕は、身構えた。
もしかしてヤマトが戻ってきたのか?
だが、部屋に入ってきた人影は、僕を見ると声を発した。
「ラムダ?」
その声の主は、そこにいるはずのない人だった。
僕は、信じられない思いで彼を見上げた。
そこには、僕のことを心配そうに覗き込んだメイソン辺境伯の姿があった。
「メイ」
名を口にしようとした僕の唇をメイソン辺境伯のひんやりとした手のひらがふさいだ。
「静かに」
声をひそめてメイソン辺境伯は、僕に囁いた。
僕が口を塞がれたまま頷くと、彼は、手を離してくれた。
メイソン辺境伯は、僕のことを抱き上げて連れ去ろうとしたがすぐに僕を繋ぐ枷の存在気づいた。
「足枷をつけられているのか?」
メイソン辺境伯は、眉をひそめた。
彼は、僕をベッドに腰かけさせると僕の足元へと屈み込んだ。
小型のナイフを取り出すと僕足にはめられている枷をはずそうとしたけど、枷は、そんなものではびくともしなかった。
「これ、は」
メイソン辺境伯が僕を抱えるようにして引き寄せるとなんとか鎖を引きちぎろうとした。
しかし、ベッドの支柱へと繋がれた鎖は、音をたてるだけで緩みもしなかった。
なんとか鎖を断ち切ろうとしてメイソン辺境伯は、僕のことを枷に繋がる鎖にナイフの切っ先をたてた。
キィン!
乾い音がしてナイフの刃が折れて宙に弾かれた。
「ちっ!」
メイソン辺境伯が舌打ちする。
なんだか奥が騒がしくなって、メイソン辺境伯の表情に焦りが見えた。
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