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3 継母の心得
3ー1 叔父
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3ー1 叔父
グレイスフィールド伯爵の葬儀が執り行われた日は、王都は、雪が降っていた。
俺は、結局、グレイスフィールド伯爵と会うことはなかったのだが、彼の葬儀の喪主として振る舞うことになった。
寒い神殿の斎場で伯爵の棺の横に立って頭を垂れている俺に人々は、慰めるような言葉をかけてくれたが、その言葉は、どれも軽くて真心など感じられはしない。
俺の隣に立っていたロゼス君も涙も見せることなくかけられる言葉に淡々と応対していた。
ロゼス君にとっては、グレイスフィールド伯爵は、よい父親ではなかったのではないだろうか、と俺は、思っている。
だって、借金のかたに売り飛ばそうとするような親だしな。
ともかく伯爵は、凍えるような灰色の空の下、永遠の眠りについた。
葬儀が終わって俺とロゼス君が屋敷に戻ると来客が待ち構えていた。
それは、薄い藁みたいな髪色をした男とその家族らしい人々だった。
彼らは、リビングに堂々と陣取り屋敷を見回して値踏みしているようだ。
「古い屋敷だけれど、装飾は悪くはないわね」
金色の髪の女がちらっと俺たちを見て目を細める。
「まあ、帰ってきたのね」
「ロゼス!」
女が囁くと同時に藁みたいな髪の男が立ち上がり俺たちの方へと歩み寄ってくる。
「叔父様、なんのご用でしょうか?」
冷たい言葉を浴びせるロゼス君をその男は、抱き締めようとしたが、あっさりと拒まれ、表情を歪めた。
「なんの、って。お前たちのこれからの身の振り方を話し合うために来たんじゃないか」
うん?
お前たち?
俺は、ちらっとロゼス君をうかがう。
ロゼス君は、顔色1つ変えることなく叔父上様ご家族に告げる。
「すぐにお引き取りください。あなた方と話し合うようなことは何もありませんから」
「しかし、ね、ロゼス」
ロゼス君の叔父上は、にこやかに笑いながら俺たちに話しかけた。
「兄上が死んでしまったんだ。唯一の跡取りである君は、まだ爵位が継げない未成年だし、君が成人するまでは、私が伯爵代理をつとめてあげる必要があるだろう?」
叔父上にそう言われてロゼス君が押し黙る。心なしか顔色が悪い?
叔父上は、ロゼス君が俯いたのを見て同情するような笑顔を浮かべる。
「安心しなさい。兄上がいろいろ画策していたようだが、お前が学園を卒業するまでは変な輩をお前に近づけたりはしないからね」
そういって叔父上は、ロゼス君の肩に手を置いて俺をちらっと見る。
「もちろん、あなたのことも悪いようにはしませんから安心してくれたらいい、アンリ殿」
ロゼス君の叔父上は、俺に向き合うとにんまりと笑った。
「幸いなことにあなたと兄の婚姻は、白い婚姻だからね。きっとすぐにいい相手が見つけてあげられると思いますから。心配はいりませんよ」
グレイスフィールド伯爵の葬儀が執り行われた日は、王都は、雪が降っていた。
俺は、結局、グレイスフィールド伯爵と会うことはなかったのだが、彼の葬儀の喪主として振る舞うことになった。
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俺の隣に立っていたロゼス君も涙も見せることなくかけられる言葉に淡々と応対していた。
ロゼス君にとっては、グレイスフィールド伯爵は、よい父親ではなかったのではないだろうか、と俺は、思っている。
だって、借金のかたに売り飛ばそうとするような親だしな。
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「ロゼス!」
女が囁くと同時に藁みたいな髪の男が立ち上がり俺たちの方へと歩み寄ってくる。
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「なんの、って。お前たちのこれからの身の振り方を話し合うために来たんじゃないか」
うん?
お前たち?
俺は、ちらっとロゼス君をうかがう。
ロゼス君は、顔色1つ変えることなく叔父上様ご家族に告げる。
「すぐにお引き取りください。あなた方と話し合うようなことは何もありませんから」
「しかし、ね、ロゼス」
ロゼス君の叔父上は、にこやかに笑いながら俺たちに話しかけた。
「兄上が死んでしまったんだ。唯一の跡取りである君は、まだ爵位が継げない未成年だし、君が成人するまでは、私が伯爵代理をつとめてあげる必要があるだろう?」
叔父上にそう言われてロゼス君が押し黙る。心なしか顔色が悪い?
叔父上は、ロゼス君が俯いたのを見て同情するような笑顔を浮かべる。
「安心しなさい。兄上がいろいろ画策していたようだが、お前が学園を卒業するまでは変な輩をお前に近づけたりはしないからね」
そういって叔父上は、ロゼス君の肩に手を置いて俺をちらっと見る。
「もちろん、あなたのことも悪いようにはしませんから安心してくれたらいい、アンリ殿」
ロゼス君の叔父上は、俺に向き合うとにんまりと笑った。
「幸いなことにあなたと兄の婚姻は、白い婚姻だからね。きっとすぐにいい相手が見つけてあげられると思いますから。心配はいりませんよ」
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